逃走劇
どこから異変を嗅ぎつけたのか、部屋を扉をノックする音が聞こえる。
女性「あの、何かあったんですか?」
エリー「あ、いえ、別に。すいません、騒がしくて」
部屋から遠ざかる足音が聞こえる。
どうやら納得してくれたらしい。大きな騒ぎにならなくてホッと一安心。
ラグ「しかし、ここにも長くはいられませんね」
部屋の机にお金を置き、逃げるように…いや、実際逃げて、何事も無いかのように窓から飛び出した。
吸血鬼を置いて。
ラグ「さて…どうしましょう」
エリー「お金は置いてきたけど、よかったのかな?」
行く当ても無く地下の町を歩く二人。お忘れだろうが、ここは地下である。
(実は作者自身、その設定を忘れていたのは内緒)
とりあえず目的は地上へ戻ることなのだが、戻る方法が見つからない。
エリー「落ちるのは簡単なのに、上るのは難しいね」
ラグ「そうですね。どこかに転送装置があればいいんですけど…」
そんなの見つかるわけも無く…。
歩き始めて十五分後。
エリー「ひまぁ…。どこ見ても岩とか土だし…」
ラグ「…」
エリー「何かこう、パッとするものないかなぁ…」
ラグ「刺激を求めてるのでしたら、良い事教えましょうか?」
エリー「良い事?」
ラグ「跡をつけられてます」
エリー「えっ? ストーカー!?」
ラグ「あまり騒がないで下さいね。騒ぐと相手にもわかってしまいます」
エリー「い、いつから…?」
ラグ「五分ほど前からです」
エリー「どうするの…? また逃げるの?」
ラグ「隠れましょう。次の十字路を左に曲がりますので、走ってください。二番目の家に入ります」
エリー「う、うん」
二人は十字路を曲がり、家に飛び込んだ。
幸い鍵は掛かっておらず、すんなりと入れた。魔法で鍵をかけると、家の中を見渡した。
エリー「お、お邪魔しまーす…」
ラグ「…誰もいないみたいですね」
しかし、それなりの生活感はある。出かけているのだろうか? テーブルの上には、食事を済ませた感じが溢れる汚れた皿。イスの上に置いてある読みかけの本。床に散らばった衣服。
エリー「いない…訳ないよね…?」
ようやく大学受験が終わりました。やっと合格です。
これからはまた、いつものペースで更新していきたいと思います。