sacrifice
いつもより長いです(文章の長さではなくセリフ的な意味で)
ラグ「…どんな魔法も、死者を生き返らせることはできません」
シルファ「ザオリ…
ラグ「肉体は戻っても、魂は戻ってこないのです」
シルファ「フェニックスの…
ラグ「…残念ですが、エリーは…もう…」
シルファ「…」
再び重い空気が部屋を独占する。
現実を受け止めているラグと、受け入れられないシルファ。
シルファ「まだ…まだエリーを助けることは…出来るよ」
ラグ「どうやってですか?」
「どうせ無駄だろう」程度にラグが訊く。
が、返ってきた答えは、それを遥かに凌ぐものだった。
シルファ「私の心臓を食べさせる」
ラグ「…えっ?」
思いもよらぬ答えにキョトンなラグ。
シルファ「私の心臓を食べさせれば、肉体が腐ったりしてない限り大丈夫」
ラグ「でも、そんな事したら…」
シルファ「今はそんな事言ってられない」
ラグ「…」
シルファ「心臓はなるべく新鮮なほうが成功率が高いから。…短い間だったけど、楽しかったよ」
自らの喉に爪を突きつけ、引き裂こうとする。けれども、その手はラグによって封じられた。
ラグ「…ダメです」
シルファ「じゃあどうしろって言うの? このままだとエリーは助からないんだよ!」
ラグ「それでも…ダメです」
シルファ「だったらエリーはいいの? エリーは死んだままでいいの?」
ラグ「…」
シルファ「…。…私はね『白い悪魔』ずっとそう呼ばれてきた。隠していたかったけど、もう最後だから。私は白い悪魔。何百人、何千人と殺してきた。いくつもの村や町を破壊してきた。私が姿を見せれば人々は怖がる。怖がるから殺す。手、足、首、全部引き裂いて髪も服も体も血で染めた。それが楽しかった。仕方ないじゃない。それが本来の私。あんた達は少し遊んでから殺すつもりだった」
ラグ「…」
シルファ「でも、その気も無くなった。破壊衝動を上回る『楽しさ』があんた達にはあったから。
『白い悪魔』の名前しかない私に『シルファ』って名付けてくれた。
傷ついた私を優しく手当てしてくれた。
そして何より、楽しかった。破壊の楽しさじゃない、ただ純粋に楽しかった。
エリーがいなっかたら楽しい旅なんか出来ない。もちろん、あんたがいなくてもダメ。
私はまた破壊衝動に駆られる。もうそんな事はしたくない。
だから、だからせめて、エリーの為にも、私の為にも……死なせて」
活動報告でも言いましたが、受験が終わりました。
これからはいつも通り更新していきたいと思います。