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二人の男  作者: 明家叶依
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すれ違い…… 聞き手の男視点

 なぜ、普段からあの喫茶店に通っている俺が、わざわざ、別の店に来ないといけないのだ……。別の喫茶店のチェーン店で椅子に腰掛けながら、注文したアイスコーヒーを飲み、ぼーっとスマホを眺めていた。スマホに映し出されているのは求人サイト。色々な求人があるけれど、どれもパッとしなかったり、自分がやりたくない仕事だったりして、次に働く先の目処が全然立たない。だから、最近は貯金しておいたお金をやりくりして、生活し、その中でも趣味だったカフェでのひとときにはお金を使うようにしていたのだが、ここ最近、あいつが現れてからは、なんだかんだで疲労が重なり、いつもの喫茶店に行くのが面倒くさくなっていた。


「はぁ……なんだかなあ」


 25歳になって何考えてんだかな……。もっと立派な大人になってる、なんて子供の頃は思っていたけど、結局の所、今も昔も変わっていないし、未来になっても今と同じようなことばかり考えているんだろうな。そう考えたら、あいつは自由でいいな。性格に裏表がなさそうだし、好きな事自由にやってんだろうなあ。てか、結婚してるって言ってたけど、普段何してんだ? 俺が喫茶店行くときは最近いつも鉢合わせてるし……って、俺は何であいつのことばかり考えてんだ。


 頭を抱えて、小さなため息を吐いた。


 せっかく、こうやって自分の時間を好きなように使っているんだ、もっと楽しまないとな。別の店に来た良い機会なんだ、頼んだことがないような物を注文してみるのもいい。そういえば、咄嗟に出た言葉だったけど、俺、あいつに似たようなこと言ってたな。


「世間には色んなものがある……か。自分の方が今の生活に固執して、視野が狭くなっていたのかも知れないな」


 俺は通りかかった店員さんにチョコのケーキを頼んだ。普段ケーキなんて食べないから、楽しみだった。少し値段の安いソフトクリームにしようかと悩んだが、今日は贅沢にお金を使うことにした。


 けれど、目の前にチョコのケーキが来ても、俺は手を付けずにジッと見つめていた。


「俺……何してんだろ」


 ケーキが来るまでは少し無理をして浮かれ気分だったが、いざ来てみれば、挑戦と思って頼んだチョコのケーキへの期待は一瞬にして風に吹かれて消えていった。つまんねえなあ……。自分の人生。つまんねえ。こんなんで全部チャラにしようとしていた自分の考えがつまらねえ。ああ、何なんだよ、もう。


 俺は窓の外を見た。


 そこには、カラフルなTシャツを着て、ジーンズを履いた、見知った丸刈り頭があった。あいつは浮かれたようにスキップをして歩道を歩いていた。進行方向にはいつもの喫茶店がある。しばらく眺めていたが、通り過ぎた人はほぼ全員、驚いたように振り返る。やっぱ変な奴だな。でも、何でか、その変な奴と話していないと物足りなくなっている自分がいた。


 俺も変だな……。

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