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最終話「最後の%」
朝の光で、鏡の赤は46.8%から動かない。
〈針路〉は知っている。最後は派手に減らない。積んだ手続きが、一度に繋がるときだけ、大きく沈む。
「今日、王都広場で**“公開断罪の再演”が仕組まれてる」
ミロが帳面を閉じる。
「告知の刻印札は?」
「偽。でも、人は見世物に足を運ぶ」
「なら、見世物の骨**だけ抜く」
私は三つだけ持った。鐘、札、そして順番。
広場は、木枠の即席舞台で埋まっていた。布製の縄、安っぽい王冠、拍をせっつく太鼓。
舞台の脇で、伯父ヴァレンが笑っている。面子は刃より長く光る。
私は鐘を一度だけ鳴らした。四拍吸って、二拍黙り、三拍で話す。
「本日は——市の“年一の面子市”に前倒しで切り替えます」
ざわめき。前倒し? 年一?
私は舞台監督に刻印札を見せる。