第七話 水
始まりは小学校の時、レインコートの子供。
レインコートとは、どういう時に使うだろうか。
そう、主に雨天時に着る外套の事だ。雨合羽とも言う。
そんなレインコートが真っ赤に染まっている理由は何か。火を表しているのか、はたまた火傷によって流れた血なのだろうか。それらは雨水によって流される。しかし、何度も何度も全身を赤く染め直した。赤いレインコートを好んで着ていたのではなく、亡くなった時の状態を知らせていたのではないだろうか。
そして、小学校の休憩室に現れた火傷を負った女の子。恐らく校舎全焼事件の被害者。もしかすると赤いレインコートの子と同一人物なのではないか。
では、病院のトイレで出くわした覗きの霊はどうだろう。ハッキリとは見えなかった為、性別や年齢などは分からなかった。だが、何故水場に現れたのか。それとも助けを求めていたのか…何故?
…火事によって扉が開かなかったのではないか。
その後の【202号室】の霊はどうだろうか。黒い何かは人の形をしており、高校生くらいの背丈だっただろうか。誰かを探しているようにも感じた。
何度も起きた怪奇現象や霊の出現により、僕の霊感は強まった。まるで誰かと出会う予兆のように。
そして、二十四歳の夏に彼女(霊)と再開した。
今思えば、顔には火傷の痕があったような気がする。
濡れた長い髪の毛、止まない雨の中を彷徨い続けているのだろうか。
では、何故首から下が無いのか。
火傷によって形が残らなかったのだろうか。
小学生の時に自身の存在に気付いた僕達を、彼女はずっと探していたのかもしれない。
その中でも地元に残り、尚且つ三人の中でも一番穏やかだった僕の前に現れたのではないか。
全ては彼女のみぞ知る真実。
…これらはあくまで推測に過ぎないのだ。
勝手な推測を繰り返し、心配事や不安が増える毎日。仕舞いには、不眠症に加え水の音が怖く感じるようになった。
あれから彼女が現れることは無い。
しかし、未だに近くにいるように感じる。
歩いている時は隣に…食事中は目の前に…お風呂の時は天井に…眠る時は背後に…。
こんな僕に襲い掛かった心霊現象を、信じる人は全国にどれだけいるのだろうか。
誰も信じなくとも、これが現実であり真実だ。
そんな僕は今も生きている。
彼女の分も精一杯生きる事、それが成仏に繋がると信じている。
そんな思いを抱え、僕はまた明日を迎える。
心はまだ凪…いつか落ちる雫を待ち続けて…。
いかがでしたか?
読み終わった貴方に裏話を少々…。
簡単にまとめると、執筆させて頂いた心霊現象は全て実話です。
嘘だぁ!って思いますよね?本当なんです。
時期や場所等、細かい設定面では多少のズレはあるかもですが、大体合っているはずです。
そんな実話を今回【水】を題材としたホラー小説として投稿させて頂きました。
言葉で表すのは難しい箇所もありました。当時を思い出しながら書くのも、中々しんどかったです…(笑)
でも、私の心霊体験は皆さんにも知って欲しいという気持ちが勝ち、何とか書き終える事が出来ました。
気が向いた方は感想等聞かせて頂けたら嬉しいです。
尚、詳細は不明な点が多く、解決していない事ばかりです。
小説にもあったように、全ては推測に過ぎません。
精神面で苦しむ事もありましたが、私は元気に生きています。もうそれで充分だと思います。
長くなりましたが、他作品含め応援してくださっている皆様、本当にいつもありがとうございます。
今後ともゆるをよろしくお願い致します。