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白銀の魔女ファビオラさんの日常 〜平穏に暮らしたいのに国家間の紛争に巻き込まれましたぁ!〜  作者: 柚亜紫翼
1章 あるふぁおうこく

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020 - おうじょさま -

020 - おうじょさま -



「ひぃぃぃ・・・」


「うるせぇって言ってるだろうが!、大人しくしやがれ」


俺の名前はベネット・ブライアス、37歳独身だ。


何で俺がファビオラを担いで夜中に王都の路地を走ってるのか・・・話は少し前に遡る。









・・・


・・・


騎士2人を連れてブライアス王国を出てから3日目の夕方、アルファ王国の王都に到着した。


俺達は騎士服を脱ぎ防具を外して旅人風の格好をしてる、偽造の身分証も持ってるから怪しまれる事はねぇだろう。


街に入ると衛兵詰所が空だった、王都が崩壊してなくて安心したが明らかに様子がおかしい。


店が並び活気があった大通りには人が殆ど居ない・・・全然居ない訳じゃねぇが歩いてる奴は人目を気にして怯えてる。


扉が半分開いてる食料品店の前に男が居たから話を聞くと街に外出禁止令が出されていて外を歩いてると衛兵に捕まるらしい。


「ですが2日ほど前から衛兵達も巡回しなくなりましてね、俺達もずっと家の中に引き篭ってる訳にもいきませんので食料が尽きた連中相手に残ってる酒や保存食を売ってるんですよ」


「そうか・・・他に何か気付いた事はないか?」


「あぁ、魔女様が城の王族や貴族連中を皆殺しにしたって話は聞きましたよ、あの気さくな嬢ちゃんが嘘だろって最初はみんな驚いてましたが・・・何百年も生きてる魔女ですからその気になれば人間なんて簡単に殺せるのかもしれませんねぇ」


店主に礼を言って俺達は城に向かう・・・やべぇぞ、その話が本当なら今頃城の中は死体だらけだ!。


「親父の奴が殺さねぇように言い聞かせてたんじゃなかったのかよ・・・」




俺達が街の中心に聳える城の前に到着した時には既に日が落ちていた、予想通り周囲は真っ暗だ。


「ベネット様、門が・・・」


連れて来ていた騎士の一人が話しかけてきた、携帯用の魔導灯を掲げて周囲を照らしてくれている。


目の前にある城門の扉が斜めに斬られて吹き飛ばされてやがる、これじゃぁ誰でも中に入り放題だ、おそらくファビオラの奴が魔法で斬ったんだろうな。


門の中を覗き見ると衛兵らしき男が4人ほど倒れてた・・・暗くてよく見えねぇが奥にも大勢倒れてそうだ。


俺達は警戒しながら門を潜り広い庭園を抜けて城の入り口に辿り着いた、所々に衛兵や騎士が倒れてるが見なかった事にする。


「表から堂々と入るのもアレだから裏に回るか・・・」


開いたままになってる城の入り口を見上げながら俺は呟いた、何か仕掛けられていて入った途端に身体が真っ二つなんて冗談じゃねぇからな。




「ここから入れそうだな」


腹が立つほどでかい城の裏には使用人が出入りする為の通用口があった、だが隣接してる衛兵詰め所も真っ暗で人の気配が無い。


がこっ!


もう一人の騎士が鉄棒を使って鍵のかかってる扉をこじ開ける、


「先に私が様子を見て来ましょう」


「あぁ、用心しろよ」


「はい、任せてください、こう見えて私はハンター登録をしていまして斥候の経験も・・・」


ばたん・・・


「おい!」


様子を見て来ると言って通用口から中に入った騎士が崩れるように倒れた。


「・・・やっぱり何か仕掛けてやがったな!」


魔導灯を持った騎士が倒れた奴を助けようと通用口に近付く・・・。


「おいちょっと待て!」


がしっ!


俺は中に入ろうとしていた騎士の服を掴んで止めた。


「お前はここで見張ってろ、中に入るんじゃねぇぞ」


「ベネット様は?」


「何が起きてるか知ってそうな奴に心当たりがある、今からそいつと会って来る」










・・・


・・・


「遅かったじゃねぇかベネット、今日はもう来ないかと思ってたぜ」


王都の大通りを抜けて狭い路地に入り何度か折れ曲がった先にある古びた酒場に入るとカウンターの中に居る男が俺に話しかけてきた。


この胡散臭い男はエンリケス・オコスナー、裏社会の情報組織「悪の華」の幹部だ。


「城で何があった?」


「まぁ落ち着け、そこに座れよ」


そう言ってエンリケスがカウンターに酒の入ったグラスを置いた。


「落ち着いてられるか、状況を説明しろ」


俺は言われるままカウンターに座り酒を煽る・・・この前の強い酒と違ってよく冷えた軽い飲み口の酒だ、美味い。


グラスが空になるのを見てエンリケスが話し始める。


「城をあのまま放置しておくのは不用心だったから魔女が城に魔法を仕掛けた」


「俺と一緒に来た騎士が城に入ると倒れたぞ」


「眠ってるだけだ、但し魔法を解かない限り永遠に眠ったままだがな」


「ファビオラの家に来た騎士や王太子を眠らせたアレと同じやつか・・・」


空になった俺のグラスにエンリケスが同じ酒を注ぐ。


「そうだな、お前も仕掛けを無効にする魔法をかけて貰えよ」


「それをやれば城の中に入れるのか?」


「あぁ、今親父と部下達が城に入ってるぜ、今行けば機密資料やお宝を漁り放題だ・・・俺もこの後店を閉めて行く予定だがお前もやるか?」


「おいちょっと待て、ロドリゲスが城に居るのかよ?」


「情報収集とちょっとした小遣い稼ぎだな、城の財宝全部持ち出す訳じゃねぇからそれくらいは大目に見ろよ」


その後、エンリケスから城で起きた事を聞いた。


城の中に居た連中は皆眠ってるらしい、潜入していた組織の関係者26人も巻き添えで眠らされていたが昨日ファビオラが城に入り全員を目覚めさせたそうだ。


「・・・城内の一番奥にある離れにこの国の第二王女が幽閉されてる、城からは少し離れてるから魔法は届いてねぇ、好きに使え」


「好きに使えって・・・貴族や王族は薬のせいで全員眠ってるんじゃなかったのかよ」


「どうやら例の疫病にかかっても薬を貰えなかったようだ、当時はまだ幼かっただろうに酷ぇ話だよな、王妃の子じゃねぇから微妙な立場だし政治の駒として利用する為に生かされてたらしいぜ」


「そんなお姫様を俺にどうしろってんだ?」


エンリケスが悪い笑みを浮かべやがった!。


「だから好きにしろって言ってんだ、色々と便利に使えるだろ、ブライアス王国が後ろ盾になってこの国の女王として即位させるってのはどうだ?、それとも嫁にしてお前が国王になるか?」


「冗談じゃねぇぜ!、なんで俺がこんな面倒臭い国の王にならなきゃならねぇんだよ!」


「お前の親父さんは少なくともそう考えてるみたいだぜ、城に入ってブライアス王国の旗を立てろって言われて来たんだろ?」


なんてこった・・・こうなったらその可哀想な姫様とやらに何としても即位してもらわねぇとな!。


俺は店を出てファビオラの家に馬を走らせた、今は真夜中だから奴はもちろん寝てるだろう、だがそんな事は関係ねぇ!。




だんだんっ!、だんっ!


ファビオラの店の裏口を叩く、反応が無ぇ、ファビオラのくせに無視するなんて生意気だ!。


ばきっ!


俺は鍵を壊して中に入った。


どかどか・・・


畜生、呑気に寝てやがるぜ!。


「おい!、起きろ!」


俺は布団に手をかけて思いっきり引っ張った。


ばさっ!


ごろごろっ!


ごっ!


「痛ったぁぁぁい!、机の角ぉぉ!」


頭を強打して転げ回ってる、凄ぇ痛そうだ。


俺は寝起きのファビオラを無理やり着替えさせて肩に担ぎ城に向かって馬を走らせた・・・。


「空が薄明るくなって来やがったな、もう夜明けかよ」












・・・


・・・


ざざっ!


しゅたっ


「ぐぇ」


騎士を待たせてる城の裏手に到着した俺は愛馬デュラハァーンの背から飛び降りた。


着地の衝撃で肩に担いでたファビオラが奇声を発したが構わず地面に放り投げる。


どさっ!


ころころっ


放り出されたファビオラは2、3回転がって騎士の立ってる足元で止まった。


「げほっ!、えふっ!・・・わぁぁん、痛いよぅ!」


背中を強打して泣いてるファビオラの両肩を掴んで立たせた。


「城の中に入った俺の連れが倒れた、すぐ起こせ」


「そんな事で気持ちよく寝てた僕をこんな所まで連れて来たの?」


放り投げた衝撃で目からズレた眼帯を直しながらファビオラが文句を言う・・・。


「城に妙な仕掛けをしたお前が原因だろうが!」


「おじさん酷い!」

読んでいただきありがとうございます。


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