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白銀の魔女ファビオラさんの日常  作者: 柚亜紫翼
1章 あるふぁおうこく
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002 - まじょのなみだ -

002 - まじょのなみだ -


「ランラン・・・ルー、買っちゃったぁー、今日の夜は豪華なお肉ー」


下手な鼻歌を歌いながら僕は自分のお店に向かって歩いている。


持ち帰り用の箱の中には熱々のお肉、今朝ディアズさんのところに美味しいお肉が入荷したと聞いてニンニクとスパイスソースを使って焼いて貰ったのだ。


この箱の底には自作の保温魔法陣が描かれた紙が入っている、料理を持ち帰る時に僕が使っているのを見たディアズさんからの依頼で大量に作った、効果は半日程度の使い捨てだ。


予想外に街の人達の間で好評だったから今では僕のお店の主力商品になっている。


「884・・・885っと・・・」


がちゃっ・・・


カラン・・・


僕はお店の鍵を開け休憩中の札を扉から外して中に入った、お肉をキッチンに置いた後、カウンターの椅子に座ってお昼寝をする、どうせお客なんて滅多に来ないから問題ない。


・・・


・・・


カラン・・・


「・・・い!」


ゆさゆさっ!


「おい起きろ!」


「ぴゃぁぁ!」


がたんっ!


ごっ!


「痛ったぁぁい!・・・カウンターの角ぉぉ!」


誰かに肩を掴まれて目が覚める、驚いて椅子から立ち上がろうとしたら転けて後頭部を強打した。


「おい、大丈夫か!、店開けっぱなしで居眠りなんて不用心だぜ」


痛さで悶絶してる僕に男が声をかけた。


「だっ!、誰?」


「俺か?、客だが」


「あぅ・・・い・・・いらっしゃいませぇ・・・」





「痛いよぅ・・・」


店の商品棚から持って来た冷却魔法陣の描かれた紙を起動させて後頭部に当てる、ひんやりして気持ちいい・・・でも絶対コブができてる!。


「それで、何をお求めです?」


僕は目の前の男性に聞いた。


がしっ!


「なっ、何?」


いきなり頭を掴まれたよ!。


「ふむ・・・銀髪、赤い瞳・・・お前は白銀の魔女ファビオラで間違いねぇな?」


じたばた・・・


「やだ・・・離して!」


「暴れるな、魔女の涙が欲しい、あるか?」


「ひにゃ・・・ぎれれしゅ」


男が僕の頬を掴んでるから変な喋り方になったじゃないか!。


「あ?」


「品切れですっ!、あれは大量生産できないのでっ!」


「作ってくれ、50本・・・今すぐに」


「無茶言わないでよ、一度にそんな量作ったら僕死んじゃうよ!」


「ダメか?」


僕の顔面を掴む手に力が入った!。


「痛いから手を離してよぉ!、何で僕の頭や顔を掴むのさ!」


ぶん!ぶんっ!


僕は男の手を振り解くために頭を激しく振った。


「すまん、興奮して力が入った・・・ならいつまでに用意できる?」


「まとめて買ってくれるお得意様の分を毎日作ってるから・・・余分に作るとなると1日5本が限界、だから10日以上かな?」


「金は10倍出す、なんとかしてくれ」


「どうしてそんな量必要なの?」


「俺の家族が20日前にポイズンウルフに噛まれた、毒が身体に回って重体だ、薬が足りねぇ」


「そんな話聞かないけど・・・」


「隣国での話だ、薬を手に入れる為に馬を飛ばしてここまで来た」


「・・・隣国?」


「ブライアス王国、白銀の魔女が30年前まで住んでいた国だ、被害に遭ったのは俺の親父・・・ブライアス王国国王・・・」


「え・・・」


「自己紹介してなかったな、俺の名前はベネット・ブライアス、ブライアス王国の第二王子だ、お前とは俺が7歳の時に会ってるらしいから初対面じゃねぇ筈だ、頼む、力を貸してくれ」


「国王って・・・サリーくん?」


「そうだ」








かちゃ・・・かちゃ・・・


「28・・・29・・・お得意様用に作ってた分は29本かぁ・・・足りないなぁ・・・」


「残り21本、作れるか?」


「3日前に奥の手を沢山使っちゃったからなぁ・・・そもそもこの29本だって今渡すとお得意様が困るから」


「魔力弾を使い切ったのか?」


「・・・そこまで知ってるの?」


「お前の事は一通り親父に聞いてる」


「おしゃべりだなぁ・・・サリーくん」


「使った理由はこの街に流れ着いた犯罪組織・・・そいつらの首を切り落とす為だよな」


「・・・」


「俺は昨日この国の王都に着いたが街がやけに騒がしい、話を聞けば最近調子に乗ってた悪党連中が全員首を落とされて死体になったっていうじゃねぇか・・・」


「・・・」


「おっと、そんな怖い顔するなよ、俺は誰にも言ってないし言う気もねぇ」







「仕方ないなぁ・・・おじさん協力してもらえる?」


「お・・・おじさん・・・」


「37歳でしょ、おじさんじゃん」


「お前の方が何十倍も生きてるじゃねぇか!」


「僕はいいんだよ」


「なんでだよ!」


「歳をとらない永遠の15歳!、どう?、羨ましい?」


「羨ましくなんてねぇ!」


「ふふっ・・・口調がサリーくんに似てるなぁ」





かちゃっ・・・かちゃっ・・・


「さて、ここに50本の魔法薬があるよ」


「おぅ、あるな」


「これはナイフです」


「ナイフだな」


ざくっ!


「ぐっ!」


「おい!」


ぽたぽたっ・・・


「僕の血を一滴、魔法薬の瓶に入れて」


「わ・・・分かった」


ささっ・・・


てきぱき・・・


「・・・終わったぞ」


「今から魔法薬に僕の魔力を注ぐけど、量が多いから途中で激痛に耐えられなくて暴れると思う・・・倒れないように後ろから押さえててほしい」


「おぅ・・・」


がしっ!


「わぁぁ!、僕の胸触ったぁ!」


「そんなの無ぇじゃねぇか・・・これか?、この貧相な膨らみが胸か?」


「ひどい!」

読んでいただきありがとうございます。


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