017 - おうこくがほろびた! -
017 - おうこくがほろびた! -
もっもっ・・・
「・・・」
もっもっ・・・
「どうだ、美味いか?」
「・・・」
かちゃかちゃ・・・
もっもっ・・・
俺は不機嫌そうに飯を食っているファビオラの背後に回り込み、脇腹をくすぐった・・・
こしょ・・・
ぶふぉっ!
「げふぅ!ごほっ、えふっ!・・・」
奴が飯を吹き出して激しくむせた。
俺の名前はベネット・ブライアス、37歳独身だ、今俺は王族専用のプライベートスペースでファビオラと昼飯を食ってる。
部屋には家族全員で食事が出来るようにと誂えられた長いテーブルが置かれていてその上には料理長に言って一人分余計に用意した料理が並ぶ。
今日の昼はパンに白身魚のムニエル、鶏の香草焼きと生野菜だ、俺たち王族でも普段食う飯は平民と大差ない・・・他の国は知らねぇがな。
ファビオラはひどく不機嫌だ、俺に昼飯を要求してから一言も喋らねぇ。
そうだよ、俺が悪かった・・・。
王城に戻ったら人目の少ない場所に置いておくよう頼まれてた魔法陣の板を放置してた、そのせいで着地に失敗して頭を強打・・・。
「・・・おじさん」
「おじさんじゃねぇって言ってるだろうがぁ!」
すぱこーん!
まただ・・・素直に謝ろうと思ってるのにこいつを前にするといつも雑に扱っちまう、今も後頭部を思いっきりしばき倒した。
「いったぁぁい!、おじさん何でいつも僕の頭叩くの!」
どたどたっ!
がちゃ
「おいベネット、お前幼女を城に連れ込んでるって噂が・・・」
兄貴が部屋に入ってきた、王太子なのにマナーがなってねぇな、ノックくらいしやがれ。
「姉様?」
「アリアスくん?」
どたどたっ!
「姉様ぁ!、会いたかった!」
がしっ!
ぐらっ・・・どすっ!
「あぁぁぁぁ頭ぁぁぁ!」
兄貴がファビオラに抱きつき勢い余って椅子が倒れた、奴は後頭部を強打して転げ回っている・・・大丈夫か?。
「すみません姉様、まさかいらっしゃるとは思わず・・・久々に会えたので嬉しくて・・・」
兄貴がファビオラに頭を下げ、奴は頬を膨らませて不機嫌だ。
どたどたっ!
がちゃ
「おいベネット、メイド達の間でお前が幼女を裸に剥いて・・・」
「ひぃっ!」
今度は親父がいきなり入って来やがった、ファビオラは慌てて後頭部を押さえてる・・・そうだよな、これ以上頭を打ったらバカになっちまう。
「姉様っ!」
がしっ!
みしみしっ!
「ぎゃぁぁサリーくんやめて!、骨が砕けるぅ!」
ぺしぺし!
親父がファビオラに抱きつき勢い余って締め殺そうとしている、奴は親父の腕をぺしぺし叩いてるが全然効いてねぇ!。
「すみません姉様、まさかいらっしゃるとは思わず・・・」
親父の奴、兄貴と同じ事言ってるぜ、2人ともファビオラが好き過ぎるだろ・・・本人は迷惑そうだがな。
俺は話を始めた3人を放置して途中になっていた飯を食い始めた。
「おいベネット、お前何呑気に飯なんか食ってんだ!、姉様が帰って来たんだからもっと喜べ!」
兄貴が何故か怒って意味不明な事を言ってやがる、うるせぇよ俺は腹が減ってるんだ。
「姉様がここに居るという事は・・・まさかアルファ王国が滅んだ?」
親父の顔色が悪い、部屋に居るメイドに宰相を呼ぶよう命じてる。
がしゃっ!
俺は手に持ってるフォークとナイフをテーブルに叩きつける、3人の視線が俺の方に向いた。
「お前ら落ち着けよ!」
その後、俺達はファビオラにここに来た理由を尋ねた、親父と兄貴は最悪の事態を想定して顔色が悪い・・・だが単に腹が減ったから飯を食いに来ただけだって言うじゃねぇか畜生!。
「いくら腹が減ったからって堂々と城に飯食いに来るなよ!」
「だって王都に外出禁止令が出て食料を買いに行けなかったから」
俺に顔面を鷲掴みにされながら奴が更に説明を続ける。
「外出禁止令?、何かあったのか?」
「僕に聞かれても知らないよ、外に出たら捕まえるって騎士達が大声で叫んでたし・・・それよりおじさん地味に痛いから僕の顔を掴むのやめて!」
みしっ!
「あぅ」
俺は掴んだ手に力を込めて言った。
「じゃぁまだお前は王都を滅ぼしてねぇんだな?」
「・・・うん」
ファビオラはやって来た宰相と一緒に会議室に連れて行かれ、親父と兄貴からはくれぐれも大量殺戮はしないでくれ、王都を更地にするのもダメだと念を押されてアルファ王国の自宅に帰って行った。
・・・
「酷い目に遭ったぜ畜生」
俺は飯も満足に食えないまま親父と兄貴、ファビオラとの会議に付き合わされた、腹が減ったがもう夕方だ、晩飯まで待つか・・・。
そんな事を考えながら自室のドアを開けた。
「何だよこれ!」
しゅこぉぉぉぉぉぉ・・・・
ふぃぃぃぃぃ・・・
こぉぉぉ・・・
俺の部屋の隅には禍々しい魔石の装置がやばそうな音を立てて起動していた、そういえばあいつ、帰る前に城の中を歩き回ってたな・・・。
「勝手に物騒なもん置いてんじゃねぇよ!」
俺は誰もいない自室で叫んだ。
こぉぉぉぉ・・・
ふぃぃぃぃ・・・
あれから丸一日経った、俺の部屋ではまだ禍々しい装置が起動したままだ、これは触っていいのか?・・・。
すっ・・・
ひゅいぃぃぃぃぃん!
触ろうとすると音が変わるぜ畜生!。
「触れたら死ぬんじゃねぇだろうな・・・いやいくらあいつでもそんなやべーもん置いてかねぇよな・・・」
どんどんっ!
「何だよ!」
突然俺の部屋の扉が乱暴に叩かれた。
「ベネット!、すぐに会議室に来い!」
兄貴が俺を直接呼びに来るなんて珍しいな・・・。
「何があったんだよ」
「アルファ王国が滅びた、姉様がブチ切れたようだ!」
「なん・・・だと・・・」
読んでいただきありがとうございます。
面白いなって思ったら下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。




