016 - おそってるようにしかみえねぇ! -
長期間更新が止まっていましたぁ!。
多忙のため、まだ年内は不定期投稿になりますがブックマークして気長にお待ちください。
016 - おそってるようにしかみえねぇ! -
しゅこぉぉぉぉ・・・
ごごごごご・・・
「綺麗だねー」
「あぁ、そうだな・・・」
「これ、ファビオラお姉しゃんが出してるの?」
「そうみたいだな」
「凄いねー」
「・・・」
俺の名前はニコイチ・シャコターン、この国の王都で宿屋をやっている。
王都の空を巨大な魔法陣が覆い尽くして今夜で3日だ、もちろん街中に響き渡った魔女様・・・ファビオラちゃんの声も家族で聞いていた。
王族に対する警告に続いて翌日再びファビオラちゃんの声が街に流れた、彼女の話だとうちの国は隣にあるブライアス王国へ攻め込む為に向こうの王族暗殺を計画していたらしい。
上手く事が進めば今頃激しい戦争になっていただろう、だがファビオラちゃんの薬でブライアスの国王は助かり街は平穏だ。
「ただでさえ高い税金毟り取られてるのに戦争なんて冗談じゃねぇぜ」
今俺は部屋の窓を開けて昼間みたいに明るく街を照らす魔法陣を娘と一緒に眺めている。
昨日から王都中に外出禁止令が出されたから泊まりの客は外に出られねぇし新しい客も来ない・・・正直貴族どもの横暴には皆うんざりしてる。
この国は豊かだが税は年々重くなってやがる、住民の忍耐力も限界だからいい機会だろう、魔女様が貴族ども全員殺してくれねぇかな・・・。
「だがあの嬢ちゃんが人を殺すところが想像できねぇ」
もちろん俺達は大昔に起きた戦争の記録で魔女という存在の恐ろしさは知っている、だがそんな恐怖の象徴である魔女とお人好しで気さくなファビオラちゃんが俺の中で一致しない。
「まぁ・・・何百年も生きてるって時点で普通の人間とは違うよな」
どんどんっ!
宿の扉を誰かが叩いた、客か?。
「こんな時間に誰だよ、外出禁止令が出てるから外を歩いてたら捕まっちまうぞ」
がちゃ・・・
俺は部屋を出て宿屋の入り口を開けた。
「何だよ!」
外には大勢の騎士と貴族風の格好をした男が立っている、ファビオラちゃんの仕業か大半の奴は髪の毛が無ぇ。
先頭に立つ男が嫌らしく歪んだ笑顔で俺に言った。
「ニコイチ・シャコターンだな、王命により妻グローリア、娘ソアラと共に城へ連行する!」
しゅこぉぉぉぉ・・・
こぉぉぉぉ・・・
ぉぉぉ・・・
「よし、これで魔法陣の改良は終わりっ!」
僕は居間にあるソファに座って伸びをした、昨日からやっていたのは王都の空を覆っている魔法陣の改良だ、起動音の減少と夜は光らなくして魔物除けの効力も追加した。
王都全体に外出禁止令が出たからお店は閉めている、何があったのか知らないけど早く解除して貰わないと食料が尽きそうだ。
テーブルの上にある買い置きのお菓子に手を伸ばして最後の一個を口に放り込んだ。
常に眼帯を着けてなくちゃいけないけれど視力を取り戻せたから日常生活は快適だ、将来的には眼帯をしなくても視力が維持できるように魔法陣を設計し直そうと思っている。
くぅぅ・・・きゅるる・・・
「お腹すいた・・・」
ソファから立ち上がって保管庫に向かう・・・食料を入れてある冷蔵の魔導具の中を見ると殆ど空だった、でも僕は悪くない、ベネットおじさんが見境なく備蓄食料を使い切ったから無くなったのだ。
きゅるるるっ・・・
「さてどうしようかな・・・外に出たら捕まるから食事やお買い物には行けないし」
保管庫を見渡すと幾つか作ってあった台座付きの黒い魔石が入った箱が目に入る・・・これは空気中の魔素を集めて魔力に変換する装置、供給先はもちろん僕に設定している。
居間で起動して禍々しい音を立てているものと同じだ、それが全部で5つ・・・。
「先に「向こう」にも装置を置いておきたいし、もうすぐお昼だからサリー君のところでご馳走になろうかなぁ、あそこなら何か食べるものがある筈だし・・・」
僕は居間に戻って魔力弾を80個作る、無尽蔵に魔力が使えるようになったからこれくらいの作業は一瞬だ。
魔力弾と魔力供給の魔道具を入れたリュックを背負い、僕は転移の魔法陣を起動させた。
・・・
「ふわぁぁ・・・昨日は遅くまで親父や兄貴と打ち合わせてたからまだ眠いぜ」
俺の名前はベネット・ブライアス、37歳独身だ。
今俺は自室のベッドで目を覚ましたところ・・・正確に言うと俺の家はブライアス王国の王城で、ここは城内にある王族のプライベートな部屋のうちの一つだ・・・。
ファビオラの転移魔法でブライアス王都にある薬草店の廃墟に送られた俺はデュラハァーンに乗って王城に向かった。
昼前に城に到着して飯を食った後、親父と兄貴に奴から聞いた恐ろしい計画を報告、話を聞いた親父はすぐに宰相や騎士団長を集めて今後の事を話し合った。
俺はそれに付き合わされてたから寝たのは明け方だ、いい加減にして欲しいぜ。
「色々あったし打ち合わせが終わった後そのまま寝ちまった、何か忘れてるような気がするが・・・思い出せねぇ」
まだ寝起きで頭がぼんやりしてるから風呂に入ってサッパリするか、服も着替えてねぇから汗臭いし・・・飯でも食って腹一杯になったらそのうち思い出すだろう。
そう思って俺はベッドから起き上がり着ている服を全部脱いだ、それから着替えを持って部屋の隣に備え付けてある風呂に向かう。
ぱあっ!
「うわ眩しっ!」
がたっ!
ごんっ!
「痛ったぁぁい!」
ごろごろっ・・・
部屋の中が明るく光った後、俺の執務机の上に放置してた魔法陣の板からファビオラが出てきた。
机の上に着地しようとしたが積み上がった書類に足を滑らせ床に落下、机の角で後頭部を強打した・・・凄ぇ痛そうだ。
「おい!、大丈夫かよ!」
俺は頭を押さえて転がり回るファビオラに近付いて起き上がらせようとしたその時・・・。
コンコン・・・
がちゃ・・・
「お休みのところ失礼しますベネット殿下、お食事の用意が・・・」
メイドが部屋の扉を開け俺達の様子を見て固まった、そういえば昼には起こすよう執事のセバスチャンに言ってあったから部屋に来たんだろう。
床に転がって泣き叫ぶ幼女とそれを押さえ付けてる全裸の男・・・畜生!、俺がこいつを襲ってるようにしか見えねぇ!。
「しっ・・・ししし失礼しましたぁ!」
ばたんっ!
「おい待て俺の話を聞け!」
起き上がらせようとして引っ張っていたファビオラの腕を離して今出て行ったメイドを追いかける、あいつは確かメイド達の中でもお喋りだと有名な奴だ、放っておいたら俺のとんでもねぇ噂が広まるだろう。
ぱっ
ごんっ!
「あぁぁぁ!、頭ぁぁ!」
俺が腕を離したから床で頭を強打したようだ、奴が痛みで悶絶してるが今はそれどころじゃねぇ!、タオルを腰に巻いて部屋の外に出る・・・。
「もうどこにも居ねぇ・・・逃げ足の早いメイドだぜ・・・」
その後、第二王子が全裸で幼女を襲い、目撃したメイドを追い回したって噂が城中に広まったが俺は悪くねぇ!。
読んでいただきありがとうございます。
面白いなって思ったら下のお星さまやいいねをポチリと押してもらえると作者が喜びます・・・。




