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白銀の魔女ファビオラさんの日常  作者: 柚亜紫翼
1章 あるふぁおうこく
13/15

013 - はなからぱすたでたんだけど! -

013 - はなからぱすたでたんだけど! -


ベネットおじさんがうちに来た翌日、アルファ王国のお城から僕を連行する為にやって来る使いの人達が1日2回に増えた。


「こんなに頻繁に来られたらお客さんに迷惑だよ」


「客なんて殆ど来ねぇだろ」


「おじさん酷い!」


「本当の事じゃねぇか」


僕は今日2回目の訪問者さん達8人を眠らせた後、おじさんが作ってくれた料理を食べている。


明日はもっと数が増えそうな気がする・・・ちょうど魔法陣も完成したし試運転も兼ねて・・・。


「・・・い・・・ラ」


でも先にアレを試してもいいなぁ・・・ふふっ、久しぶりに・・・。


「おい、ファビオラ!」


すぱこーん!


ぶほっ!


「痛ったぁぁい!・・・おじさん何で僕の頭を叩くの?、鼻からパスタ出たんだけど!」


ベネットおじさんは事あるごとに僕の頭を叩く、今も美味しいトマトと香草のパスタを食べている時いきなり叩かれた!。


「俺が呼んでるのに返事しねぇからだろ」








「・・・で、いい加減俺の質問に答えてくれる気になったか?」


「・・・」


夕食が終わって僕とおじさんは居間でソファに座ってる、昨日から色々と僕に魔法の事を聞いてくるのだけど、それを知ってどうするんだろう?。


「おじさんはブライアスの王族だからある程度は信用できるし隠す理由もないけど・・・」


「なら話してくれてもいいじゃねぇか」


「僕が本気で怒ったらアルファ王国がどうなるか・・・って話だったよね」


「おぅ、ロドリゲスの奴もお前が何をこの国に仕込んでるのか詳しく知らねぇようだからな」


「知らないだろうねー、僕、誰にも言ってないし」


「それに・・・親父からも首輪のせいで膨大な魔力が使えねぇから魔力弾を使って魔法を行使してるようだとしか聞いてないぜ」


すたっ・・・とてとて・・・


僕は寝室に入り机の引き出しから魔物の革で作った眼帯を取り出した。


「これは知ってるかな?」


おじさんに質問する。


「いや、知らねぇな・・・両目を覆う眼帯みてぇに見えるが」


「正解、これはサリー君をはじめとする歴代の王様と「悪の華」の幹部しか知らない僕の秘密だよ」


「そんな秘密を俺に教えていいのかよ」


「おじさんが聞いたんじゃん!」


「・・・そうだな、知っておきたいから話してくれ」


僕は眼帯を付けて握った魔力弾に魔力を通す・・・僕の目の前にある物が白くて細い「線」で見える。


「・・・おじさん結構体格が良いんだね、もっと痩せてるのかと思ってた」










俺の名前はベネット・ブライアス、37歳独身だ。


今俺の目の前で眼帯を付けたファビオラが俺の容姿を言い当てた、顔は正確に俺の方を向いてるし・・・まさか見えてるのかよ!。


「お前、目が見えるのか?」


驚いて思わず尋ねた俺に奴が答えた。


「ううん、見えないよ・・・色も光も600年前に奪われたからね、でも僕の作ったこの眼帯に魔力を通すと目の前にある「物」が輪郭で感じる事ができるんだぁ」


「輪郭?」


「そう、物の輪郭が白い線になって見える、テーブルやソファ、おじさんの身体はこの眼帯を付けていればどこにあるか分かるの、もちろん構築した魔法陣も見る事が出来るから魔力弾を使ってそれなりに大きな魔法も使えるよ、これが僕の秘密」


「それじゃぁ歴史の本に書かれてる魔女達みてぇに山を崩したり出来るのかよ」


「「今は」そこまでは出来ないなぁ・・・人を何人かまとめて殺したり、城壁に穴を開けるくらいが精一杯だと思う」


ならアルファ王国を滅ぼせる力は無ぇのかよ、だがこいつは滅ぼせるって・・・。


がしっ!


「わぁぁ・・・おじさん何で僕の顔を掴むの!、痛いよぅ」


じたばた・・・


「まだ何か隠してるよな・・・話せ」


「・・・向こうの王様に警告も兼ねて今から「ちょっとした」魔法を使うから見てて(ニコッ)」


「いや!やる前に説明しろよ!」





「・・・これで良いのか?」


ごとり!


「うん、ありがとう」


ファビオラの奴は今から使う魔法を見ろと言う、隣の保管庫に必要な魔道具があるから持って来るよう頼まれ俺は言われた通りにした・・・結構な重さがあるがこれは何だ?。


「じゃーん!」


ファビオラの奴は嬉しそうに箱から魔道具を出して俺に見せた、今までは何か掴むのにも手探りだったが今は眼帯をしてるから目が見える奴とほとんど変わらねぇ動きをしてる。


「どう?、凄いでしょ」


「いや、何に使うのか全く分からねぇから何が凄いのか見当もつかねぇぜ」


貧相な胸を張って自慢げにしていたファビオラが信じられないという顔をする、俺が褒めるとでも思ってたのかよ。


俺達の目の前にあるテーブルに乗せられているのは台座付きの黒い魔石だ、えらく禍々しい色をしてやがるぜ。


「じゃぁ起動するね」


ぽちー


「待てよ!、起動すると何が起きるか説明しやがれ!」


奴は魔力弾を手に持ち、魔道具に付いてる突起を押した・・・起動にもそれなりの魔力がいるのか。


しゅこぉぉぉぉぉぉ・・・


ぶぉぉぉぉぉぉ・・・


ぉぉぉぉ・・・


「何だ!」


魔道具の起動と同時に窓の外が昼間みてぇに明るくなりやがったぞ!。


「ふふふ・・・説明しよう・・・」


だから何でそんなに偉そうなんだよ!。


「この魔道具は空気中にある魔素・・・つまり魔力の元を自動で集めてくれるの、集めた後の送り先は僕だよ、だから今の僕はどんな大きな魔法でも使えるよ・・・やった事ないけど多分山も崩せると思う」


「何・・・だと」


「それから・・・こんな事も出来るよ」


ぱぁつ!


奴の付けてる眼帯に手を翳すと魔法陣が浮かび上がった。


「・・・やっと見えるようになった・・・おじさんそんな顔してたんだね、赤いシャツ、黒い上着・・・服装の趣味は良くないかも」


「うるせぇ!、余計なお世話だ・・・ってお前、目が」


「治った訳じゃないよ、この眼帯を通して映像を直接僕の頭に送ってるの、でも視覚的には目を潰される前とほとんど変わらないから大成功だね、さすが僕!、凄いぞ僕っ!」


ぱこーん!


「痛っ・・・だから何で叩くのさ!」


「いやちょっと叩きたくなっただけだ、気にするな」


「気にするよ!」


「で、今から何するんだ?」


「この国の貴族達に警告しておこうと思ってね」













「何故魔女の所に向かった使者が誰も戻って来ないのだ!」


「状況を確認中でございます」


「夕刻に王太子を含む騎士が8名、今日2度目の使者として城を出たと聞いているが、戻って来たのか?」


「・・・まだお戻りになられておりません」


「息子は王族に危害を加えれば魔女といえど只では済まぬから自分が行くと言って出たそうだな、それに同行者には騎士団長も含まれていたと・・・」


「・・・はい」


「あの魔女は今まで大人しく薬を作っておったから害は無いと考えていたが・・・白銀の魔女について詳しく調べよ!」


ぱぁっ!


ざわざわっ!


「何だ?・・・何があった?」


バタン!


「ほ・・・報告しますっ!、空が昼間のように明るく・・・」

読んでいただきありがとうございます。


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