第5話
よろしくお願いします
壁には蔦が絡まり苔まで生えている屋敷があった。雨戸が閉じられ(いくつかの戸は腐って崩れている)人が住んでいるようには見えない。
ファンナは建物を回り込み、裏手にある物置小屋へ向かう。後ろにはきょろと警戒しながらシィーがついて行く。
壁に積まれている薪には何やら怪しいキノコが。
その小屋に向けて、ファンナは、
「ナッフ ホッジボッジー (寄せ集め)」
「なにがジャンクだぁー」
シィーもポツリ
「ユゥンライるーつーぁ ザックォ」(なるほど ガラクタ)」
「ニィ ダァ こいつも」(てめえ しばくぞ)」
ひと抱えですみそうなものが小屋の入り口から飛び出してきた。
黒光するウィッチハット、朱色のバルキーヤーンの長い髪。大きく開いた口。パッチワークのケープコート。手作り感いっぱいの人形である。
それが人語を喋りながらファンナの頭の周りをグールグールと飛び回っている。
「ちわー ネイチャー 相変わらずの元気だねー」
「オマエの失礼な喋りもだろー」
「つれないなぁ。折角、来たのに」
「たいした用事でなきゃ帰れ帰れ かーえーレー」
ファンナはバックパックからシアターから預かったランチパックを出し、
「青鷺亭のシアターからのランチパックだけど、中は川エビだよー、塩味の餡を皮で包んで蒸したのだよー、中の汁が旨味いっぱいだよー、それでもっていうなら帰るけど」
挑発するように片足をパンパンとリズムをとりながら喋っている。
「ウグゥグゥグゥっ」
ネイチャーは体を震わせて思案している。チン
「オープンゲート」
食欲が勝ったようだ。ネイチャーの大きな口元からよだれがタラリ。
建屋の壁の一部が滲み出し、ポッカリと矩形の穴が現れた。地下へと降りる階段が見える。
「着いてきな」
ふわふわと飛びながらネイチャーは二人を連れて地下へと降りていった。何度が折り返し地下深く降りていく。
ありがとうございます。