表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/21

第4話

 衛士の副長は、一頭引の2輪荷馬車のカートを手配してくれた。

 御者はファンナが務めています。隠してる特技のひとつだよ。

 シィに任せたら手綱を思いっきり引いて、馬を二本足立にさせた。

 なんと全力でしか走らせることができないらしい。荷車は潰れるし、どこにぶつかるかわかっちゃこっちやない。

 仕方なくファンナが手綱を引いている。

 隣には鎧を脱いでリラックスしているシィーが座っている。明るい色の生地でできたデコルテから脇までフロッグボタンで止める七部袖のチュニックに濃い色のスリムズボン。足先は僕があげた草鞋だったする。

 荷台には脱いだ鎧で一山できている。ガントレット ソルレット ブレストプレート ショルダープロテクターetc etc

 脱ぐのも大変。シィーひとりでは出来なくてファンナが手伝って、なんとかできた。くる時にはどうやってきたんだろ。シィーは頭をかいて無言だったよ。

 通りを進むと河岸にでた。大河ナハシェである。川幅が広く流れもゆったりしている。この川の向こうに、この国の貴族の宮殿がいくつかある。そこに行くには橋を渡るしかない。橋の高欄の端にある親柱の片方に橋守の詰所らがあり数名がお勤めしている。そこにランチボックスの配達が、今日の最後のしごと。 

「青鷺の枝束亭です。毎度、ご贔屓に」


 仕事を片付けて、

 ファンナは首に掛けていた通行証である木札を引き出して橋守に見せて、橋を渡ろうとした。

「お願いがあるのですか」

 ファンナは橋守に頼んでみる。

「この先は刀剣の持ち込みは禁止でしょ。この大刀を預かって欲しいんだけど」

 橋守たちは、意匠の凝った大刀に驚き、ファンナの後ろにいるシィーが英傑のひとりであると認識してしまうとパニックになってしまった。

 なんとか宥めて、刀を預かってもらった。



 橋を渡る間、コツコツと馬の爪先の蹄鉄がリズムを作る。カラカラと車輪がメロディーを重ね奏でる。川面に吹く風が歌を口ずさんでいる。

 ゆったりとまったりくる時間がすぎていった。

 橋を渡り切ると、今までとは趣の異なる風景となる。

 橋から真っ直ぐに広い道となる。溶岩石を切り敷き詰めたバーヴェグラニートとなっている。人が歩く部分と馬車が通る部分とではマス目が異なり区分けされている。その境には意匠のこらした魔法石街灯が一定の間隔で立っている。

 往来には馬車がほとんど。貴族がつかうのは大型4輪のキャリッジや2輪のクーペ。御用商人やお抱え商人は4輪のコーチやワゴン。

「うわったったった」

 煽られてふらついてしまった。

 小さいカートなんかで進んでいると大型の馬車に煽られてしまい街灯にぶつかってしまう。

「貴族のかなぁ。大丈夫?」

 隣のシィーを見ると手に持つ飲み物を溢したようで渋い顔をしていた。

「ドォアチンショーダ(覚えてろ) 紋は見たよ」

 後が怖そうだ。シィーも一代爵位を持っていたりする。それも高位のを。

 通りの行き止まりには、この地を収める侯爵様のシュロス様式の宮殿のがみえる。正面にアイアンワークの大門扉、そこから左右に高いアイアンワークのフェンスが張られていく。そこに至る通りの左右には侯爵を寄親とする貴族宅がレジデンス様式で辻毎に区切られて建っている。その一角を曲がり、しばらく進む。


 フェンスでもなく外装でもない。木々がこんもりと囲む一角が見えてきた。奥に蔦に覆われた屋敷らしきものが微かにみえている。

 ここが行き先、魔法使いスターチスの屋敷だったりする。



 鬱蒼とした木の間を抜けて、奥にあるであろう屋敷に近づいて行く。


ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ