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第1話

よろしくお願いします


「シア姉行ってきます」

 街では、朝餉を作る煙が途切れるころ、

 バックパックを背負、食堂のスイングドアを開けて出て行こうとすると、この食堂 青鷺の枝束亭の女将兼料理人のシアターにファンナは呼び止められた。

「先生のところにランチパック一個持っていってくれない」

 愛おしそうに目を細めて

「あの唐変木の様子を聞いてきて」

 シアターには結婚を約束している人がいる。どうも相手に押し切られたようだか満更でもないってこと。

 幼馴染だそうで。先の戦いで怪我?をしたようで療養している。すでに半周期も経っているから心配をしているようだ。

「シア姉 …… 恋しい?寂しい?」

 と告げてみるとみるみるうちに顔が紅潮し出した。

「アホなこと言わずに、はよ行きなやー」

 怒声に押し出されるようにスイングドアを飛び出していく。

 僕ことファンナはギルドに登録した冒険者なのです。

 駆け出しなんで見習いとか、収集ぐらいしか仕事がない。

 だから枝束亭で昼時のお弁当配達の依頼をこなしてます。

 それだってお仕事だよ。走るのは好きなんで配達にはもってこいなのです。


 通りは二頭立ての獣車がすれ違いができて、両端で2、 3人が並んで歩けるぐらいの幅があるはずなのだが、今日に限っては人の数が多すぎて前に進まない。獣車も何台か止まってしまっている。走り抜けることがダメっぽかった。辻で話をしている奥様方に

「ねぇお姉様方。何か街中であるのー?」

 そばにいた女性たちにニッコリ笑顔で聞いてみる。

「えっ!  そうそう英傑の麗人が来てたのよ!」

「わたし見ちゃったー」「わたしもー 麗しいとはああいうことをいうのねー」「ねー」

 かなり高名な御方がいるようだった。

 でも、これでは配達の仕事が遅れてしまう。ファンナは意を決して軒先を見ると、

「近道抜け道、行きますか!  お姉様方教えてもらってありがとう」

 御礼を伝えてから路地へと入っていった。陽が入りにくいのか少し陰っている中で、

「CALL! SPRITE seem」

 と唱え魔力を練り上げる。通常の魔法行使ではない。別のやり方だったりする。周囲に淡い光の粒子が多数現れてファンナを包んでいく。

「exaction」

 魔力解放の言霊を放つ。2歩ほど助走をして利き足で踏み切りジャンプをする。

すると軒先近くまで飛び上がって行き、通りに出てしまう。 

「体が軽い、よく跳ねるし」

 通りに渋滞で止まっている屋根付き獣車の屋根をさらなる踏み台にして、ファンナは更に高く飛んでいく。

 建屋の屋根へ着くと、そのまま屋根伝いに跳ねる様に走って行く。路地になっても、その上を飛んでいってしまった。陽の下では見えないが淡い光を放つ鱗粉を靡かせながら、しばらくにそのまま走り続けて行くと通りの先の人だかりがかなり増えている。


 人集りの上で光沢のある白い大きな布地が振れている。よく見ると肩にかかっている大刀の穂先に白い拵え。大輪の花の刺繍で飾られている。外套も半頭も真珠色。真珠色備えである。

 四英傑の一人、大刀使いシィ スアン。

 肩が張り出している様子から鎧も着ているかも。なんで、こんな街中の往来で足をすすめているのだろ。歩みに合わせて高い位置でまとめている黒髪もゆれている。

 四英傑、銀光の麗人、銀光の羽舞、彼女が歩いていく先に言葉が流れていく。先の魔災厄で勇者に従い魔王の1人を滅した傑物が1人。

 子供たちは彼女の前に出ては感謝と賛美の言葉をかけていく。男たちは感嘆し、女たちは魅了されていく。 喝采が通りを動いて行く。


「exit」

 ファンナは一計を案じ魔法を終了して、すこし離れた横合いに飛び降り、そこから、

「シャオチエ ショーウ ハニィン」

 周りとは違う異国の言葉をかけた。

 それに反応して驚いたシィは頭を巡らせてファンナを見つけたようだ。が、小さく手を振りながらファンナは走り抜けてる。







ミテイロトイワレタ

ナニヲミテイロダ

ハラヘッタ

ありがとうございました。

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