第16話
'再び問おう。なぜ我を滅さない。よき勲章になろうものを'
「そんな気はさらさらないよ。そんなことより」
'栄誉をそんなこと呼ばわりか、なるほど面白い'
「痛くしてごめんなさい。どうすれば良いかなあ」
ファンナは腕を組み、顎に手を当てて考えている。
‘我は仔のホウランさえ無事ならどうなっても良いがな、このままではどっちみち宵闇の魔物たちの餌になるだけ、それも一興'
ファンナは手をあげ振り落とし、怒りを表現する。
「ローザの友達のお母さんをむざむざ餌にする。そんなこと見過ごすわけないでしょ。ローザ泣いちゃうよ」
'心優しき存在よ。汝の心持ち嬉しいぞ。その優しさをその子と我の子に向けてくれるか'
ホルロウは今生の別れとばかりにローザリンデとホウランに優しさの詰まった視線を送っている。
((もおぅ、ねぇハシュロック。よい考えない))
遠くで治療に専念しているはずの中の人に聞いてみる。
((受肉している訳だしなぁ。アリストス爺なら診てくれると思うぞ。家畜専門だしな))
((神様を家畜と一緒にするのー,ひでぇーや))
「医者まで連れていくにしても、このガタイじゃあなあ」
アセナ神の肩までてファンナの背と同じだったりする。
'お主たち、中々面白い繋がりをしてるのぉ。ところで多少なら体は縮むぞ'
「えっ、そうなの。じゃあ、すぐやってみよーよ」
ファンナたちの周囲に神威が満ちてくる。目の前に見えているものが歪むくらいに神威が満ちた途端に収束した。
’どうだ、かなり絞れたと思うのだか'
確かに縮んだのだが、それでも頭から尻尾の付け根までで、ファンナの背丈ほどある。仮に背負ったとしても足をひきづってしまうだろう。
「でも、この大きさならカートには乗りそうだよ」
'カート?'
「そう、水桶を二つ乗せても大丈夫な作りになっているから乗せられるよ」
ファンナは、今まで静かに成り行きを見ていた。ローゼマリアとローザリンデをみる。未だローゼマリアの腰に力が入りそうにない。ファンナはまず、ローザリンデに話をする。
「ローザ、ちょっとお留守番頼めるかなぁ、俺が枝束亭にカートを取りに行くあいだ、待っていられる?」
「うん!、もちろん。いつものことだしホウランちゃんもいてくれるから大丈夫だよ」
「ホウランも頼むな」
ファンナが頭を撫でようとしたが威嚇され断念した。
「ねぇ、ホロケウ。ホウランって雌 雄?」
'雌だが、何か?'
「いや、ねえ、なんかホウランに嫌われているみたいなんで」
'ハッハッハッ。可愛い嫉妬じゃ。我慢せい'
「そんなんなの」
ファンナは嘆息した。そしてローゼマリアに声を掛ける。
「ローゼ帰るよ」
「私、まだ歩けそうにないや。ローザと一緒に待ってるよ」
「もちろん、おんぶで運びます」
「えー」




