第15話
よろしくお願いします。
(問おう、なぜ我を滅せなかった?)
「ごめんなさい。痛いことしちゃって」
フッフッフッフッ
ファンナは坂を下っていた。
「ねぇ、ファンナ。もうちょっと穏やかに走れない?」
背中にはローゼマリアを背負っている。アセナ神の神威に当てられて動けなくなった。いわゆる腰が抜けてしまったのだ。下り坂の走りとあってピッチを小さくしている。そのため、
「細かく揺すられちゃって、気持ちわるくなってるのよぉ」
「ごめんよ、我慢して。急がないといけないから」
「わかってるわよ、ちゃっちゃっとやっちゃおう」
ローゼマリアはファンナの首に手を回して体を密着させた。これで前傾姿勢をとって重心を前にできる。重力をも味方につけて前へ進むことができるようになった。
「これはこれでお腹が細かくシェイクされる。ファンナ早くしないとリバースしちゃうヨゥ」
「うあぁ、待って。急ぐから待ってえー」
途中、何度か草陰に催すことになったが市街区まで降りて来れた。平地になり歩幅を大きくとってスピードを上げていけた。
「やっと着いたよ〜。もう黄色い汁しか出ないよぉ」
ローゼマリアは枝束亭に到着するや否やファンナに掴み掛かり、よじ登って引き倒し馬乗りになる。
「いいこと、ここまでの事は忘れなさい。覚えることをやめなさい。何にもなかったのよ。いい」
ファンナは両手のヒラを向けて降参しコクコクとと頷くしかなかった。
店の裏の喧騒に気付いたのかシアターが裏口から出てきた。
「あんたたち、帰るのに馬鹿に時間かかったけど、どうしたんだい?」
ローゼマリアに組み敷かれているファンナを見て、仁王立ちになりながら、
「詳しく聞かせな」
「ローゼ、後は頼むよ。ローズたちを迎えに行ってくるよ」
ファンナはローゼマリアから這々の体で離れ、水桶台にあるカートを動かしていく。
「後はローゼに聞いて」
早速、カートを引いて裏庭から出て行った。
シアターは、しゃがみ込んだままのローゼマリアの横に近づきながら
「何があったの」
「う〜ん。腰の抜けた神様を迎えに行くの」
「意味わからん」
ローゼマリアは自分のことは棚に上げて、
「私もようわからん」
ありがとうございました。




