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シャボン玉の少女と妖精の森  作者: よいずみ よもり
8/20

その8 ゆきうさぎ(Part. S)

「ふぅ…とりあえず、何とかなったあ…(´・ω・`);」

「まさかいきなりドラゴンに遭遇するなんて…」

「この森って時々あんなのがいるみたいですよ(’▽’;)」

「…もしかして、あれも妖精とか言っちゃうんですか…?」


ひっくり返るあたしと、胸をなでおろすシャム、とんでもない発言をするハーミアさんに、珍しくも思わず突っ込みをいれるサピア。


村を訪れた冒険者達の中には竜を見たという報告があると彼女は教えてくれる。

それでもここは竜の森ではなくて妖精の森なのだ;

適正レベルどんなんよ…;


「とりあえず皆無事で何よりね…あ、シャムちゃん、持っていかれちゃった荷物は大丈夫?」

「日用品程度ですので大丈夫です。重要な荷物はスズさんが持っていますから。」

「そうよね、よかった!それとハーミアさんは…私達を助けに来てくれたのよね?」

「あはは…助けになったかは分からないけど、一応(*ノωノ)」

「逃げられたのはあなたのおかげよ。ありがとう♪」


素直にお礼を言えば、ハーミアさんは嬉しそうににっこり笑う。

あのまま三人で戦っていたら、負けはしなかったかもだけど、魔力の消費や被害がもう少し多かったかもしれない。

それに何より、昨日袖振り合ったような縁なのに、こんな風にあたし達を助けようとしてくれた気持ちが嬉しかったのだ。


「あの…スズちゃん。持っていかれちゃったのは、シャムちゃんの荷物だけですよね?」

「うん?そう見えたけど…?」

「そうすると、あれは何でしょう…;?」


サピアが何かに気付いて、先程まで幼竜がいた場所を指さす。

むっ?と目を細めてみれば、そこにはなんだか白いモコモコした何かが落ちていた。

すぐに皆にここを動かないようジェスチャーして、それは何かと近づいてみる。

するとそこには、白い肌に赤い目、緑の葉のような長い耳をつけた生き物が、ちょっとぐったり倒れていた。



「これって…これも、妖精―?」

「ふむ…それはおそらく“ゆきうさぎ”じゃな(-ω-)特段害のあるものではない。」


安全を確認すると、ぴょんとライ君がこっちに来て、その生物を言い当てる。

またウサギか(;・∀・)!というつっこみはもういいやってなる。

まあこの子のふわっとした感じなら、ギリギリ妖精と認めてもよさそうでもある。


無害というイヌウサギの判断を受けて、続々と皆が草むらから出てくる。

すると、すぐにサピアがゆきうさぎの容体に気が付いた。


「この子…弱ってないですかっ!?」


そう言うなりすぐに自身の杖を取り出して祈るサピア。

すると杖にあしらわれた薄青の花がふわりと光を放ち、強い癒しの効果をもつシャボン玉がゆきうさぎを優しく包み込んだ。


普段泣き虫で弱気なこの子が、こうした強い語気を発するときは、大抵何かを助けてあげたい、守ってあげたいというとき。

もちろんあたしも同じ気持ちだったから、サピアのシャボン玉による癒しに期待する。


しばらく治療を続けると、ゆきうさぎはぱっちり目を開けた。



その8 終

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