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シャボン玉の少女と妖精の森  作者: よいずみ よもり
7/20

その7 合流(Part. H)

「(このあたりかな―?)…あれっ?」

「馬鹿者っ!距離が未知の場合は小刻みに動けと言っとるじゃろ―(`ω´)!!」


悲鳴を聞きつけた後にすぐ、私は声の方に向かってライ君を抱えて転移した。

するとライ君の怒声がすごく大きくて、ちょっと目を瞑ってしまう。

彼自身もその音に身震いしているのが腕から伝わってくる。

なんでこんなに音が響いているの…?


目を開けると眼前には、燃え盛る炎を口に溜めた赤竜の仔。

そして私と竜の間には、炎の光を浴びて薄く虹色に光る膜が張っている。

背後には、昨日出会ったスズラン、サピア、シャムがこの順で遠のくように並んでいる。


―やっとわかった。

ドラゴンに遭遇して驚いたサピアの悲鳴を聞いた私は、咄嗟に転移したところ、両者が対峙するど真ん中に飛んできてしまったのだ。

ごめんね、ライ君の言う通り…;


炎を背に、輝くスズランの瞳と目が合ったその時、私と彼女、ライ君、それにサピアとシャムは竜の背後の草陰に瞬間移動した。これはライ君…というか、ポケット先生の転送術。

幼竜は目標を見失ってきょろきょろしている。


「無詠唱の転移魔術!?…驚いたわ;」

「あはは、まあ今のはライ君のだけどね;」

「あ、あの、えっと…何が何やら;」

「サピアちゃん、今はそれより、あの竜をどうするかです。」

「うむ。敵意があるのか、ここで見定めようぞ(-ω-)。」


驚くスズラン、弁明する私、混乱中のサピア、冷静さを失わないシャムとライ君。

皆でこっそり観察していると、いなくなった脅威に、まあいいかといった感じになった幼竜が、先程シャムが投げた荷物をくわえてノシノシ去っていくのが見えた。

あと何か、吹き上げられた白いものがポテッと地面に落ちている。


随分距離が離れたところで、皆で一斉に大きな安堵のため息。

緊張が一気に解けて、なぜかそこで皆で笑顔になってしまった。




その7 終

ひとこと事項


・転移術と転送術

 ワープ魔法は転送術とも呼ばれているが、転移術と呼ばれることもある。使い分けられる場合には、転移術が術者が自身をワープさせるもの、転送術が術者が他者をワープさせるものとされるが、あまり区別されずに用いられることも少なくない。


・無詠唱

 魔法の行使の際に、その予備動作を必要としない場合を指す言葉である。瞬間的に魔法を用いることができることから、戦闘時などの機動性が必要とされる場面では重宝される。予め魔法行使のための予備動作を媒介に仕込んでおく方法や、魔法陣をいずこかに格納しておく方法など、無詠唱を行うための手段には多様性が存在する。

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