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シャボン玉の少女と妖精の森  作者: よいずみ よもり
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その6 遭遇(Part. S)

妖精の森の村に到着した翌日のこと。

新鮮な野菜たっぷりの朝ご飯を食べ終えると、皆で早速森に散策に出た。

もちろん美味しそうな昼食も作ってもらってある。


「朝ご飯、おいしかったですね。」

「そうですね、意外と水が合っているのでしょうか…?」


今は三人しかいないから、サピアもシャムも饒舌に、少し距離を置いて自由に歩く。

うちの妖精達はあまり肉類を好まないから、宿のオーナーが気を利かせてくれたのだ。

まあ、あたし自身は時々お肉も食べたくなるんだけどね!


「さて、今日は“人型の”妖精を探すわよ!」


ここへきた目的…の足掛かりとなるのは、人型の妖精達にまず出会うこと。

彼彼女達からこの森についての話を聞くことができれば御の字である。

数は少ないとはいえ、0ではないなら、希望はある。


分かれ道を適当に選んだりして歩きながら、ふと昨日の少女を思い出す。

ハーミアさん、だっけ?悪い感じの子じゃなかったな。

珍しくサピアちゃんもすごく怯えているわけではなかったし…。


あ、でもあの喋るイヌウサギには驚いたわ…;

見た目はともかく、使い魔って言ってももっと良いのがいるでしょうに…;


新鮮な朝の森の空気を一杯に吸って深呼吸すれば、頭もすっきりして気分が良い。

色々昨日を思い出していると、サピアとシャムが立ち止まる。

何かを見つけて、覗き込んでいるようだ。


「二人とも、どうしたの…(*’▽’)?」

「あ、えっと…そこに…」「…赤い小山がありまして。」


一応道は塞がないように、草に紛れて大きな赤い山が1つ。

よく観察すると、乾いた肌を上下させている。

大きめの魔物だろうか。


「二人とも下がって。もしもの時は、援護をお願い。」


妖精達を背中にかばい、いつでも魔法が使えるように集中しながらそれに近づく。

赤くて、かさかさの…固くて冷たそうな皮膚。

ここがしっぽで…ここが…頭!!


「うわぁっ、これ龍だっΣ( ´・ω・`)!?;」「-∑(ʘдʘ)!!」


思わず大声を出してしまうと、身を屈めていたあちらも汗?を吹き出し体を持ち上げる!

足の太さだけでも丸太くらいあるし、四つん這いでも私よりずいぶん背が高い。

まずい、幼いけどこれ竜だ―!!


途端に竜は口を赫々と燃え上がらせる!

炎のブレスの予兆である!


咄嗟に両手を組んで、ありったけの力でシャボン玉を展開する!


ぶわあっ―!!


「きゃああああっ!!」


次の瞬間、背中からサピアの叫び声。

でも大丈夫、展開したシャボン玉が炎のブレスを防いでいる―!!

シャボン玉に進路を妨げられた炎は大分威力を落としつつも、あたしの後方に散っていく。

ちらりと確認すれば、シャムが持っていた荷物を投げて炎を防ぎきり、サピアを身を挺して守っている様子が目に映る。


よし―。

最も危険な初手は防いだ。

次はシャボン玉で竜の体を包んで無力化させる―!!


そう思って竜に焦点を戻した瞬間。

あたしの目の前には、あろうことか先程思い出していた少女の姿があった。

とりあえず意味が分からなかった。


その6 終


ひとこと事項


赤竜レッドドラゴン

火属性の竜種。寿命が長く、知能も高いが、個体数はさほど多くない。年齢が100に満たない個体は幼竜とされ、成体と比べると力は弱いものの、それでも人間種を優に凌駕する膂力と無垢の好奇心から、人との間に時に大きな事故を起こすとされている。


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