その4 出発の準備(Part. S)
妖精観の違い―…。
完全に想定してなかった!!
あの淑女なワープ屋さんの言葉が正しかったわ!!
目の前にいるしゃべるイヌウサギを見て痛感する。
でもハーミアさんは“妖精っぽい妖精も少ないけれどいる”とは言ってくれていたから、ここへ来たことは完全に徒労というわけでもなさそうだった。
「スズちゃん、どうします―?」
不安そうな声のサピアに微笑んでみせれば、彼女もぎゅっと両手をこわばらせながらも微笑んでくれる。
こんな可憐な姿を見せられちゃうと、保護者パワーっていうのかな、逆に勇気が湧いてくる。
「大丈夫!せっかくここまで来たんだし、森を探索してみようよ(^^♪」
「そうですね…。でもまずは、宿から探しませんか?」
「確かに―!!」
シャムのナイスなフォローを受けて、ハーミアさんに村の宿の位置を聞く。すると森の入り口の傍に“橋の隣亭”なる宿が存在していることを教わった。
「それじゃあハーミアさん、またね。色々教えてくれてありがとう(’▽’*)♪」
「はい、スズランさん、グッドラックです(*’▽’)b」
挨拶をして外に出れば、一面の雪化粧。
これは来る前に防寒の話を聞いておいてよかった。
とはいえ薄着でいられるのは、あたしとサピアちゃんの魔法のおかげ。
あたし達は周囲を透明なシャボン玉の膜で覆い、温かな空気に包まれながら宿に向かった。
宿のおばちゃんにも思ったより薄着だとびっくりされたけど、雪国出身くらいに言っておく。ばちっとウインクしてみせれば、シャムやサピアは笑ってくれた。
さあ拠点もできたし、明日からは妖精の森探索へ出発だ!
その4 終