その18 先へ(Part. S)
人と妖精が素朴に暮らしている場所を見つけた。
妖精の園と人間界を繋ぐ場所も選べた。
そして現地で友達もできた。
出来上がった転送陣の前に立って、改めて果樹園を見渡す。
あたしと、サピアと、シャムの三人で。
振り向けば、ハーミアさんと、ライ君と、ドリアードが立っている。
みんな笑顔で、ちょっと一人能天気すぎる笑顔で、あたし達を見送ってくれていた。
「それじゃあここに接点を無事選んで作ってきたこと、園の長様に報告に行ってくるね。」
「いってらっしゃい。どれくらいかかる感じなの(*’▽’)?」
「そうね…向こうでもやることあるから、ちょっとそれは分からない、かも…。」
「そっか…。」「でも!」「-?」
「なるべく早く帰って、きたいな…?」
「ふふ♪ここの支部か、スズちゃんが村に来るときに使った支部で待っているよ♪」
「うん!!」
ハーミアさんに別れを告げると、よし!と腹も決まって、ついに足を踏みいれる。
あたし達が行方不明者扱いにならないようにという手筈も、彼女を通して立ててあった。
「ハーミアさん、ありがとうございました♪ゆきうさぎちゃんによろしくね…。」
「ライ君さんも、ドリアードさんもお世話になりました。」
怖がらずに話せるようになったサピアと、最後まで丁寧なシャム。
そんな二人もお礼を述べて、皆陣の中に入る。
「あ!それと…!」「-ん(*’▽’)?」
「今度帰ってきたら、その恋の話、教えてねっ―( *´艸`)♪」
「ぐはっ(๑°ㅁ°๑)!!」
面白い反応のハーミアさんを置いて、あたし達は転移する。
ぶわっと虹色の光が周囲を包んだ次の瞬間にはもう、眼前に妖精の園の景色が広がっていた。
―ありがとう!
またね!
その18 終
ひとこと事項
・妖精の園の長
どうやら妖精の園には長たる存在がいるようだ。




