その17 果樹園(Part. H)
お昼ご飯をとり終えると、私達はドリアード君を交えて歓談しながら果樹園を目指した。
その場所は、ピクニックをした場所からはそれほど離れていないところで、
森の中ではお日様が良く当たる良い場所だった。
「これって何て果物なの(*’▽’)?」
「えっとね、それはブドウモモ。」
「「「ブドウモモッ―!?」」」
ブドウやモモがこの季節にあること自体変だけど、大きな1粒のブドウみたいな形をしていることにびっくりしてしまう。
でももしこれが、モモみたいなブドウの味がするなら…!
許可をもらって口に入れると、瑞々しいまさにブドウとモモのジュースのような味がした。
なんておいしいんだろう!!
「ん~っ(>▽<)!!」
「あははっ!喜んでもらえて何よりだよ~♪みんなも好きに食べてね!」
「あ・・・ほんとだ、これ、おいしいです♪」
「これは何でしょう…ナシみたいな香りがしますね…!」
「やった~!じゃあ私はこれっ!」
妖精の園の妖精さんたちは皆果物が大好きなようで、けっこうむしゃむしゃ食べている。
無心にほおばるスズちゃんも併せて、皆可愛いなあ。
果物狩りをしながら歩いていくと、大きな一本の古木に行き着いた。
「この辺りでどうかな?」
「うん…うん…あ、多分ワープ地点としてはすごく良い感じだと思うよ(*’▽’)!」
周囲に空間の歪みも少なくて、強い他の転送術式の影響もない。
着地に失敗してもふかふかの土の上だし、陣の利用以外での往来も多くなさそうだ。
転送陣を設置する要領で周囲の確認をすると、スズちゃん達に感謝された。
「どうする?形も普通の転送陣みたいにしておく?」
「そうね、偽装の意味でもお願いできるかしら?」
「わかった~(*’▽’)!」
転移先の座標等は、スズちゃんがもっていた宝物に刻まれていたみたいで、それを囲んで、サピアちゃんとスズちゃんが手を繋いで祈れば、びっくりすることに、転送術に近い魔力を感じる、ワープ地点が出来上がっていた。
私はそれを、ライ君と一緒に打ち捨てられた転送陣っぽく装った。
先生、こういうことは悪いことじゃないですよね?
途中でこっそりそう聞けば、ワシもよくやったもんよ、とにっかり笑顔が返ってきた。
その17 終