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シャボン玉の少女と妖精の森  作者: よいずみ よもり
15/20

その15 ドリアード(Part. H)

「おいしいっ( *´艸`)これどうやって作ったの!?」

「今度先輩に聞いておきます~!」


お昼ご飯を無くした三人のために、私は持ってきていたお昼をみんなで分けることにした。

本当はディアス先生の分だったのだけれど、顛末を書いた手紙を先輩の元にこっそり転送したら、むしろグッジョブという謎の返事が返ってきたのだ。


どうやらお腹が空いた先生自らが、先輩の元まで訪ねてきてくれたのだという。

ついに胃袋を掴みましたね、先輩( *´艸`)!!


日当たりの良い場所を選んで皆でピクニックをしていると、話が弾む。

私の学校のこととか、オリヅル先輩の恋の話とか、スズちゃん達の旅のお土産話とか。


実はこれは私が考えた、とある妖精を呼ぶための作戦だったりする。

こうしているとやってくる、人型の妖精を知っていたのだ。

本当は気が進まないのだけれど、スズちゃんたちのためである!

テンションも上がってきゃあきゃあ楽しんでいると、やがて知らない子が話に混ざっていることに気が付いた。


「すごいねえ!そんなことがあったんだあ…(*’’▽’’)」

「あ、のう…どちら様ですか;?」

「えっ―誰っ;!?」


黄緑色の綺麗なショートカットの男の子は、爽やかな笑みで私達を見ている。

怪訝そうなシャムちゃんに、言葉を失って怯えるサピアちゃん。

やっぱり出てきたと思っている私の隣で、スズちゃんが確認をとる。


「あなた…妖精ね?」

「うん。ボクは妖精ドリアード。人間たちの噂話を聞くのが大好きなんだ♪君たちの楽しそうな話題が森に響いていたから、思わず来ちゃった( *´艸`)。

…あ!君は!この前はおいしい失恋話をありがとう!」


思わず飲んでいたお茶を吹き出しそうになるのを抑える。

何とも悪意のない笑顔がすごく可愛らしいけど、こういう子なんだよね…;

すごく気になる!という視線が一瞬集まるも、スズちゃんはこほん、と仕切り直してくれて、


「…やっと人間型の妖精に会えたわね。ここまで来た甲斐があったわ。」

「ん?僕みたいなのを探していたの?」

「ええ。この森の過ごしやすさと、周囲の人間と妖精との関わり方について聞きたくて。」

「そうなんだあ(*’’▽’’)いいよ!」


私達の話を(一方的にだけど…)聞かせてもらったお礼にと、ドリアード君はこの辺りのことを色々話してくれた。


どうやら妖精の森の村が建設される前から人間と妖精との仲はよかったそうで、これまで大きな諍いもなかったという。

それを聞いたスズちゃんと二人の妖精は、ほっと胸を撫でおろしていた。


彼女たちがここにきた本当の目的を私は知らない。

でもそうだとしても、私と皆が仲良しであることは変わらないんだ。

そう思って知らぬふりをしようとする私に、スズちゃんが改まった声でこう言った。


「二人とも…いいわね?」「うん…」「はい…」

「…ハーミアさん、あなただけに言っておきたいことがあるの…でも、もしかしたらそれは、あなたの仕事に抵触しちゃうかもしれなくてっ―;」


サピアちゃんとシャムちゃんも、真剣な面持ちで押し黙っている。

私にもちょっとだけ思い当たる節があったので、二人が認めてくれているならば、と息を飲んで頷いた。




その15 終

ひとこと事項


・ドリアード

 普段は様々な植物を育てて暮らす、人間の噂話を聞くのが大好きな妖精。妖精の森で目撃される種は、噂話を聞かせてくれた御礼に人の気分をマイナスイオンたっぷりの空気ですっきりさせてくれるという。過去にハーミアは、失恋話をこの妖精に食べられている(In the Fairy’s Forest 参照)。

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