その12 洞窟の主(Part. S)
やっぱり冒険者たるもの、ダンジョン探索よね♪
なんでもござれとシャボン玉を剣の形に凝縮して、大手に振って。
ぴょんぴょこ跳ねるゆきうさぎの後をついていく。
話によれば、この辺りは王国民も滅多に来ない秘境の1つ。
そんなところにある洞窟なら、もしかするとお宝だってあるかもしれない。
そう思いながら進みながらも、少しずつ洞窟の構造に違和感がしてきていた。
どうも中に生物が少ないような…?
「-スズラン殿( -ω-)」「ええ、分かっているわ。」
白毛のライ君とゆきうさぎは、光の魔法が良く映える。
わざわざこちらに声をかけるのは、気付いているのがあたしとライ君だけだからか。
とりあえず、足早になってゆきうさぎの隣につく。
「ねえハーミアさん、この辺りの住民の…魔物と妖精の見分け方って何なのかしら?」
「-え(๑°ㅁ°๑)?」
「やっぱり、敵意があるのが魔物で、好奇心くらいなのが妖精って感じ?」
「そ…そうなるのかな?」
「じゃあやっぱりあれは…魔物ってことでいいのねっ!!」
「「「-っ!!」」」
突然ビシャっと液体的な何かが飛んできて、あたしの展開したシャボン玉の膜を覆う。
なんだかシュワシュワ言っているし…十中八九毒の予感。
ひっくり返るゆきうさぎをシャボン玉に入れて、すぐ後方にパスすれば、サピアがナイスキャッチする。
シャアアッ―!!パパパパンッ!!
「うひゃあっ;鋭いっ―!!」
凄まじい速さでかぶりつかれたあたしは、その牙でシャボン玉を割られてはすぐに展開を繰り返し、3、4回の張り直しでやっと顎の力と拮抗する。
周囲は口内環境すぎて、一体何に噛みつかれているやら分からない。
でも、とりあえずは威力を止められた!
「やああっ―!!」「グワアアアッ!?」
人間に例えるなら、小人が口の中に入って、舌に載った状態で、鋭い剣を突き上げた感じ。
鼻を突き抜けるシャボン玉の剣を受けて、魔物は勢いよく頭をひっこめる。
それにつられて私も奥へと引き込まれそうになった時、パッとその場に転移される。
ハーミアさんなのかな?とりあえずナイス!
2撃目に備えて剣を構える。
皆の周りの方を照らしているから、シャムの光は奥の奥までは届かない。
暗い洞の先を、耳を澄ませて、澄ませて…!!
「上じゃっ―!!」「えっ―!?」
洞窟なのに…上っ!?
顔を上げると、そのままぐりんと後ろを向く。
そこには、後方のサピア達を洞窟の上から丸のみにしようとする大蛇の姿があった!
この洞窟、上にも穴があったのね―!!
咄嗟に皆の周囲にシャボン玉の膜を作ろうと手を伸ばした―!
その12 終