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第22話 俺は悪くない

雨の日、めっちゃ憂鬱

「…」

「あの…おはよう」


 俺は無言で降りて来た葵に挨拶をする。


 今日は寝ぼけ眼ではなく、しっかりとした目つきで此方を睨んでいる。


「…流石に洗濯物は自分でやるので…起こせばいいので…」


 葵が少し口元をピクつかせながら言う。


 そう。

 昨日俺は、那由さんの言う通りに洗濯をしようとした。そしたらちょうど下に来た葵にそれを見られたのだ。


 その時は胸倉を掴まれながら事情を話し、ギリギリ分かって貰った。


 殴られてないだけ、俺の扱いはマシになった…と思いたい。


「分かった…気をつけるよ」


 そう言うと、葵は少し訝しげな視線を俺に向けた後、朝ご飯を食べ、家から出て行った。


「ふぅ…」


 俺は椅子に深く腰掛け、大きく息を吐いた。


 そして。


「あ、サイン渡すの忘れてた」


 那由さんから貰ったサインを渡し忘れたのだった。






「葵? 何でアンタがこんなに仕事してるのか分からないんだけど?」


 昼休み。私が文化祭の準備について頭を悩ませていると、環がまた説教をするのか私を睨む様に細目で見てくる。


「いや、だから色々あって…」

「だからその色々を聞いてるのよ?」


 環が貼り付けた様な笑みを浮かべて、こっちに迫る。


 怖いけど…あの事は言わない方がいいよね? 流石に人としてというか…。


「授業中もこれ文化祭の事についてやってたよね?」

「うん…」

「しかもそれ先生にバレて怒られてたよね?」

「…」

「文化祭実行委員は2人いるんだから、協力してやりなさいって」

「……」

「それで葵? 何で葵がそんなに仕事してるの?」


 …私は環の勢いと迫力に事情を話した。




「はぁ〜…なるほどね…でも、何でそれで葵が苦労してんのよ!?」


 机に手を着き、前のめりで迫ってくる環。


「いや…だって…」

「…葵は自分に優しくする人に少し気を遣い過ぎな気がするよ…それじゃあ自分が損するだけ」


 環は前の席の椅子に座る。


「葵が昔から苦労してるのは分かってる。だけどその所為で今も苦労するのは良くないと思うの…だから少しは勇気出してみたら?」


 環は問い掛ける様にして言った。


 だけど…。


「ありがとう…でも、もう少しだけ頑張ってみるよ」

「……そんなぎこちない顔で何言ってるよ」


 そう言って、環はまた手伝ってくれた。






「…ただいま」

「おー…おかえり」


 俺は帰ってきた葵に普段通り接するかの様に、返事をする。


 今日は一段と疲れた表情をしている。何かあったのだろうか…。


 そんな事を思うが、昨日教えて貰った事を考えると今は触れない方が良いべきなのか…。


 今まで普通の女子と関わる事がなかった世理にとって、現役女子高生、義妹、よく分からない性格というスペックを持った美少女に気遣うのは困難を極めていた。


 世理は一先ず、何も気遣わないと言わんばかりに調理を進めた。


「…どうぞ」

「…ありがとうございます」


 そして何故か、言葉遣いが丁寧になりながらもテーブルに料理を置いていく。


「いただきます」

「…いただきます」


 いつもより少し低い声で葵が手を合わせ、ご飯を食べ始める。


 何も会話もせず、食事が進む。


 そして時を見計らって、世理は自然にアレを取り出した。


「はい、これ」


 葵の目の前に置く。


「え…これって…」

「これは神寺かみじ 世田よた先生のサインだ」


 那由さんのサインを差し出す。


 神寺世田とは那由さんのペンネームだ。


 まぁ…ハッキリ言って所々違和感があるペンネームで、怒りたくもなったが本人が何となく付けたと言うのだから仕方がない。


 葵はサインと俺の顔を交互に見る。


 そしてそれを何度か繰り返した後。


「な、何で神寺先生のサインを持って…」


 顔を少し伏せながらボソリと呟く。


「実は神寺先生とは昔から友達で

「それは本当ですか!!?!?」


 葵は椅子から勢いよく立ち上がった。


 そしてその勢いでコップに入っていた水が、葵の服に掛かる。


「あ」

「え?」


 俺の視線は言わずもがな、男としては当然に《《そこ》》に吸い込まれた。




 黒いフリルのついたものだった。


「少し大人っぽい」


 そう、俺は何も悪くない。

 俺達は家族になったとは言え、まだ会ってから1ヶ月も経っていない。増してや、最近やっと打ち解けられて来たのかもと、思い始めたぐらいだ。


 理性では家族だと分かっていても、自然とそこに惹きつけられてしまう。


 その時の葵は俺が神寺先生の友達と分かった興奮状態から、冷たい水に掛かられた事によって正気を取り戻したのだろう。


 さっきの疲れていた様な表情は何処へやら。


(ま…こんなのあっちに居た時とそんな変わらないか)


 顔を真っ赤にした葵の拳が迫る中、世理の視界はあっという間にブラックアウトしたのだった。

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