誰かの記憶
そこら中からパトカーのサイレンが聞こえる。
あのクソ警察のせいで弾が貫通して腹に入った。
「クソッ、クソッ、クソッ! やらかした!」
必死に止血しようとするが一向に止まる気配はない。
両の手が血で赤く染まり、止血用に使っていたハンカチも真っ赤になりもう吸い取れない。
止血をするにはまず初めに傷口を心臓より上にあげる、そして圧迫して止血する・・・というのが一番だが、この傷は心臓の上にあげようがない。頑張って逆立ちすればできないこともないが圧迫することは出来ないからしょうがないが火で傷口を焼くこととしよう。
レストランから盗んできたナイフ、そしてライターを使い、熱々に熱した傷口を焼く。
「ッ!」
想像以上に痛かった。
もちろん撃たれたときも痛かったがその痛みの10倍も上の気がする。
これはいわゆる焼灼止血法というやつだがこの後は必ず消毒を徹底的にやらないと膿がはえる。
っとその前に弾も出さないとな。
「・・・痛いな」
カランと弾が地面に転がり、ピンセットを置く。
「ん?」
急に目の前に妙な爺が現れた。
「なんだよ爺、ぶっ殺すぞ。」
『やれやれ。そなたもここまで落ちたか。』
そう言うと爺は消えた。よくある漫画みたいにサーッとな。
俺は疲れて幻覚を見てるんだと思い、その場を後にした。
ーー3日後ーー
眠い。ただそれだけが心に残っている。
あれから傷を縫って周りの蟻を食べた。心なしか一番とは言わないが美味しかった。
ただ、一気に食べると歯が喉に突き刺さって痛かったが・・・
川原にいたが、俺はどうしても釣りが苦手だったから傷の痛みに耐えながらも熊の如く素手で魚を捕まえた。
我ながらあほだったと反省している。しかも捕れた魚は小さなわけの分からない魚。
とりあえず丸焼きにして食べたがこれがまた美味かった。
骨こそは多かったが小さく、噛み砕くことが出来るほどだった。
この日は3匹食べて、寝た。
次起きたときは牢屋の中だった。
「おい!出せよ!!」
そう叫びながら鉄格子を叩く。
周りに牢屋はなく、看守の姿もない。
ただあるのは真っ白な壁が数百メートルに渡ってあるだけ。俺の視力では先が見えない。
ただただ俺の声が反響するだけ。反響するということは必ず壁があるということだ。
「あーー」
試しに声を出してみたがすぐに声が返ってきた。
ということはせいぜい長くても1km以内だろう。
にしてもかなり長い。こんな囚人一人のためにこんな大きい牢屋を用意するだろうか……
服は真っ白な無地に変えられていたが何故か前の服に入れてたはずのピンセットやらがそっくりそのまま入っていた。ここまで来るとおかしいとしか思えないが今俺に出来ることはただ小さなピンセットでごっつい鉄をちまちまと削ること。ただそれだけだ。
約一時間たったが削れたのは1mmにも満たない深さだった。
すると真っ白な壁がパッパッと色々な背景に変わり、学校の教室のようなものに変わった。
鉄格子はなくなっている。
どこか見たことのあるような景色だったが俺の記憶にはない。何故なら学校には行ったことがないからだ。
教師のような人が黒板の前で授業をしており、周りには小さな子供が何人も座っていた。
いつの間にか俺までも机に座っていた。
体を動かそうにも動かせない。
「では、西條君。ここの答えを書いてくれるかな?」
「はい先生。」
言いたくもない言葉を勝手に自分の口が言い、席を立ち、答えを書いた。
変な気分だ。
俺の前世の記憶だろうか。すべてが見覚えのある人や物だらけだ。
「はい、よくできましたね。」
周りから拍手が響き、えへへとこの西條とか言うやつは頭を掻いた。
………チリリリリリリリ
「火事よー!逃げてー!」
女の声が聞こえ、逃げようとしても体が動かせない。
『クソッ早く動けよ!』
「みんな落ち着いて逃げましょう。」
「西川君押さないで!」
「田畑さん起きて!起きてよ!」
同時に何人も喋り始め、教室は混乱状態となった。
最近忙しいので更新遅いです。