表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/93

31 竜舎に向かおう

 俺の住む小屋から竜舎までは、徒歩で五分ぐらいの距離がある。

 俺の小屋と、竜舎は、学院の広大な敷地の端と端に建っていた。


 歩いている途中でジュジュは目を覚ましたが、大人しく俺に抱っこされている。


「ランズベリーさんは竜舎には何度か訪れたことがおありですよね」

「はい。ペリシエさん。たまに仕事をいただいておりますから」


 俺は雑用業務で、竜舎にはそれなりに行ったことがあった。

 飛竜の世話は専門職である厩務員がやっている。

 素人が手伝える範囲はとても少ない。

 俺がするのは、その助手のさらに助手だ。


 助手の指示の元、飛竜が外で運動している間に寝床に敷いてある藁を交換するのだ。

 あとは、ゴミ捨てや、壊れた備品の修理と交換も大事な仕事だ。


 手伝いを始めてから五年目ぐらいにやっとブラッシングや餌やりや水の交換など、飛竜に触れることを許された。

 そして去年、やっと運動の際に背に乗ることを許されたのだ。


「竜舎のお手伝いはとても楽しいですから」

「ランズベリーさんは飛竜がお好きなのですか?」

「はい、飛竜の世話は素人ですが……十年以上前、飛竜に乗ることがあったので」


 剣聖だったころ、自宅には父が王から貸与された飛竜がいた。

 とても賢い竜だった。

 その竜は、父の死とともに王宮に返却されている。

 もし、魔法革命が起きず、俺が王の剣術指南役を継いでいたら、そのまま飛竜も貸与されたままだったかもしれない。

 竜に騎乗していた経験があったからこそ、数年かかったとはいえ、竜に触れることを許され、乗ることも許されたのだ。


「そうだったのですね。私は飛竜に乗るのが苦手で……」


 人には得意不得意があるものだ。


「ペリシエさん。ところで、フェリルさんは飛竜の背に乗れますか?」

「がぅ?」


 フェリルはとても大きい。

 飛竜の方が大きいとはいえ、飛竜の背にフェリルが乗るのは難しい気がする。


「フェリルは乗りません。走って追いかけてもらいます。誰も乗せていなければ、フェリルの速度は飛竜に匹敵しますから」

「ガァウ!」


 フェリルは自慢げに尻尾をピンと立てていた。


「それはすごいですね」

「じゅぅ!」


 俺とジュジュが感心していると、フェリルは歩きながら俺の隣に寄ってくる。

 そして身体をふんわりと押しつけてきた。

 もしかしたら撫でて欲しいのかも知れない。


「フェリルは偉いなあ」


 俺はフェリルのお腹辺りをモフモフと撫でた。

 フェリルは尻尾をぶんぶんと振っている。

 ジュジュといい、オンディーヌといい、精霊は撫でられるのが好きなのかもしれない。


 俺がフェリルを撫でるのを見ていたリルが、意を決した様子で言う。


「あの! 私のことはリルと呼んでください。ランズベリーさんの方が年上ですし」


 俺は一瞬「いえ、そういうわけには」と断ろうかと思った。

 だが、これから一緒にダンジョンに行くのだ。

 緊急時に使う呼び名は短い方が良いのは間違いない。


「わかりました。では私のことはグレンとだけ呼んでください」

「そんな、年上の方を呼び捨てなんて……」

「ダンジョン攻略の際、ランズベリーさんよりグレンの方が短いですから、いざというとき便利ですよ」

「なるほど、確かに、そうかも知れません」

「ですから私のことはグレンとだけ」

「わかりました。グレンさん、よろしくおねがいします」

「はい、よろしくおねがいします。リルさん」


 そんな会話をしている間に、飛竜の竜舎が見えてきた。


「じゅっじゅぅ!」


 飛竜の気配を感じるのか、竜舎に入る前からテンションが高い。

 ジュジュはまだ怯えてはいないが、念のために優しく声を掛ける。


「ジュジュ。この建物の中には大きな竜がいるけど、怖くないよ」

「じゅぅ」


 飛竜は、精霊ではなく魔獣の一種である。

 魔獣の狼とフェリルのような精霊の狼がいるように、魔獣の竜と精霊の竜もいるのかもしれない。

 だが、俺は精霊の竜には会ったことも見たこともない。

 存在したとしても、ものすごく珍しいのだろう。


「グレンさん、厩務員さんに挨拶してきますので、先に中へ入っていてください」

「わかりました」


 リルは、竜舎に併設されている厩務員事務所へと走って行った。

 事務所には宿泊施設も備わっている。

 もちろん、厩務員は、事務所に住んでいるわけではない。

 だが、厩務員か助手の誰かが当直として、毎日必ず一人はいるし、卵を産む直前には、ほぼ全員が泊まり込みだ。


「さて、飛竜を驚かさないように、あまり大きな声は出さないようにね」

「じゅぅ」「がう」


 俺はジュジュとフェリルを連れて、竜舎の中へと入る。 

 竜舎の中の構造は、馬の厩舎に似ている。

 真ん中に通路があって、その左右に馬房にあたる飛竜の個室、竜房があるのだ。

 もっとも大きさは全く違う。竜舎も竜房も馬のそれの数倍の大きさがある。


「こんなに飛竜の多いところは、世界中探してもここぐらいだよ」

「じゅぅじゅ~」


 ジュジュは全く怯える様子は無く目を輝かせている。

 そして、ジュジュの小さな鳴き声を聞いて、飛竜たちは全頭一斉に竜房から顔を出した。

※フェリルの走る速度は時速150kmを想定しています。

現実の狼が時速60km、フェリルと同じぐらいの大きさのサラブレットの最高速度が時速90kmです。

フェリルは精霊なので狼やサラブレットより大分速かろうと考えました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 説明が多すぎて展開が遅い、登場人物に共感できない。 困難等が中途半端と感じます。 大きな力を小さなことに使っていて、世界観が楽しめないです。 長文失礼しました。
[気になる点] 今更だけどジュジュの大きさってどれくらいなんだろ……抱きかかえたりするくらいだから猫と同じくらいもしくはそれより若干小さいくらいかなってイメージしてたけど リアルトカゲサイズだと仮定す…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ