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明かり

作者: 布団カバー

夜になると、いつもの日課で高台のドラム缶に火を灯す。

少し待つと遠くの高台にも明かりが見えてくる。

このやり取りだけが私にとって人とのわずかなコミュニケーションである。

向こうの高台は数キロ先にあり道中も危険が多くあっちに行くことはかなわない。

今日もあっちも生きていて、こっちも生きていることが分かる。

だれかが近くで生きている安心感の中で眠りにつくのが幸せであった。

だが、そのわずかな幸せも突如消えた。

その日はいつまで経っても明かりが見えなかった。

嫌な考えが湧いてしまい、いつまで経っても寝付けない日々が続いて私は決意した。

「向こうの高台へ向かう」

急いで拠点の物資をかき集め、装備を整え出発した

道中、敵に遭って死にかけながらも大きなけがもなく高台に生きて着いた。

我ながらツいていると感じつつ、生存者を探した。

しかし、あちこちに空薬莢があり血痕もあったが、高台にはもう人はいなかった。

私は周辺も探索し致死量相当の大きな血だまりを見つけた。

落胆しつつも彼または彼女の高台に登り、火を灯した。

火が灯されたドラム缶のそばに寝袋があり、私と同じように眠っているのを想像して名も知らぬ人を思い悲しくなった。

もう死のうかと考え、手元の拳銃を口に咥えるようと手に取ったとき

「遠くに明かりが見えた」

遠くの明かりは私の高台ではちょうど見えない位置にあったため気付かなかった。

私は遠くの高台に人に向けて乾杯し、また日課が出来ることを祝い幸せな眠りについた。


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