※お爺さんは主人公ではありません。
どうも、こんにちは。
こんばんわの人は、こんばんわ。
ワシは伊藤 唯史、ピチピチの79歳じゃ。
ワシは若い頃から異世界転生物の本が大好きでのう。
いつか行けたら良いなと思ったったんじゃ。
でも異世界転生物に記されてある異世界への転生の仕方は大抵「事故死」から始まる異世界転生物ばっかりじゃし…。
じゃがワシも諦めなかったんじゃ。
必死に赤信号の交差点を渡ったり、ゲーセンの二階から飛び降りようとしたんじゃ。
じゃけどほら、最近法律も厳しくなったじゃろ?
車で弾いた奴にも非あるぅ言うて誰も車で弾いてくれる者がおらんかったのじゃよ。
クラクション鳴らすばっかでのぅ。
そんで今度は飛び降りようとしても直ぐ近くの輩に押さえられるし、なんやかんやでワシの異世界転生ライフ計画は失敗に終わってしまったのじゃ。
あ〜異世界行きたいのぉ〜
冒険してみたいのぉ〜
若返って色んなベッピンさんとイチャコラしたいのぉ〜
とか思ってる内にワシ、死んだんじゃ。
勿論事故死じゃない、寿命じゃよ。
そんで、目が開けられそうだったから目を開けたんじゃ。
そしたら、びっくり。
ワシ、異世界に転生しちゃった!
ってわけじゃ。
いや〜寿命で死んでも異世界行けるんじゃのぉ〜。
ワシ、興奮してきたわい!
…でもワシ、今迷子なのじゃ。
草原が続くばかりで先が見えん。
このままじゃワシ、寿命より先に飢え死にしてまうがな。
…ガサ、…ガサ
むっ、男の気配!
ガサァ!
「あっれ、何こいつジジィじゃん!まじウケるんだけど〜」
女っぽい口調しとるけど安心せい、奴は男じゃ。
「おい竜〜、こいつどうする?」
「あ?勝手にしろ〜、こっちはこっちで忙しいんだよ〜」
…どうやらお仲間は遠くにおるようじゃな。
「だってさ。あんた勝手にして良いらしいから、ぶっ殺して金品奪うわ」
おおぅ、怖い怖い。
最近の若者はこれだからいかんのよ。
ワシがたっぷりお仕置きしなきゃのぉ!
「オラ、避けんじゃねぇぞ?」
ブンッ!
ヒョイっと。
「ワシに掛かればその程度のパンチ、ムーンウォークとやらで避けられるわい」
「なん…だと…」
「喰らえワシ流奥義!ムーンサルト系拳法横殴りぃ!」
「ぐわあぁぁぁ!」
バタン!
ふぅ、顔面一発KOじゃ。
「なんだこのおっさん!?俺の相棒を、一発で仕留めやがった…!」
おや、竜ちゃんやないかい。
先輩面して後輩の敵討ちかえぇ?
笑わせるのぉ、ふぉっふぉっふぉっ。
「こ、こいつ…!何笑っていやがる!」
「いいからかかって来い、相手してやるじゃけぇ」
「この、くそジジィがぁ!」
ブンッ!
ヒョイっと、ムーンウォーク。
ブンッ!
よいしょ、もう一度ムーンウォーク。
シシュッ!
ムーンウォークしながら、首まげて避ける!
「ちょこまかと避けまくりやがってぇ!」
ブォン、ブォン!
そぉい!の掛け声と同時に大ジャンプじゃ!
シュタ…
「な…こ、こいつ…俺の腕の上に!?」
「老いぼれゆうて、油断しちょらあらせんか?」
バッと飛び上がって奴の顔面に一発、横蹴りを喰らわせたったわぃ。
「うっ、!」
バタン!
ふぅ…熾烈な戦いじゃった。
さて、こいつらの道具全部かっさらって行くかのぅ。
ざっ、ざっ。
草むら歩いてたら大きな城下町を見つけたわぃ。
「ふぅ、これで寝床も見つけて食にもあり付けて一件落着じゃの」
そしてワシは城下町の門に立ってた警備兵を軽くねじ伏せて、城下町に無事到着したのじゃ。
にしても我ながらびっくりするわぃ、まさかこんなに身体能力が上がっていようとはのぅ。
そんなこんなで城下町歩いてたら、ベッピンさんがおってのぅ。
捕まえようとしたんじゃけど、なにぶんワシ、身体能力は若返ってるのに年齢と顔と体型と髪の毛は若返ってないから、直ぐ逃げられちゃったのじゃ。
しょうがないから異世界転生物に良くある「助けて一目惚れさせる」作戦で行こうと思ったのじゃ。
ん〜何処かな〜ここかのぉ〜と模索してたら、あらまぁまさかのシンボルエンカウント!
可愛いらしい女の子に若い男が一人食い散らかそうなんてなんて羨ましいやつじゃ!
う〜ん、成敗してくれるわ!