異世界とチートがファンタジーを奪う
なろうのランキングタイトルはわかりやすい。
タイトルを見ればその作品の属性を大まかに、なんとなく察する事が出来る。
それは作品を読む上で、こんな作品が読みたいと考えてる人を呼び寄せることができる。
ランキングにいなくても更新された作品で目にとまりやすい。
だが、想像力は養われない。
勿論、娯楽小説として十分なのだが、直接的な表現が増えたと思えるのだ。
ブンドド作品が増えたとも言える。
弾がバーンと音を立てて飛び出す。
剣と剣がカキーンと音を立ててぶつかり合った。
正直言ってダサい。
活字離れが進み、普段読まない層に読ませようという努力や分かりやすさを重視した結果であることはわかる。
なろうで小説を読んでいる層は多岐に渡ると思うが多いのはティーンエイジャーなのではないだろうか。
そして執筆者は十代以外にもハルヒ世代が多いのではないだろうか。
高校生はそこまでしないと字が読めないほど直接的な描写をしないと理解できないのか。
擬音は幼稚さを出す。
それと同じようにタイトルを口語にするのは幼稚さを現してるのではないだろうか。
異世界でチートをもらって無双してハーレムを築く。
これがタイトルになってしまうのは読み手に合わせられた結果なのだろう。
それでも、少し寂寥の念を感じずにはいられない。
言葉には一つの言葉で文をまるまる説明できる言葉もあるのだ。
難しい言葉を使えと言うのではない。
昔は難しい漢字のタイトルが流行っていた気もするがあれはあれで伝わらない。
だが、タイトルは作品を象徴する言葉や題材にした物を入れて欲しいとは思うのだ。
そこにはオリジナリティがなくてはならないのではないか。
古い人間と言われるかも知れない。
しかし、無駄に装飾の多いタイトルになっているのではないだろうか。
しかしながら、今のランキング作品も含めてタイトルを見た時点であらすじすら読む気が起きない作品は多い。
気になる気にならない云々以前に、食傷気味なのだ。
その中で、興味を惹かれる作品というのはやはりタイトルが違う。
そして、中身も違う。
文章の重みがちがうことが多い。
言葉の情報量が圧倒的に多い。
それは語彙だとか表現の話だ。
ズババーンとかドゴーンとかカキーンなんて擬音が使われる事はない。
言葉だけ連ねられて、その話を総括すると一言で終わる作品は多い。
面白い作品は多い。
発想に眼を瞠ることもある。
だが、面白い止まりで思わず涙する作品や手に汗握る作品は少ない。
私は短編しか書けないので長編を書ける作者には憧れと敬意を持っている。
だからこそ、その情報量と文章に見合っていないと感じるこの想いが伝わればいい。
もう流石異世界!
チートだチート!
そんな台詞は見たくないし、褒め言葉としても、情景描写としても見たくないのだ。
もはや異世界とチートという言葉はカキーンとドゴーンに近い言葉になりつつあると思う。
それはやがて想像力を奪っていくのではないか。
私はそう思うのだ。
あと、既に異世界転移や転生が凄い勢いで純ファンタジー作品は鳴りを潜めてる気もするし。