三級の魔法
四月が来た。
朝。今日は魔法技能検定の三級がある。
その日は、まるで初夏のような陽気だった。
玲奈は、着替えていた。いつものパジャマを脱ぎ捨てる。制服のスカートを履き、ホックを止め、ファスナーを上げる。そして、キャミソールをかぶり、上から、水色のTシャツを着た。
「今日はきっと、大丈夫」
玲奈はそう呟くと、白のソックスをはいた。
「行ってきまーす」
玲奈はソックスを直してから、黒のローファーを履いて、家を出た。
☆三☆三☆三
玲奈と千尋は、市内の電鉄の駅にいた。実技試験だ。
千尋も、結局玲奈に付き合うと言って、一緒に魔検三級を受けに来ているのだ。
試験は、電鉄内で、アイス・クリームを売るというものだ。魔法の力で、うまく売りあげるかが、評価となる。
Tシャツに制服のスカート姿の二人は、電鉄に乗り込んだ。
☆三☆三☆三
合格。玲奈に届いたハガキだ。
早速、貴史と千尋にテキスト・チャットを送った。
「おめでとう!」
貴史から真っ先に返信が来た。
「おめでとう」
「私落ちた」
遅れて千尋からテキストが二連続でポンポンと来た。
☆三☆三☆三
後日。
はるか遠くに、ガラス張りのタワーが夕日にキラキラと煌めいている。
貴史と千尋と玲奈は、川沿いの公園に集まっていた。相も変わらず、飛ぶ練習をしていたのだ。
とっくにやらなくても良いようなものだが、魔法使いにとって、基礎練習のようなものらしい。
玲奈も千尋も、すっかり飛行魔法が安定し、スカートもお尻にちゃんと張り付いている。
「あら」
しばらくして、休憩していると、由美が現れた。
「今日もデートなのね」
「どこがよ」
そうは言いながらも、玲奈は貴史に腕を組んで微笑んでいた。
「仲良しだこと。そういえば魔検はどうしたのよ」
由美が嫉妬したような顔で尋ねると、
「もちろん受かったわよ。三級」
誇らしげに玲奈が答えた。
「そりゃ、おめでとう。良かったわね」
由美は余裕ありげに、玲奈を褒めた。続けて、
「今度、暇なときに練習付き合ってあげてもよくってよ。じゃ、学校に用事があるから」
そう言い残して、由美はヒラリと飛んで行った。
三人は、それをしばらく見送っていた。
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