表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

デート

玲奈は、制服の上にキャメルのダッフル・コートを着て、駅前に立っていた。もっと言うと、待ち合わせていた。その相手は、貴史だった。


と言うのも、宏美のアドバイスで、二人はデートすることになったのだ。

そうしてみれば、魔法技能検定、魔検の三級のヒントを得られるかもよと。

玲奈は、魔検のためならと、ノリノリだった。対して貴史は乗り気ではなかったものの、どうせ暇でしょ、と言われて、その場の雰囲気に流されてOKしてしまったのだ。


クリスマス・イブの日曜日。街はすっかり浮かれていた。と言うほどでもないが、クリスマス・ソングくらいは流れていた。

時間は午後をまわったところだった。


とりあえず、カラオケに行ってみた。

密室に二人きり。どうせならと、二人並んで座ってみる。否応なく、お互いを意識しつつ、流行っているJ-POPバンドの曲などをお互いに歌った。貴史は、ネオアコ・バンドの曲も歌おうかと思ったけど、玲奈は知らないだろうと思って、やめておいた。


次は、ショッピングモールを二人でブラブラすることにした。バスに乗って行ってみた。

バラエティ雑貨屋や、アクセサリー・ショップ、服屋、輸入食品店など、適当にグルッと見て回ったが、いまいち落ち着かなかった。

「アンレナ、映画でも観ようか」

「いいんじゃない」

微妙な距離感の二人。


モールの中にある映画館。そこで上映中の、恋愛映画を観てみることにした。

見終わった後、

「アンレナ、映画どうだった?」

「まあまあかな。菊地君は?」

「俺もそう思う」

と、会話はぎこちなかった。


イブの店は混みそうなので、早めの時間に食事をすることにした。と言っても高校生だし予約もしていなかったので、モール内の店で済ませることにした。


イタリアンパスタの店に入った。

貴史はペスカトーレ、玲奈はカルボナーラをオーダーした。

あと、それとは別に、マルゲリータ・ピザもオーダーした。


ショッピング・モールからバスで戻ってきて、最後に、貴史の部屋に行った。

両親は、夜、食事に行くといっていた。あと、宏美も女友達たちと遊びに行くと言っていたので、家には誰もいなかった。あれもこれも、宏美が気を利かせたつもりなのだろう。


二人は、二階に上がった。

時計は、七時を回っていた。


待って。と、玲奈は思った。貴史とデートすることで、魔検三級合格のためのヒントが得られるみたいなことを宏美が言っていたが、どういうことなのだろう。”人を思う気持ち”とか、こっそり玲奈にだけ教えてくれたけど。


「今日のデート、どうだったよ」

貴史が訊いてきた。

「そうねえ」

玲奈はこんな時でも、さっきコンビニに寄って買った麦チョコをサクサクと食べていた。

「まあまあだったけど、これと三級と、どう関係あるんだろう」

「なら良かったけど、魔検のことはわからないな・・・」

貴史はちょっと考え込むふりをしたが、こう続けた。

「それで、俺のことはどう思ってるわけ」

「待って、えっ」

玲奈はたじろいだ。麦チョコを食べる手が止まった。予想外の質問だったからだ。

でも、ここですぐ持ち直して積極的になれるのが、玲奈だ。

「好きよ」

「えっ・・・」

今度は貴史が身じろいだ。予想外の答えだったからだ。

「待って、冗談。でも、ちょっといいなって思ってる」

玲奈は悪戯っぽく笑った。

「・・・なんだよそれ・・・」

貴史は明らかにカーッと照れていた。それを見て、玲奈はますます積極的になった。貴史のすぐ横に座り直したのだ。

その瞬間、貴史は気がついた。柑橘系の匂いに。

玲奈は、千尋に対抗して、というか嫉妬して、柑橘系の香水を、この日のためにつけてきていたのだ。ということは、貴史は知る由もなかったが。

貴史はドキドキした。

「お互いのこと、もっと知っていきたい」

と、玲奈は畳みかけながら、思った。”人を思う気持ち”って、このことかと。恋かと。

実を言うと、”人を思う気持ち”は、別に恋でなくても良かったのが、玲奈もそのことは、知る由もなかった。


「お…おう」

と貴史はデレデレと照れまくる。すっかり雰囲気に流されている感もあるが。


ともかく、いい雰囲気になった二人だったが、それ以上は何も進まず、玲奈は帰宅することになった。

「駅前まで、送ってくよ」

「ありがとう」

玲奈は、飛んで直接家に帰ることができるのだったが、そんなことはどうでも良かった。少しでも、貴史と一緒にいたかった。

貴史と玲奈は、寄り添うように、でも手はつながずに、並んで駅へ向かった。

「魔検、頑張れよ」

別れ際に、貴史はそう告げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ