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ガンジスオンライン

お題:オレだよオレ、死 必須要素:長編の冒頭として書くこと 制限時間:15分


 インドではガンジス川を死体が流れるように、死は隣合わせにある。

 ガンジス川沿いのホテルという名のボロ小屋で俺は誰が書いたかも分からない、ホテルに備え付けの本を読んでいた。

 ここで生きていければ人間として本物だろう。


 ガンジス川は沐浴として有名だが、同時に汚い川としても有名だ。

 汚いということはどういう事か。それは水という聖なる液体は全てを受け入れ、自らの中に溶かす性 質があるという事であり、古くから水は聖なるものの象徴でもあった。


 ここでは瞑想だとか導師グルだとかはほとんどが金目的のペテンだ。中にはドラッグで相手を服従させるどこかの教祖様みたいなのもいる。

 その中でどうやって自分の師を探すのか。それが自分の眼力しだいだから人生とは面白いのである。


 その男は頭にターバンを巻いてひげを蓄え、更には全然似合っていないスーツを着た、めちゃくちゃ胡散臭いおっさんだった。


 俺はなぜこんな男に惹かれるのだろう。ビジネスの話をするのかと思いきや、そのスーツはただ着たいから着ているだけで、何の意味もないらしい。

 こういう所が何ともお茶目である。

 好奇心旺盛で日本の事をめちゃくちゃ聞いてくる。こちらの質問にもハッキリと答えてくれる。そして挙句には紅茶まで出してくれる。


 俺は悟りを求めてきたのに、得られたのは常識的な会話と子供みたいな好奇心とまごころ。あれ?これだけで良くね?


 俺は何のためにインドに来たのだろう。いや、収穫は十分にあった。死体が川を流れてもなんにも思わなくなったのだから、死体がむくっと立ち上がって「オレだよオレ、死」と途中で言いそびれて肉体がボロっと崩れ落ちたって驚きやしない。


 その麻痺した感覚の中、ある日、別の感覚が開かれていく境地に辿り着いた。虹色のプリズムが人体を通っており、それはチャクラと呼ばれるものだと直感した。頭頂部が紫、そこから色がどんどん赤、黄色、緑、そして青になって下に下がっていく。


 これがそうか。オレはやっと別世界の扉を開く事ができたのだ。


 その時、スーツのおっさんが突然やってきてカミングアウトした。「私があなたに差し出した紅茶。あれにドラッグ入れました」


 おいおいおい~オレはこのままどこに行くんだよ~

 それはガンジス川周辺では誰もがヤってるクスリだった。


 こうしてオレは「ガンジスオンライン」にアクセスする事となる……

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