勇者の恋
※微エロ注意
※親近相姦注意
口づけられた柚子は、顔を真っ赤にして身を竦ませた。
唇を離して夕兎は、下を向いてしまった妹を覗き込む。
「やだ…?」
また子犬の顔をする。
嫌じゃない。
嫌じゃないけれど、兄から向けられるまっすぐな愛情は、普通ならば綺麗なもののはずなのに。
血のつながりがあるというだけで、どうしても醜悪で、忌むべきものになってしまう。
柚子にはそのことが苦しくてしかたがない。
「夕兎……恥ずかしいよ」
身を乗り出している兄から、出来るだけ退く。
それでも離さない頬にある手のひらは、優しく優しく、親指で目元を撫でている。
この世界に来てから、一年。
初めてキスされたのは、その直前だった。
同じ顔が自分に触れるというのは、中々に嫌悪感が湧く。
気持ち悪い、とさえ感じた。
それなのに、人間は、頼れる相手がその人だけになると必要以上に恋しくなる。
更に、あまりにも丁寧に優しく触れられ続けると、心が開き、心地良さに変化する。
そして、これまでもこれからも、自分をこんなに愛してくれるのは、彼だけなのかもしれないと感じる。
「…柚子…お願い」
今、自分は血塗れだ。
自分のものと、敵のものが付着してる。
匂いもしている。
それを理由にしても、夕兎は懇願する。
子犬の表情なのに、目付きは獲物を前にした肉食獣のようだ。
欲望を抑える目。
同時に、男らしい色気さえ見せる。
彼は懇願しながらも、手は妹の温もりへ既に迫っていた。
右手で頬を撫で、左手でそっと首筋をなぞる。
そして、下へと滑り…
「っ…夕兎…こわいって」
とうとう、華奢な体を押し倒した。
頬を赤らめ、涙を溜め、愛撫に確かに反応した少女が見下ろされる。
「…」
もう、兄は知っている。
妹は、自分からは逃げないし、嫌わない。
この世界で一人で生き抜くとなれば、非力で非運な彼女なには、あまりにも危険。
そして同じ顔ということで、勇者とのつながりを隠すことは出来ない。
「キス、する」
今度は、断わってから口づける。
先ほどの触れ合うだけのものではなく、かぶりつくように。
柚子は、すぐに死の危険にさらされる。
それが、夕兎には身を切られる以上にこわい。
いつか、柚子が自身の非運に負けて消えてしまうのではないか。
目を離した隙に、動かなくなってしまうのではないか。誰かに傷付けられるのではないか。
彼女の存在は確かに、いま、そばに在る。
確かめたい。
安心したい。
そして、ただ、抱きしめたい。
愛しているから。
「柚子……」
好きだよ
その言葉を発するには、彼はあまりにも照れ屋で、そして勇気がなかった。
勇者の仲間が街に着いた頃、双子は宿の浴室で、二度目の行為を終えていた。
小っ恥ずかしい!!




