表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

第三話偶然の出会い

新キャラ登場です。けどまだ名前が出てない…

学校へは、僕達の住んでるアパートから徒歩15分くらいの距離で、結構近い所にある。本当は寮もあるけど、光の母(一応僕の母でもあるのだが、僕はあの人を母と思いたくない)が、

「光は人の多いとこ苦手だから、アパートでも借りなさい」

と、言っていた。光はそれで納得していたけど、僕は納得しなかった。だってそんなことを言ったら、寮なんかより人の多い学校はどうなんだ、と思うのが普通である。しかしあの人はそんな僕の考えを、僕にだけ聞こえるくらいの声で言った一言で簡単に打ち砕いた。

「だってそのほうが、あんた困るじゃない♪」

これを聞いた時、ああ、やっぱりこの人はなんて人だろうと思った。たしかに僕はかなり困る。だって光は家事がほとんどできないから、ほとんど僕がしなければならないし、何より、若い男女が二人っきりと言うことが僕を悩ませる。ああ、義理とはいえ妹相手に少しでもこんなこと考える僕は最低だろうか?


そんなことを一人考えながら歩いていると光が急に立ち止まった。

「あれ、どうかした?」

「兄さんあれ…」

と言いながら指をさす先をみれば、狭くて薄暗い路地、まぁ属に言う裏路地みたいな感じのところに、女の人が一人と男が二人いた。これは明らかにナンパってやつだな、しかもたちのわるい。

「ねぇ、助けなくていいの?」

と聞かれて僕はうーんと唸りながら、まず男達の方を見る。

少し高めの身長にチャラチャラした格好は、どこにでもいそうなチンピラって感じだ。

次に女の人の方を見る、かなりの美人だ、顔は目が少しつり目がちだけど、すごく整っていて美しい黒髪は腰あたりまである。光が美少女なら彼女は美女って感じだ。その美女は無表情で相手を見ている。そこからは、普通なら感じさせるはずの脅えとか恐怖がまったく感じられなかった。そんなことを考えていると、いきなり美女が動いて、

「あっ…」

と、僕が言った頃には男二人が地にひれ伏していた。

「なんか、助けとか必要なかったみたいだね」

「う、うん、そうだね…」

ザコ二人を片付けた美女は、だんだんこちらに向かって歩き出していた。そんな急なことに僕達があたふたしている間に、美女は僕達の前に立っていた。

「おい。」

「は、はいっ!?」

その美女の凛とした声に呼ばれて、僕は思わず返事をしていた。

「今の、見てたのか?」

「えっ!?あ、はい」

「そうか…」

そう言って美女は少しの間黙ってしまった。そして急に口を開いて、

「お前達見ない顔だが、その制服を着ていると言うことは、転校生か?」

と聞かれて、どうしてそれだけで転校生とわかったのかはわからないけど、とりあえず

「あ、はい、そうです」

と答えておくことにした。

「そうか…」

と言ってまた黙ってしまった美女はまた急に口を開けて

「なら、一緒に行ってやろう」

と言った。なんで今あったばかりの僕達にそんなことを言うのか、と僕が思っていると

「あの学校は無駄に広いからな、初めて入るやつのほとんどが迷ってしまうんだ」

と、言ってきた。へぇ〜そんなんだ。え、あれ?

「なんで、僕の考えてることがわかったんですか?」

僕は一言もしゃべってないと思ったんだけど…。

「ふふ、それはお前が分かりやすいだけさ」

と言って美女は微笑んだ。その笑みで僕は思わずドキッとしてしまった。

「よ、よかったね光この人が案内してくれるって」

と今まで黙っていた光に言う。すると光は冷めた目で僕を見ながら

「ふーん、よかったね、兄さん」

と少し怒ったように言ってくる。

「あれ、どうかした?」

「別にっ、どうもしてないもんっ!」

とこんどはすねたように言いながら一人歩き出した。僕と美女は顔を見合わせて慌ててその後を追った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ