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BLOOD HEAD〜不死になった彼とツン強めロリ吸血鬼は8人の最強魔術師たちと救世の旅をする〜  作者: 紙屋シキナ
第六章

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第六章「シェア・ザ・ダークネス」#7

「この私に聖剣まで抜かせるなんて、貴方で二人目よ。絶賛反抗期かしら」


 聖剣を握る銀音(しろね)の額からは派手に血が流れていた。


「転化にもデメリットがあって、物言わなくなった時点で精神面での負荷が生じている事態は見て取れるわ。もう百は殺したけれど、まだ足りないのなら身体機能を停止するまで繰り返すだけよ。その内に人にはもう戻れなくなる」

「そうだな。だから決着は急がせてもらう」

「?」


 先刻まで無言且つ意思疎通の図れなかった狂戦士からの返答に意表を突かれる銀音。


「へぇ。私との殺り合いの中で何か変化があったってわけ?」

「さっきまではもう一人の俺が、俺を護る為に戦ってくれてたんだ。ここから先は代わりに俺自身がお前を認めさせる。それでルビア達と東京に帰るんだよ」

「残念ね。選択肢は二つ。ここで破滅するか、裁判にかけられて夢幻に堕ちるか。だったら最期、私に看取られた方がずっと楽で幸せだと思うけど!」


 指先を向け、一度真中を死に至らしめたエネルギー弾を連続して放つ。

 躱す動作も打ち払う動作もなく、纏う血が固まって出来た外殻にてそれを弾き飛ばすと、間合いに入った真中は背負う光輪に手を掛けた。

 すると輪っかの形をしていたものは身の丈ほどもある大刀に変化し、勢いよく振り下ろした。


「っ!!」


 弩級の一太刀に銀音は聖剣で応戦。剣圧で互いの背後に聳え立つビルが真っ二つにされていく中、流れ出た血はみるみると刀身に吸収されていった。

 次の一手として両断されたビルの上半分を手掌で操り、真中に向けて手繰り寄せる銀音。

 しかし真中は気配だけで右手を翳し、有り余る血で作り出した紅龍をぶつけ相殺する。


「その転化の固有能力。吸血体の名に相応しい力ね」

「そうだ他人の血液を自分のものにする。それだけでもないけどな」

「……っ!」


 一度奪った血を斬撃波として零距離から発射。

 ギリギリで薙ぎ払う銀音も全てを回避することは叶わず。直撃を免れなかった右肩は大きく斬られ、出血量は先よりも増していった。


「また血が吸われて……悪循環ね。性悪な能力だわ」


 いよいよ真紅に染め上がる真中の一刀。併せて血気を刀身に纏わせる。


「これで最後だ。意識飛ばしてる間のことは知らないが、お互いそう余裕はないはずだろ?」


 アンプルを首筋に打ち込むと銀音の負傷箇所は痕一つ残らず再生され、内より秘めていた魔力が霊核より体外へ湧き出でる。


「いいわ。今までの戦闘で聖剣も魔力も(ろく)に使う機会なんてなかったけど、ここで貴方を殺す為に全霊を以って(ふる)ってあげる」


 血気を集約させて斬り込む真中と、魔力を全身に(たぎ)らせて挑む銀音。互いに正面から斬り合った。

 魔力は迸り、炸裂する。しかし真紅の血液は一滴足りとも飛散することなく一点に凝縮され、やがて聖剣を叩き折り、左肩に切先が触れると同時に、真中はそのまま振り抜き銀音の身体を斬り裂いた。

 未だ立ち続ける銀音だったが、大量の血を流し満身創痍で限界を迎えた足取りはふらつき始める。


「……不死は呪いよ。最愛の他人を何度見送ることになるか。呪縛から解き放たれる機会を貴方は今、一つ取り零した……」


 科白に覇気は無く。敗北を悟り俯き加減で語り聞かせる。


「ああ。多分それに気づくのはもっと先の話だ。でも俺はまだ単純に死にたくない。映研の皆んなとたまに馬鹿しながら、先生に怒られながら、何時か最高に満足のいく映画を撮りたい。だから今は俺の勝ちだ。それでいいだろ? 騎士団長」


 真中が勝利を宣言したそこでジャックの結界は解け、両者は作られたシカゴの街並みより帰還した。


ーー*ーー


 転化の反動で動けない真中は気付けば地面に伏していた。


「ここは……」

「まさか比嘉辻騎士団長をも凌ぐとは。教会の見立ては正しかったか」


 真中を見下ろしていたのは第二騎士団長のシルバートだった。あろうことか顕現させた聖剣の剣先を喉元に向けている。


「待てよ! 俺はあいつに……」

「一矢報いた。それ自体が心象を悪くしただけだと言うのに何を勝ち誇っている。貴様は藤澤砂夜の手に堕ちる前に我々が駆除する。詠唱誓約特許掟項(マギアコード)・ユニティリング」

「くっ!」


 両手首の自由が術式によって奪われる。


「ふざけるな! 勝手に連れて来て、裁くだの閉じ込めておくだの! 何の権利があって言ってるんだよ! そもそもお前達が追ってるのは俺達じゃないはずだろ!」

「そうだ。我々は貴様らに微塵の興味もない。しかし藤澤砂夜の所感はどうやら違うらしい」

「だからそいつとはこの前逢ったのが最初で……」


 必死に抵抗する真中の両眼をシルバートが見つめた。虹色の虹彩が綺麗だとふと感じた時には意識など()うに消失し、団員によって両脇から担がれ、足を引き摺られる形で真中は連行されていった。

 一方でジャックのぶかぶかのジャケットを借りて羽織った銀音は、思い詰めた表情を浮かべて黙り込んでいた。


「何か言いたげだな比嘉辻騎士団長」

「別に」


 そうして真中の今後を左右する会議の場にシルバート、銀音、ジャックは向かった。


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