表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BLOOD HEAD〜不死になった彼とツン強めロリ吸血鬼は8人の最強魔術師たちと救世の旅をする〜  作者: 紙屋シキナ
第六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/64

第六章「シェア・ザ・ダークネス」#3

「『暴行事件以降、兄さんは孤立した。ヒロさんがいたものの、クラスメイトはもちろん、学内の生徒は誰一人として近づこうとしなかった。噂話に尾鰭や背鰭まで付けて言いふらす親もいた。兄さんは反論せずただ黙って受け入れて。それから事あるごとに、あることないこと言われ続けて、いつしか笑顔は消えてなくなった。一番苦しい時に見ているだけしか出来ない自分が悔しかったし、(かぞく)だって、誰よりも味方だって打ち明けたかった』」


 運命を変えた代償。蒼生が凍結状態にしたアルを一瞥する。


「『アルさんはそんな兄さんに出来たばかりの心許せる仲間。ここで私が負けてアルさんを失えばまた兄さんが笑顔から遠のいてしまう。兄さんのくったくなく笑う姿が見たい。それを取り戻せる役目が例えルビアさんであったとしても、兄さんの今大切にしてるものを私は護りたい』」


 残存する魔力が僅かだと悟る蒼生は、黎剣(れいけん)から放たれる冷気を全開にした。


「一気にカタつけるってのは、少しかかり過ぎてやしねぇか?」

「貴方の転化能力であるスピアの起爆機能は術式ホワイトグレースで無力化しました。二の矢があればこの直後に放つであろう予測から氷結範囲を広げ警戒。次善策がなければそれまでです」

「オメェホントに副団長か? ま、実際騎士団長を相手にしたワケじゃねぇから分かんねぇけど、アンタ相当強いぜ。砂夜様から言われたよ。騎士団長を殺れば50点。副団長なら10点。平の団員は1点ってな。四人の内で一番点数を稼いだヤツが次期十眷王(シュバリエ・カタストロフ)候補に指名するんだとよ。オメェは悉くオレが殺した奴らの命を繋いで来た。間違いなく見立てでは50点クラスだ」

「あまり嬉しくはありませんね。命に数字的価値しか見出せないものは自分本位で他人を測る物差しも著しく短い、というのが見解。舐めてかかってくれた方が勝敗はつき易いですが」

「残念だがもう余裕は見せねぇよ。全力でテメェを殺すだけだ」


 二本が新たに生え、合計六本となったテイルを真正面から撃ち放つリーガン。

 剣術にて応戦する蒼生。斬り払ったスピアは剣身に触れる度に凍り付き切り離され、それらの攻防が何度も繰り返されていった。

 地面に堕ちるスピアは起爆することはなく、ただし消滅することもない。蒼生は何らかの意図があると読むも、じりじりと確実に追い詰められていった。


「『霊核がバッテリーパックならば、術式は充電の消費。このまま攻撃に転じなければ、何処かで仕掛けられるか、持久戦で魔力が尽きて負ける。実際に使える手数は多く残っていない。ならここで先手を』」


 余力を使い切り、蒼生は唱えた。


「ホワイトグレース、大氷窟」


 クーリエとの戦闘にて使用した術式を重ねて詠唱し、溶けかかっていた氷の洞窟を再び作り出す。


「ホワイトグレース、氷柱写(つららうつし)


 畳み掛ける様に詠唱を重ねる。

 天井から無数の氷柱が垂れ落ち、根本から崩れていく。それは同時に天から降り注ぐ槍の刺突のようであった。

 しかし一撃の威力自体は弱く脆く。しなるテイルで簡単にはたき落とされてしまう。


「ヤケを起こしたか? こんな大雑把な攻撃。もう打つ手無しと見たが、こっちも準備は終わった。とっておきを見せてやるよ」


 リーガンは蒼生から一番距離のあるスピアに移動し、別のスピアを刺し込み爆破させる。するとそれが起点となり、熱風を受けて氷が溶け最初のスピアが起爆。蒼生を中心として渦巻き状にばら撒かれたものが外側から順々に連鎖爆発していった。


「氷にされたスピアの側で、新しい別のスピアが起爆すると急激な温度上昇を起こして誘爆が起きる。オメェの術はこれで破った。追い詰めたぜ」


 爆発の連鎖は物凄い速度で蒼生に迫って来る。そしていよいよ至近距離にて轟音と地響きを伴いながら爆発。大規模な爆風と爆炎に呑み込まれていった。


「何時も思うんだ。道のりがどうであれ勝つ時ってのは一瞬だ。あぁこんなにも呆気なかったか、ってな」

「そうだな。それが油断になり、命取りになる」

「っ!?」


 血術で作り出された大鎌の刃が腹部を貫いていた。


「人造人間……なんで……」

「あの氷柱はお前を攻撃する為のものではなく、俺に突き刺さったスピアに当てて粉々に撃ち砕く為のものだったんだよ」

「あんな状況で精密な攻撃が出来るワケねぇ!!」

「だから京蒼生は二箇所だけ狙って落としたんだ。二本のスピアを破壊し、俺自身にかけた術を解く。するとどうだ? 気付かれずに二体一の構図になっただろう?」

「そんなバカな!」

「ほら、僕の一刀で〝魔力の揺らぎ〟が起きた」

「クソがあっ!」


 晴れていく黒煙の中から冷気を纏った真白い蒼生が飛び出して来る。

 切先が反射で眼前に翳すリーガンの右腕に刺し込まれていく。柄頭には既に封殺鍵が装填されていた。


「や、やめやがれ……クソっ! こんな所でオレは……まだまだ上に行……」


 施錠する様に黎剣を半転させると、リーガンの生命活動はそこで完全に停止した。


「エントラッセン。これで貴方は時間の制約から解放されました。いいえ。一向に先へは進めない永劫の呪いにかかったのかもしれませんね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ