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BLOOD HEAD〜不死になった彼とツン強めロリ吸血鬼は8人の最強魔術師たちと救世の旅をする〜  作者: 紙屋シキナ
第四章

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第四章「バニシングポイント」#7

 気がつくと石造りの壁と鉄格子に囲まれた監房に入れられていた。冷んやりとした空気が肌を刺す。地下なのだろうかと推測するも窓はなく、ベッドと呼ぶには相応しくない硬さを持つ、シーツが一枚敷かれただけの張り出しの金属板に真中は横たわっていた。


「ここはどこだ……何だこれ……」


 右腕から管が伸びており、それは同じ体勢で眠りにつくルビアへと繋がっていた。行われているのは血の受け渡しのようであり、未だルビアは感染したまま昏睡状態にあった。


「ルビアは無事なのか!」

「混乱しているのは分かりますが、質問は一度につき一つにしてください」


 急な荒声にも動じず、穏やかな口調で返答に及んだ彼女。端正な顔立ちながら表情の読み辛いすました様子で、淡々と今尚ルビアの看病をこなす。


「君がずっと看てくれてたのか?」

「蒼生」

「?」

京蒼生(かなどめあおい)です」


 作業の手を休め、振り返る彼女の瞳もまた、真中と同じハッキリとした黒目で目尻もきりりとしていた。

 蒼みがかった黒髪を両端で編み込んで纏めたお団子ツイン。真中よりも頭ひとつ小さく小動物のようでいて愛らしい健気さが窺い知れる。


「そのスーツ。聖堂騎士団の」

「イグザクトリー。その通りです。そちらの身に起きた委細の事情は聞いています」

「それでルビアの容体は?」

「良く……はないですね。あのまま放置されていた場合の生存率は極めて低かったことでしょう。なんとか医療道具の持ち込みを許可させ、今こうして輸血で命を繋いでいる状態にあります」

「あの時、邪魔されなかったら……いや、誰かのせいじゃない。俺の未熟さが招いたことだ」


 後悔するもまるで歯が立たなかった自分に苛立ちを覚える真中。


「遅ればせながら先の一つ目の質問に答えましょう。ここはヴァチカン。地下大聖堂の監獄廻廊です」

「ヴァチカンってあの、世界一小さい国か。何でまたそんな所に俺たちが連れてこられたんだ?」

「ここが聖堂騎士団の本拠地だからです。天動梗吾との接点を持つ者は漏れなく、地下牢に幽閉されました」

「君……じゃない、蒼生はどうしてここに入れられてるんだよ。あの場には居なかったろう」

「私の所属は第六騎士団。階級は副団長。渦中に居る天動梗吾の弟子であり、また娘であるが故の共犯容疑をかけられて留置されています」

「待て待て。え……娘?」


 さらりととんでもない内容を含んだ科白を吐く蒼生。真中も聞き流すことなど出来ず。


「でもさっき自己紹介の時、京って」

「ですから天動梗吾は父が使用する偽名の一つ。本名は京燿平(かなどめようへい)。ただし兄さんの場合は出生届も天動姓なので何も問題はありません。強いて言えば父の行いが公正証書原本不実記載に抵触するくらいでしょうか」

「兄さん!?」

「はい。私は正真正銘、本物の、血の繋がったあなたの妹です」


 寝耳に水。晴天の霹靂。訳もわからぬまま、真中の知らない新しい家族との囚人生活が今まさに幕を開けようとしていた。


「妹? 俺の?」

「一応断っておきますが、もしも欲情した場合、同部屋だからといって私を押し倒すなどの行為は禁じます。それこそ近親相姦になりますから」

「きんし……ん!?」


 凡そ想像だにしなかった単語が飛び出し耳を疑う。この十五年間そんな発想に至ることすらなかった。


「ま、兄さん相手なら特別嫌な気分にもなりませんけどね」

「はえっ!?」


 上擦る真中の声。

 対照的に気のせいか、表情の変化に乏しいながらも楽しげな蒼生。


「エクスペクト。やっぱりです。思った通りの反応。からかいがいがあります」

「ってことは嘘なのかよ……なんだ……」


 安堵したというべきか。はたまた残念というべきか。感情のジェットコースターに心は揺さぶられーー。


「ですが」

「?」

「妹というのは嘘偽りなく本当ですよ。なので今からは実妹として可愛がってくださいね、兄さん」

「はいっ!?」


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