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BLOOD HEAD〜不死になった彼とツン強めロリ吸血鬼は8人の最強魔術師たちと救世の旅をする〜  作者: 紙屋シキナ
第四章

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第四章「バニシングポイント」#6

 その一方で真中は伽耶乃を追うため、転化の決意を固めていた。


「ルビアダークもさっきの感応とかっての以来応答もない。これで制御出来なかったら、アル。俺のことは……」

「それだとただの命の交換だ。それも上手くいけばの話だろう!」

「もう方法がないんだ。翼は生やせても飛び方までは習っちゃいない。転化して血で道を作って近づくしか手は……」


 意を決して転化しようとした時分、銀音が立ち塞いだ。


「リツカさんの仲間?」

「転化するつもりなんだ」

「だったらなんすか。ルビアを救うにはこれしかない今、邪魔するなら……」

「貴方もリストに入っているの。残念だけど、もう個人の自由はない」

「っ!?」


 一瞬だった。真中の鳩尾(みぞおち)に銀音の膝蹴りが入り、意識が混濁する中で身体は項垂(うなだ)れるようにして地面へと伏した。


「日護リツカとはどうやらやり方が異なるようだな……」


 警戒心を強めたアルが血術を行使し、大鎌を作り出し構える。


「あの転化は未完成。一度(ひとたび)転化されればここにいる全員に被害が及ぶ。だから眠らせたの」

「同意見ではあるが、失神させる必要まであったのかは疑問だな。対話は可能だったはず」

「効率の良い手を打っただけよ。それより他人の心配なんかしてていいの?」

「何」

「貴方だって当事者でしょ。同行なんて生温い。連行するわ」

「っ!?」


 手にした刃は等間隔で切断され、何が起きたか理解出来ない間に、アルの視界を銀音の拳が遮った。

 流身送血にて身体機能の向上を図り、寸前で躱したアルは距離を取るべく後ろに飛んだ。


「天動梗吾が造ったものに興味があるの。ちょっとばかり付き合って貰うわ」


 消える銀音。刹那、間合いに踏み込まれる。


「『早いんじゃない……移動の過程が存在しない!?』」


 ハイキックを見舞う銀音に対し、血を拡散して凝固させ、咄嗟に壁を作るアルだったが、脆くも粉々に砕かれた上、庇った右腕は吹き飛んでいった。

 

「『強化された腕も意味を為さないと分かった今、近距離戦に持ち込まれては不利だ。しかし瞬間移動とは言え、日護リツカが使用したような別次元への位相を行った上で目標地点に到達する理屈ではない。これは魔術ではなく、超能力の類い。そこにタイムラグがないことは今の一撃で理解した。なら、次に瞬間移動した時点で広範囲且つ俊速の一撃を放てば或いは』」


 アルは再び距離を取りながら、欠損した右腕を再生させると、二刀の大鎌を作り出し、逆手に持ち替えた。

 銀音が再び視界から消失する。と同時に、アルは右手を前に左手を隠すように後ろ中段で構える。そのまま上半身だけを捻り振り抜くと、360度に渡って斬撃が走った。


「なるほどね。知恵が働くのは大切なことよ。ただこれを受けて無事で済めば初めて及第点をあげようかしら」


 予想に反し、次に現れたのはアルの頭上数十メートル上空だった。その状態から蹴りを入れる銀音。空間をも曲げるほどの力の奔流が足先から撃ち放たれる。

 空気は震え、着弾と共に爆風はドーム状に膨張。アル諸共その場一帯の悉くを焼失させていった。

 たまらず加勢すべく、無謀にも切り込んでいくセオとロンとレイ。


「動くな」

「………………」


 爆心地に向かう三人の挙動の一切が止まる。


「彼の擬似霊核を撃ち抜くわよ」


 半身が焼き爛れ露出したアルの霊核。淡く明滅するそこへ銀音が銃口を向けた。


「いい子たちね。教育次第では使えるかもしれない。第三騎士団全員に通達。彼らシルフィム全員を一人残らず連行しなさい」


 その命令と共に団員たちが揃って同胞たちを、人一人がすっぽりと収まるジッパー付きの袋に詰め始めた。例に漏れずルビアや真中までも同様、袋に詰められ車両に載せられる。


「貴方の気持ちは恐らくだけど私が一番理解してあげられるわ。シルフィムの中でもとびきり優秀のようだから」

「お前ほど化け物じみてないさ……」

「そうね。きっと天動梗吾の育成過程は個人に寛容で、道徳を遵守したものだったのでしょう。そうでないと今こうして死にかけてはいないはずだもの」

「お前たちは……僕らに何をさせたい……敵は誰なんだ……」


 銀音の裾を掴んだ所でアルの意識は途切れた。


「覚えておいて。ここにいる私も貴方も吸血王も皆、期せずして藤澤砂夜を中心として廻り、殺す為に生かされてるのよ」


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