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BLOOD HEAD〜不死になった彼とツン強めロリ吸血鬼は8人の最強魔術師たちと救世の旅をする〜  作者: 紙屋シキナ
第三章

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第三章「ヴァンパイア・オブ・ザ・スクールII」#2

 聖堂騎士団サイドが用意した、学校指定のセーラー服と学ランに袖を通しての初登校日。連日ルビアに言い寄ってくる男子生徒の数は増え続け、いよいよもってファンクラブまで立ち上げる猛者(もさ)まで現れた。その人気に火をつけたのは、何も容姿や口調、着こなしや性格等の人当たりだけではなく。


「ここは先週やったところだが必ずテストに出す。復習も兼ねて天動! 答えてみろ」


 3時限目の授業中。真中は担当教師から指名された。


 渋々、席を立つも答えは分からない。


「『いや待て待て、分校じゃこの範囲はまだなんだって。俺が編入生とかっていう考慮はないのか。まぁ、習ってたとしても、覚えてられる自信があるかと訊かれれば……ないけど』」


「どうした天動? ここは大事な項目だと念を押したはずだ。記憶にないわけないだろ?」


「『逆になんで先生の記憶には俺がいるんだよ! 仕方ない。ここは分かりませんで逃げるか……』」


 諦めようとしている真中の脳内で突然、声が響く。


「『〝カント〟よ』」


「!?」


 声質からしてルビアダークではなく、ルビア・アンヌマリー本人からの耳打ち。席の方に視線を走らせるも、自身は黒板の方を眺めていて言葉のみが飛んで来ている。と、そんななんとも奇妙な感覚であった。


「『聞いてたかしら? 純粋理性批判(じゅんすいりせいひはん)実践理性批判(じっせんりせいひはん)で知られるドイツ観念論(かんねんろん)の視点である批判哲学の創始者は? 答えはカント。イマヌエル・カント』」


 それを聞き届けた真中が勢いよく発する。


「カント!」


「じゃあそのカントが国際共同体(こくさいきょうどうたい)の形成を提唱したのは?」


「えーと……」


「『永久平和論(えいきゅうへいわろん)よ』」


「永久平和論!」


「よし、正解だ。座ってよし」


 何とか乗り切った真中が着席して一息つく。


「『いや、助かったー。サブカルから哲学まで。さすがお嬢様というべきか』」


「『パートナーなんだからある程度教養ある態度を示してもらいたいわね。答えが分からず逃げるなんて、カッコ悪いんだから』」


「『あと、いつの間にルビアダークが使ってた心の声? が、お前も使えるようになってんだよ』」


「『あんたアレをルビアダークって呼んでるわけ? まぁ、人間に対する食欲の化身だし、腹黒いのは間違いないわね』」


 頭の中で思念(しねん)を送り合い、二人だけの会話を続けるルビアと真中。


「『言わせてもらうと発信はずっとしてたわ。真中がそれを受信出来るようになったのは、吸血体として備わった能力の使い方が段々と分かってきたからなんじゃない?』」


「『にしても便利だなこの能力。午後の英語の小テストだってこれさえ使えば補修も免れるんじゃ』」


「『答えを教えてなんかあげないわよ』」


「『何で!?』」


「『カンニングなんだから当たり前でしょ! 自力で解けるようになってはじめて意味があるんじゃない。どうしてもと頭を下げるなら、お昼休みを返上して手伝ってあげてもいいけど』」


「『正攻法でいくしかないか。せっかくの力、もったいない気もするけどな』」


 やりとりの中で終業を告げるチャイムが鳴り、お互いは昼食前最後の授業に向かうべく準備を始めた。


「昨日の今日だ。次の体育、ルビアは大丈夫そうか?」


「全回復とはさすがにいかないけど、一晩寝たら人並み程度には動けるようになったわ。男子はバスケットボールで女子が水泳で別れるみたいね」


「無理はすんなよ」


「楽しみにしてたんだから張り切って泳ぐわ! それにコスプレ以外で〝アレ〟着るの夢だったの! こんな形で叶うなんて」

 

 二人が互いの着替えを持って移動を開始しようとしたその時、ヒロが話しかけてきた。


「ここ屋内の温水プールなんだって。鳳凰島(むこう)じゃ考えられなかった」


 体育の授業は隣のクラスも合同で行われる。ヒロもルビアと同様、水着の入ったビニールバッグを持っていた。


「更衣室の場所とか分かる? ほら、着替えに結構手間取るから早めに行っといた方がいいかなって」


「失念してたわ。言われてみればどこに何があるのかさっぱり」


「じゃ、一緒に行こ。ちなみに男子の更衣室は体育館横だから」


「よく知ってんな。ヒロだって昨日編入してきたばかりだろ?」


「授業表もらった時に体育ってあったから、昨日の内に訊いておいただけだって」


「ちゃっかりしてるな相変わらず。じゃあルビアの案内を頼む」


 廊下を出て別々の方向へと歩いて行く。二人は何の疑いもなく、ごくごく普通な形で分断させられた。


「うん。またあとで……」





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