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BLOOD HEAD〜不死になった彼とツン強めロリ吸血鬼は8人の最強魔術師たちと救世の旅をする〜  作者: 紙屋シキナ
第二章

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第二章「ヴァンパイア・オブ・ザ・スクールI」#5

「この胸の跡、やっぱり消えないわね」


 ルビアが鏡に写る、胸に残った菱形(ひしがた)の跡をなぞりながら物思いに沈んでいた頃。真中は等間隔で置かれた街灯が落とす光の溜まりを次々と追い越していた。


「はっ、はっ、はっ、はっ……」


 毎晩のルーティンも、昨日ばかりはそれどころではなかった。2日ぶり、約15kmのランニングを終えてマンションの一室へ帰宅した。


 冷蔵庫から、キンキンに冷えた水を取り出し飲み干す。続けて足を肩幅に広げて体幹トレーニングのため、室内用の物干し竿を上下に振ることきっちり一時間。引き締まった身体に張り付く大量の汗を洗い流そうと脱衣所へ行き、服を脱ぎ捨て浴室のドアを開けて入ると。


「え?」


「え?」


 風呂椅子に座っていた生まれたままの姿のルビアが振り返った。


「ーーーーーーっ!」


 不意をつかれ顔を真っ赤にしたルビアは、庇護(ひご)(よく)くすぐる肢体(したい)を隠すため湯船へと目一杯浸かる。


「脱いだ服がそこに置いてあったでしょ!」


「わ、悪い!」


 慌ててドアを閉め直す真中。


「そんなにわたしの裸が見たいわけ! このロリコン変態覗き魔! やっぱり確信犯だったようね!」


「悪かったって。今着替え直して出て行くから! それにこの際だからハッキリ言っとくけど、俺のタイプはキャットウーマンやってたアン・ハサウェイだ!」


「じゃあその彼女がお風呂入ってたら覗くわけ?」


「そんな失礼なマネできるか! ハリウッドスターだぞ!」


「その理屈、わたしならいいって? ずいぶんと安い女だと見積もられてるのね、真中のくせになんかムカつく」


「今のも事故だろ! もう出るから……」


「ふん! そう言いながら次は何よ。トイレ? 我慢できなくなって寝込みを襲うとか?」


「…………」


 言い返してこない。物音もしない。


「ほ、本気じゃないでしょうね? ちょっと、聞いてる!?」


「何だよ聞いてるよ! せめてタオルだけでも新しいのを……」


「いてよ」


「はぁ?」


「だ、か、ら! その……そこに……いて。話があるの。分かってるとは思うけど扉は開けないでよね!」


「お? おう……」


 困惑しながらも応じる真中がタオル一枚でドア越しに座り込む。


「何だ、話って? お互いこんな格好ですることか?」


「想像しちゃうでしょ! やめて」


 反響するルビアの声。自然とお互い扉や浴槽を隔てて背中合わせの状態になっていた。


「面と向かってじゃ、切り出せなくて。ただ謝りたかっただけなの」


「俺が怒るようなことなんてあったか?」


「殺気立ってる吸血体の群れの中に置き去りにした時よ。一方的に真中には殺意を持つなって言って。わたしの理想を押し付けた結果、真中は死にかけた」


「まぁ、吸血体が元は人間だと聞かされれば、大抵は躊躇(ちゅうちょ)する。でもルビアの殺しはダメだって考え方があったから割り切れたんだと思う」


「きっと真中ならわたしを否定することはないって、今も分かってて言ってる。卑怯(ひきょう)よね。本人からそんなことないよって言ってもらえるのを期待して待ってるなんて」


「殺さずに倒しきる。親父が俺に何を求めてるか。これは勘だけど、過去に捨てた俺の暴力性を引き出そうとしてるような気がする。それにはきっとルビアのその殺さない意思は邪魔になってくるはず。狙われてるのは俺たちじゃなくて、ルビアの方かもしれない」


「吸血体に近づけば凶暴性も増す。それもあながち的外れな意見ではなさそうね」


「ルビアのツンが多めなのも理解出来るしな」


「誰がツンツンよ!」


「デレなんてないだろ!」


「昨日の今日逢った他人に簡単にデレるわけないでしょ! なに期待してんのよ、まったく。どちらにせよ警戒を怠らないことね」


「ああ。それに乗じてあいつも必ず現れるはずだからな」


「あいつ?」


 ここで真中はあの日を堺に聞こえ始めた、悪魔の(ごと)き囁きについて打ち開けることを決める。


「吸血体に囲まれて死を覚悟した時、頭に声が響いて呼ばれたんだ。でもそいつは俺とも違う、ルビアとも違う意思を持ってて、吸血体を殺せって。それから意識が飛んで。気がついたら吸血体は一人残らずいなくなってた」


「声に身体が乗っ取られたってこと?」


「心臓を入れられてから起き始めた現象だ。姿形は見えない。でもその声だけはどうしてか聞こえるんだ。それもルビアにそっくりな……」


 そこへ真中の携帯から着信音が鳴った。


「わるい。リツカさんから電話だ。もしもし俺っす。はい。明日から!? また急な話っすね……」


 二人の会話を他所に、ルビアは真中をたぶらかす元凶について思案していた。


「わたしに似た声……ねぇ。アレも一緒に真中のところへ移ったとなると、こっちからは手の出しようがないわ。打ち勝てるかどうかは本人次第……となると」


「ルビア! 学校に通えるって! 二人とも明日から通学出来るようにリツカさんが!」


「きゃっ!」


 テンションのあまりドアを開け放つ真中。またしてもルビアの逆鱗(げきりん)に触れる。


「あんた、また……」


「やば」


「出てけーーーーーーっ!!」





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