濃密魔力注入(メスを堕とす力)
Sランクパーティーから追放され、装備も金もギルドカードも失った俺、ユキヤ。 冷たい雨が体温を奪っていく中、俺は王都の最下層、スラムの裏路地に倒れ込んでいた。
(ここで終わりか……? アリアたちに復讐もできないまま……)
朦朧とする意識の中、何かが視界に入った。 俺と同じ、ゴミのように打ち捨てられた「何か」だ。
「……女?」
そこには、ボロボロの布をまとった一人の少女が倒れていた。 銀色の髪は泥に汚れ、手足はありえないほど細い。だが、それ以上に目を引いたのは、彼女の首にはめられた黒い鉄製の首輪だった。
【隷属の呪枷】
それは、魔力で対象の自由意志を奪い、死ぬまで酷使するための呪いの道具。 少女は死にかけていた。雨による低体温症と、呪いによる生命力の枯渇だ。
(……俺と同じ、いや、俺以上に絶望しているヤツがいる)
同情、だろうか。 俺は最後の力を振り絞り、少女に手を伸ばした。
「……【魔力注入】」
いつものように、俺の魔力を分け与えようとする。 だが、ダメだ。 少女の体は、俺の魔力を受け付けない。 死が間近に迫りすぎて、魔力を「受け取る」体力さえないのだ。
(どうすれば……)
その時、脳裏に声が響いた。 それは、かつて俺がこのスキルを授かった時の「天啓」。 俺がずっと無視し、忘れていたスキルの「本当の名前」。
――汝に与えるは【濃密魔力注入】―― ――ただ与えるのではない。汝の魔力で対象を『満たし』『混濁』させ、『上書き』する力である――
そうだ。 俺はスキルの使い方を間違っていたんだ。 アリアたちが「気持ち悪い」と言ったあの感触。 あの「ヌルリ」とした感覚こそが、このスキルの本質。
俺は今まで、相手に拒絶されないよう、細心の注意を払い、魔力が「触れる」だけ、ほんの少し「注ぐ」だけで留めていた。
だが、この少女は死にかけている。 もう失うものはない。
「……試すか。お前たちが『生理的に無理』と言って捨てた、この力で」
俺は覚悟を決めた。 少女の冷たい腹部に、震える手のひらを押し当てる。 そして、意識を集中した。
(【濃密魔力注入】――発動!)
ズズンッ……!
今までとは比較にならない、おぞましいほどの量の魔力が、俺の手のひらから少女の体内に流れ込んでいく。 それは「回復」などという生易しいものではない。 俺の魔力が、少女の冷たい体を無理やりこじ開け、その「内側」を隅々まで侵食していく感覚。
「ぁ……あ……っ!」
死んでいたはずの少女の喉が、引きつったように鳴った。 彼女の体が、泥水の中でビクンッ!と大きく跳ねる。
「ひ……ぅ……! な、なに、これ……! あつい、あつい……!」
少女が目を見開く。 その瞳孔が、快感によって開いていくのが分かった。
「いや……っ! でも、やめ……! ぁあ、だめ……!」
少女の体は、俺の魔力を拒絶しようとする。 だが、俺は「注入」をやめない。 アリアたちに拒絶された、俺のすべてを。 この少女の「中」に、無理やり叩き込んでいく。
「あ……あ……っ! あふれ……る……! ユキヤ様の魔力が……私の、中に、いっぱ……い……!」
少女の体が弓なりにしなり、その唇から、魔力の奔流に耐えきれなかったかのような、甲高い喘ぎ声が漏れた。
キィィンッ!
甲高い金属音と共に、少女の首にはまっていた【隷属の呪枷】が、俺の魔力に「上書き」されて砕け散った。
「――――――ッ!!」
少女は最後の絶叫と共に、恍惚の表情を浮かべたまま、再び意識を失った。
……静寂が戻る。 あれだけ激しかった雨は、いつの間にか止んでいた。
「……やりすぎたか?」
俺は恐る恐る、少女の顔を覗き込む。 そこにいたのは、さっきまでの死体のような少女ではなかった。
頬は上気し、血色は良く、泥に汚れていても分かるほどの聖性を放っている。 なにより、その表情。 苦痛から解放された、安心しきった、蕩けるような寝顔。
俺は、自分の手のひらを見つめた。 アリアたちに「不浄」と罵られた、この手。
「……これが、俺のスキルの、本当の力……」
女勇者が本能的に「恐れた」力。 メスを「支配」し、その魂ごと俺の色に「上書き」する力。
その時。 少女が、ゆっくりと目を開けた。 泥水に濡れた銀色のまつ毛が、震える。
その虚ろだった瞳は、今は熱に浮かされたように潤み、俺だけを真っ直ぐに映していた。
少女は、震える手で俺の服の裾を掴むと、まるで赤子が母を求めるように、その頬を俺の手に擦り付けた。
「あ……。私の、救い主さま……」
少女――のちに、大陸最強の『聖女』として覚醒する女、ルナ。 彼女は、恍惚とした表情で、俺にだけ聞こえる声で呟いた。
「もっと……。もっと、あなたの『濃い』魔力を……私に『注入』してください……」
俺のハーレムが、今、産声を上げた。
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