僕の役目
僕は、バンド【convey your feelings】 の
ギターボーカルだった。
32歳のバースデーライブ中…
弦が切れるその時までは…
1月8日、今日は32回目の誕生日。
高校生の頃からバンド好きだった僕が、
共通の音楽の話で盛り上がり
仲良くなったクラスメイト
シゲ・ジュン・レイが
僕の誕生日に
「お前の誕生日プレゼントは俺たちがバンドメンバーになる事だ!」
と言って僕が組みたがっていたバンドの
メンバーになってくれて
15年目という記念の日でもある。
15周年という響きだけ聞くと
カッコ良いかもしれないが
もちろん売れてはおらず、地下のライブハウスで
数人のお客さんの前で歌うだけの日々。
実際は古着屋のバイトで収入を得て生活し、
いつか売れると夢見てダラダラと
バンドを続けている世間から見たら諦めの悪い
ただの駄目な大人だ。
それでも、メンバーと一緒に自分が作った曲を
演奏して歌えるそんな日々に僕自身は満足しており、
他のメンバーも会社員として働きながら
そんな僕と一緒に演奏する事を
ずっと変わらずに楽しんでくれていた。
素敵なメンバーとの出会いに感謝し、
好きな音楽を続けていられる喜びを
今日のステージで
全力で表現すると胸に誓い僕は
ステージに上がった…
すると驚くことに、客席には50名近くの人が居り、
メンバーが僕のバースデー&15周年の記念ライブを
盛り上げるために集めてくれたんだと
すぐに分かった。
メンバーへの感謝、
いつもより多いお客さんの前で歌える喜びに
感動して涙が出そうになるのを
我慢し全力で歌い続けた。凄く幸せな時間だ…。
そして…
僕のギターソロから始まる
最後の一曲を弾いた瞬間…
ギターの弦が切れたのと同時に景色が変わった。
メンバー、お客さんの姿が無くなり
真っ暗なライブハウスでスポットライトに照らされた
1人の少女が涙を流しながら僕の方を見ていた。




