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シンデレラになりたかった私が王子様と呼ばれている話

作者: 雀野ヒナ
掲載日:2025/08/23

 大学四回生の私は、先日、やっとの思いで就活を終わらせることができた。

 ただ働くために、どうしてこんなに頑張らなきゃいけないんだと、文句を言いながらも1年以上頑張った。第一志望に合格できて、心の底から安心している。


 さて、就活といえば面接だが、一つどうしても笑ってしまう質問があった。


「将来の夢はなんですか?」


 なぜなら、私の最初の将来の夢は、「シンデレラ」だったからだ。


 青いドレスに身を包み、お城の階段を駆け下りる私。片方だけ残していったガラスの靴を、王子さまが届けに来てくれる——そんな物語を、私は本気で信じていた。

 毎朝、お母さんに長い髪をきれいに編み込んでもらい、おもちゃのガラスの靴を履いて家の中でくるくる踊る。近所のおじさんに「私、シンデレラ!」と挨拶していたのだから、相当なりきっていたものだ。


 それから十数年。今の私は、ショートヘアにメンズシャツをさらっと着こなし、二十六センチのごつめのスニーカーで歩いている。ガラスの靴のような硬い靴は足が痛くなるし、お洒落なヒールは疲れるので苦手だ。

 そんな私は、大学ではなぜか「学科一のイケメン」「王子様」と言われることがある。女子にイケメン枠を取られてしまった男子たちには申し訳ないが、ちょっと誇らしい。

 そして、鏡に映る自分の姿があの頃のシンデレラ像とは対極にあることに、ふと笑ってしまう。


 でも、思うのだ。あの頃の「なりたい」は、たしかに今につながっている。今でも服や髪型にこだわるのは、自分自身がちゃんと「好きな自分」でいたいから。ガラスの靴は履いていないけれど、二十六センチのスニーカーで、私はずいぶん遠くまで歩けるようになった。

 きっとこれからも、靴は変わっていくだろう。夢も、場所も、髪型も、呼ばれ方も。それでも、根本は変わらない。


 私の中ではいつでも、小さなシンデレラがくるくると踊っている。

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