第9話:走れ!光画列車と人間電池
光画部恒例のイベントとして、鳥坂零OBが「究極の光画」と称して、飯田線沿線をイメージした場所での「走る撮影会」を企画したんや。朝早くから部員たちは集合して、電車に乗って撮影場所へ向かう道中からすでにドタバタ。
「いいか、光画の道は平坦ではない!走る光こそ、究極の光画だ!」
鳥坂OBの奇妙な号令のもと、凛ちゃん、楓ちゃん、葵ちゃんの3人が「人間電池」として走りにチャレンジすることになったんや。
凛ちゃんは、完璧なフォームで走ろうと意気込むんやけど、すぐに息切れしてフォームも崩壊。途中からはもう、転びそうになりながらも必死に走るだけやったんや。α99IIで自撮りを試みるも、映るのはブレブレの不格好な顔ばかり。
(心の中)ぐ、ぐぬぬ……完璧なフォームが……!この心肺機能は、まさかポンコツ……!?あかん、もう脚がもたへん!
楓ちゃんは、そんな凛ちゃんをよそに、淡々と、しかしブレないペースで走り続けたんや。その表情にはどこか達観したような、芸術家らしい趣が漂う。彼は、愛用の中判フィルムカメラで、あえて長時間露光を試みて、走る自分の姿を光の線として写し込む「動く光画」を狙っとる。彼の心の中では、幼い頃に見た古い家族写真の記憶が蘇ってきてた。フィルムの不確実性の中にこそ、「生きている証」を見出す彼なりの哲学がそこにはあったんや。
葵ちゃんは、スポーツウォッチでペース配分を徹底管理し、効率的な走りを追求しとる。最新ミラーレス一眼で、凛ちゃんや楓ちゃんの「走り」を、高速度撮影やブレ補正機能を駆使して完璧に捉えようと必死や。「凛、そのフォームは空気抵抗が大きすぎ!」「楓先輩、ペース配分が非効率です!」て、走りながらも専門的なツッコミや指示を飛ばすんやで。彼女の心には、最高の技術で見たものを記録し、誰かに感動を届けたい、という純粋な思いが溢れとるんや。
鳥坂OBは、自身は走らへんくせに、自転車で並走したり、沿道から**金属バット**を掲げて応援したり、**着ぐるみ**を着て現れたりと、奇妙な応援を繰り広げとる。「いいか、君たちは『光画の使徒』だ!走る光こそ、究極の…ゲフンゲフン!」「もっと、もっと『魂』を込めて走るのだ!」て叫びまくっとるし、途中で謎のエネルギー補給として、特製の「栄養ドリンク(怪しい色)」を差し入れようとしてきて、凛ちゃんはさらにパニックやったんや。
【次回予告】
鳥坂零OB: 「いいか、光画ってのはな、画角によって世界を切り取る、究極の『視覚の魔術』よ!広角は世界を包み込み、望遠は真実を穿つ!」
綾瀬凛: 「え、えーっ!?画角って、四角い枠のこと?それで世界が魔法にかかるって、なんか不思議やん!じゃあ、私がいつも撮ってる変な写真も、魔法のせいなん?次の話、私、魔法使いになるん?」
綾瀬凛: 「【次回予告:光画部員、カメラに秘めたる思いを語る!?】」