第6話:校長の微笑みと、光画部の過去
光画部のあまりにも奇妙な活動は、やがて学園中に噂になってしもたんや。噂は教師陣の耳にも届いて、「ついに校長先生に怒られる…!」て、凛ちゃんは青ざめてたんやで。放課後、校長室に呼び出された凛ちゃんは、ガチガチに緊張しながらドアを開けたんやけど、そこにいたんは、いつもの厳格な校長先生とは、なんか違う雰囲気やったんや。校長先生は、凛ちゃんを見るなり、フッと優しい「微笑み」を浮かべたんやで。
「綾瀬君、光画部での活動は、どうですか?」
凛ちゃんは、恐る恐る光画部でのドタバタを話し始めたんやけど、校長先生はフムフムと聞いてくれるだけやった。そして、校長先生はゆっくりと立ち上がり、校長室の壁に飾られた、何枚かの古びた写真に目を向けたんや。
「実はね、私も学生時代、君たちと同じ写真部に所属していたんですよ。あ、今は光画部と言うんだっけ?」
まさかの告白に、凛ちゃんは目を丸くしたんや。校長先生が指差した写真を見て、凛ちゃんは息を呑んだんやで。そこに写っとったんは、モノクロで、少し粒子が荒いんやけど、なぜか強烈な個性と魅力を持った写真やったんや。それは、凛ちゃんが光画部で偶然撮ってしまった、あの着ぐるみの写真と同じような、どこかシュールで、しかし光への情熱が感じられる独特の「味」があったんや。
特に一枚、校舎の古い渡り廊下から差し込む光を捉えた、なんとも言えん雰囲気のモノクロ写真に、凛ちゃんは心を奪われたんや。完璧ではないけれど、そこに確かに「何か」が写っとる。
「あの…この写真、なんでこんなに…」
凛ちゃんは、その写真が持つ「何か」に強く惹かれて、自分も同じ場所、同じ時間帯で模倣して撮ろうと試行錯誤するんやけど、何度撮っても同じようには撮られへん。
「なんでやろ…なんで私には、こんな写真撮られへんのやろ…?」
凛ちゃんは、その写真を見つめながら、「なぜ自分はこの写真に惹かれるのか、自分にもこんな写真を撮れるのか」という、彼女自身の外向きな「夢」や「目標」が、心の奥底で芽生え始めたんやで。
校長先生は、そんな凛ちゃんに優しく語りかけた。「光画は、完璧を求めることではない。君の目に見えた光を、君の魂で捉えることだ。君たちの活動は、確かに少しばかり型破りかもしれませんが、それもまた、青春の記録です。大切にしなさい。」
校長先生の言葉は、凛ちゃんの心にじんわりと染み渡ったんや。光画部の存在意義や、写真の持つ「自由さ」を、凛ちゃんは少しずつ理解し始めたんやで。
【次回予告】
鳥坂零OB: 「いいか、光画ってのはな、ピントの概念を超えた、究極の『光の収束』よ!ボケすらも、光画の意思なのだ!」
綾瀬凛: 「え、えーっ!?ピントって、ちゃんと合わせるもんちゃうん?ボケてる写真ばっかり撮れるのは、私だけじゃないってこと?あー、もう!次の話、なんかややこしいことになりそうやん?」
綾瀬凛: 「【次回予告:フィルムとデジタル、光画部の全面戦争勃発!?】」