ハルカの夏;僕達とテスト
「さぁ、皆!!勉強しようじゃないかぁぁぁぁ!」
「「「ウルサイ!!」」」
「す、すみません……」
今日は土曜日、明後日からテストを控えた最後の休日。
どうせなら皆で勉強してテストを迎え撃とうと言う話しが持ち上がった。
集まったメンバーは僕、彼方、子夏、マリア、誠といつものだ。
今は僕の家のリビングで各々ノートを広げて勉強していたが誠が急に叫んだ。
「そんな解りきった事で一々叫ぶなよ!誠」
「はぁ?わかってねぇな、百合野は!読者さんがわかんねだろうが!!」
「ど、読者?なんの………?」
「え〜と……まぁ、わかんねならいいわ。」
マリアは頭上に?マークを並べた。誠の言動に理解出来なかったらしい……
しばらく静かに各々やっており、質問などする人はいなかった。
ホント、誰も話さない状況でノートを黒く染める音しか聞こえない。
七瀬、マリア、彼方が静かなのは解る……
だが、何故子夏、誠が静かなんだ!?
あの二人が真面目にスタディしてるのか………?
まさか!
テスト週間始めにゲーセン行って、今まで勉強してなかった二人が勉強だ…と?
考えられない!!
でも、もう時間が無いから真面目にやってるのかも…………
た、確かめよう……かな………
恐る恐る顔を上げ、隣の子夏、もう一つ隣の誠を見る。
二人はノートの上に腕を組み頭をのせて
「寝てんのかい!!?」
「「「ウルサイ!」」」
「ご、ごめんなさい…」
理不尽だ!!
「ん?ふぁぁ〜……うるさいぞ?悠さん……」
「「「……え!?」」」
「ちょ、いきなりどうしちゃったの!?百合野さん!」
「そ、そうだよ!子夏ちゃん!!」
彼方、七瀬がペンを捨て子夏に言い寄る。
が、寝ぼけて何言ったのか覚えて無い子夏はまた頭上に?マークを並べた。
「いいねぇ〜。天崎君、愛されてて。」
「「ちょ、マリア!!///」」
僕と子夏の声がかぶりお互いに意識してしまう。
そんななか………
「いいなぁ〜……仲良さそうで。私も私も………」
「兄ぃ〜さぁ〜ん………」
七瀬と彼方が恨めしそうにこちらを見てくる。
とりあえず場の空気を変えないといけない。
「ん?あぁあ〜、……何だ?何の騒ぎだ?」
ナイス誠!
これで話題を変えよう。
「誠君、寝てちゃ……」
「「まこくん(椎葉さん)は黙ってて!!」」
「なぜ!?」
あぁ……誠の扱いが日に日に酷くなってきてる気がするよ
狩られた誠は放置されまた矛先が僕に向く。
「まぁまぁ、皆様そんなにカリカリしないで下さい。ケーキを作りましたので休息をとられたらいかがですか?」
「あ、小梅さ……小梅。ありがとう。皆でいただこうよ!」
会話に割って入って来たのはメイドの小梅だった。
しかも丁度良く話しが変わってくれて良かった。
皆でノートや教科書を机から退けて、苺が沢山乗ってる白いホールケーキを置く。
小梅は包丁を二本持ち見事な包丁さばきで切り分け、更に皿に盛ってくれた。
皿だけに……
……くっくくく
「なんちゃって……」
「はるくん………何言ってるの?」
「さぁ、タベヨウか。」
「わわ、流されたよ……」
一緒にオレンジジュースを出してくれた後、小梅は二階に位置する自室に行った。
フォークで一口サイズに裂き口に運ぶ。クリームが程よく甘く、スポンジとの間に敷き詰めてある苺が甘酸っぱく、ついついもう一口が急いでしまう。さらに、このオレンジジュースは100%らしく酸っぱい。
つまり最強のコンビネーションだね!!
「わっ、これすっごく美味い!」
「ホントですね……作り方を教えてもらいたいです。」
「かなちゃんのケーキもおいしいよぉ〜」
「ありがとうございます。でも、桜さんも美味しいですよ。」
「わ〜い、褒められたよ〜!」
そんな中マリアと子夏は………
「「………(ぱくぱく)」」
無言で食べ続けていた。
皆で食べたらホールケーキは姿を消し、再びノートや教科書が机を占領した。
♀♀♀♀♀♀♀♀♀♀♀
「それでこの答えはχ=3ってこと。」
「おぉ〜。解る!解るぞ!!流石七瀬だ。」
「ふふんっ!どうよ。」
胸をはり自慢してくる七瀬。気のせいかもしれないがややツリ目になってる気がする………
「一息いれよっか。飲み物持ってくるよ。七瀬、手伝ってくれないかな?」
「いいわよ。」
僕と七瀬でリビングにいる彼方、マリアにみっちり勉強させられてる《しごかれてる》子夏と誠に背を向け歩いた。
♂♂♂♂♂♂♂♂♂♂♂
「なぁ、七瀬。」
「なに?」
僕は冷蔵庫から麦茶を出しながら、七瀬は棚からコップを取りながら話す。
「君は、今裏七瀬か?」
「うん、そうよ。」
あっさり即答かよ……
「ちなみに、この前ゲーセンの時も君だろ?」
「なんだぁ、判ってたんだ。」
そりゃわかるさ。
あの時七瀬は僕を変態扱いしやがったからな。
いつもの七瀬ならそんなこと言わないよ!
すると裏七瀬は
片手を両目を隠し、数秒たって彼女の瞳を見ると紅い瞳に変わっていた。
「はぁ〜い!裏七瀬ちゃんです!皆さん元気してたかなぁ?」
「誰に言ってるの?」
「誰って、アンタね。そんなの読者さんに決まってるじゃない!!」
「???」
「まぁ、……解んないならいいわよ………」
このやり取りどっかで見た気がする……、デジャブかな?
まぁ、いいや
「あの、さ。この前ぬいぐるみ………ありがとう、ね……」
「ん?あぁ、うん。別にいいよ。」
僕にそっぽを向いてお礼を言う。耳が軽く赤みを帯びている。それをみて軽く笑うと振り返らずに文句を言ってくる。
「な!何が可笑しい!?」
「いや、真っ赤になりながらお礼なんて、凄いかわいいなぁって思っただけだよ。」
「くぅぅ〜〜///」
まるで小学生みたいに頬を膨らませて悔しがっている。
「別に悔しい訳じゃないんだから!」
「口に出してないのに何で解るの!?」
うるさい!と一つ罵声を貰った僕は裏七瀬の手に持つコップを取り上げ、お盆に乗せ―――
「危ない!!!」
「………え?どうしたの、はるくん?」
コップを取り上げたときに裏七瀬は目眩や貧血を起こした様に崩れた。しかし、ただ崩れただけではなく、口調がまるっきり変わっていた。いや、替わっていた。
七瀬を抱き抱える様に支えていると、七瀬は顔を赤くして俯く。
「七瀬が急に倒れたから……それより大丈夫か?」
「………うん。大丈夫だよ何でもないから……」
「そっか……なら、良いんだけど。」
勉強のし過ぎかなぁ〜と元気に振る舞うが何処か元気が無い。
勉強のし過ぎはただの嘘なのはバレバレであった。
毎回表裏入れ替わるときは今みたいに倒れるみたいだな……
事情を知ってる僕がしっかりしなくちゃだね。
そのあと麦茶をもって行くと誠は涙を流しながら酸っぱい麦茶だなと啜っていた《すすっていた》。
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あれから数時間が経過して明るかった空は夕刻の色をを告げている。
お互いに教え合ったり集中してやっていたら時間の経過を忘れていた。
腹が減って台所へ行くと既に小梅が料理をしていた。
どの料理も美味く皆で騒いで食べた。
勉強も出来て楽しい時間も出来て今日は凄い楽しかった――――
あの事が起こるまでは。
※※※※※※※※※※※
「はぁ〜、美味かった。」
俺――椎葉誠。
今日は本当にツイテル日だぜ。なんせ俺以外全員女の子のお泊まり会だぜ!
ヤッホォォ〜イ!
なぁ?これ、何ていうエロゲーだ?
ん、いや、待て。
全員女の子は少し違うか……『全員女の子+一匹』だな!
百合野はすぐに暴力と暴言で立ち向かってくる狂戦士だからな。まともに相手してたら身が持たない……
とりあえず、食後のトイレに来て、急に何で今日お呼ばれされたのか気になった。
まぁ、たぶんそれは悠ちゃんだ。
最近悠が学校に来てないから心配してるみたいな態度で悠ちゃんと話してたからだと思う。
「にしても、悠ちゃんかわいいなぁ〜、………」
用を済ませ、リビングへ向かう途中に階段が目に入ってきた。
「………」
悠は元気なのだろうか……
連絡は貰うだけで結局一度も会っていない。
「少し気になるからお見舞いでもしてやるか!」
階段を一段一段上がっていく。
上がっていく度にドキドキが加速する。
やっと親友に会えるんだ。
部屋の前に来てドアノブに手をかけると勢い良く扉を開けたが、目の前にはただ困惑しか生み出さなかった。
凄い遅れました
すみません
感想待ってます