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ハルカの季節  作者: 杞憂
16/23

ハルカの春;終;御見舞い〜3〜

部屋に明かりはなく、家具があるはずの場所を観てもそこには黒に染まった壁しか見えない。

壁に指を這わせてスイッチを押して明かりを付ける。


「ここが僕の部屋です。」


「?いや、私達は悠ちゃんの部屋じゃなくて、天崎君の部屋に行きたかったんだけど…」


「……とりあえず皆適当に座って。話が長くなるから。」


部屋の前に立っている

百合野子夏、楠マリア、小梅音羽を部屋に入るように促せる。以外にも皆すんなり部屋に入りベッドに座ったり、クッションに座る。

僕は学習机の椅子に座り何から話せば言いか軽く悩む。


「ねぇ、悠ちゃん。そう言えば彼方は?一緒に住んでるんだよね?」


「彼方様は只今文具を購入すると仰い外出中です。」


「……えっと貴女は?」


「申し遅れました。私は天崎家に呼ばれたメイドで、小梅と申します。」


いつもなら友達に接する様な柔らかい笑みは無く接客顔の一つだけだ。

互いに挨拶を終えたところで本題に入る。


「実は皆に秘密にしてた事が有るんだけど、聞いてくれないかな?」


「急に改まってどうしたの?」


「実は僕は男なんだ!!」


「「………………」」


客二人は黙り込み、音羽は俯いている。

分かってはいた。

今までずっと皆に嘘付いてたからきっと失望してるに違いな―――


「あぁ〜、ハッハッハ、、、な、何だそれ!!」


「えっ!?」

「そうだよ、流石にそれは…フフ…」

お客人方は笑いを堪える事が出来ず笑う。その反応をみてとってもビックリした。


「悠様……多分これが普通の反応だと思われます。」


うん。

そうだろうね。

確かに、急に非日常(へん)な事を話されてもアレだよね。

でも普通なら子夏みたいに腹抱えて笑わないと思うよ。女の子としても……

てか、冗談にしてもそんなに笑えるのか…?



「ハハハ〜、あぁ〜で何だっけ?」


「あ、うん。僕が男だよって話し。」


「あははハハハ〜〜〜〜―――。」


何故そこまで笑える!

少しおかしくないか!?

てか、こんなに笑われてムカつく!!!


「悪い悪い、もう笑わないから……何だっけ?」


「だから僕が男だって事。」

「………………………………………。」


笑わなかった。

笑わない所か二人はさっきまで緩んでいた表情が消え真剣な表情に変わった。



「マジ?」


「マジ!」


「本当に?」


「本当に!」


「realy?」


「「realy!!」」


最後だけ子夏とハモった。この響き……やはり良い!


「子夏はリアリ〇で誰が一番好き?」


「断然…シ〇だな!」


「リア〇アで!?」


「やっぱり〇コリスと〇アが別れを告げる場面は泣けるなぁ〜」


「何か色々チゲーヨ!?」


「やっぱり天崎なのか?」


「このタイミングで!?」


どうやら子夏は僕を試していたみたいだ。しかし、何か嫌な判断方法だなぁ…

まぁ、わかってくれれば何でも良いや。


「仮に悠ちゃんが天崎君として、何で性転換したの?」


「話すと長い、時間大丈夫かな?」


皆一様に首を縦に振る。そうして包み隠さず全てを彼女らに話した。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



全て話し終わると直ぐにマリアに質問された。


「で、貴方はどうするつもりなの?」


「え…?」


「このまま女の子であり続けるの?」


「………今父さんが薬をつくってるから後少しだと思う。」


「質問かえるね。女の子であり続けたいの?」


「……まだ、わからない。」


「……そう。」


わかった。

そう言うとマリアは黙る。次に子夏のターンが回ってきた。



「悠、い、いや天崎!どどうしてそんな事黙ってたんだよ!!」


「……本当の事話したら皆、きっと嫌うから…」


「はぁ?何言ってんだ?」と強めに言う子夏。


「私が悠の事嫌いになるかよ!私達そんな程度の友達だと思ってたのかよ!!」


さっきまでは顔を赤くして照れた様子で話して来たのに今は激昂している。


「悠はそんな考えで私らと友達として付き合ってたのかよ!!」


言い返せられない――

実際そういう考えでしか付き合えてなかった。


「なぁ悠。お前はどうして一人で大事な事を抱えるんだよ……」


「だから、嫌われると……」


「だから私はそん「ねぇ、悠ちゃん。」


今までずっと黙っていたマリアが子夏の会話に割り込む。


「前にも言ったけど何か困ってたら相談してよ…」


「………。」


「はぁ〜。埒があかねぇ!おい、悠!!黙ってないで……っ、マリア?」



またしても割り込むマリア。だが、マリアは立ち上がり僕の頬を叩く。


バシン!!―――


何が起こったのか解らなかった。

あまりに急だったからだろう、それがわかった時には頬はほんのり赤みがかり痛みと共に上から雨粒が落ちて来た。

空を見ると今にも大降りしそうな雨雲が涙を堪えながら僕を両腕で包み込む。


「ねぇ、悠ちゃん……私はそんな事じゃ友達辞めたり、絶交なんかしないよ。……だって私……悠ちゃんの事大好き…なんだから………」


「ま、マリア……!」


「おいおい、私を忘れてないか?」


「子夏…!」


子夏も抱きつく。


涙を堪えられなくなった三つの雨雲は一斉に豪雨を降らせた。しかし、雨はとても暖かく優しさを含んでいる。

遠目で見つめている音羽はずっと微笑んでいる。

目尻には涙が少量着いている。


「雨降って地固まる、ですすか……」



僕達が泣き止んだのはそれから約一時間後位だった。


♀♀♀♀♀♀♀♀♀♀♀



「おかわり!」

子夏の猛々しい声がリビングに響き渡る。

かしこまりました、と音羽が返事をし子夏からそれを取り上げ白米を盛る。


「ありがとうございます。小梅さん。」


「いえ、悠様の御学友ですから当然の事です。」


遡る(さかのぼる)こと約三十分程前―――


音羽が接客顔で唐突に語り出した。

『今から夕食の準備を致します。良ければ皆様もどうですか?』


マリアは一度は遠慮したが子夏がシツコク食べたいと駄々をこねたから三人で食べている。


「子夏、遠慮っていう言葉知らないの?」


「遠慮位知ってるよ!だって小梅さんの料理どれも美味すぎて遠慮できなくなってさぁ〜」


「お褒めの御言葉、光栄です。」


「それに泣き疲れて腹減ったしな!」


確かに、と皆がみな思った。


「まぁ、これで私とマリアと悠の友情も深まった訳だ!」


するとマリアが確かに良かったと口にした後子夏の耳元に顔を寄せて何かを囁く。


「天崎君と多少進展して良かった。」


「っっ!!!!!//////」


何故か顔が赤くなった子夏にどうしたのかと聞くと、「五月蝿い五月蝿い煩い煩いウルサイうるさい!!」と言われた。


理不尽じゃねぇか?



しばらくすると外出していた彼方も帰宅したので皆と一緒に夕食を食べた。


彼方が加わった事で会話の幅がかなり広がり話しが尽きなかった。時計の針が9時を指したときマリアが帰ると言ったので今日はこれで解散することになった。



♂♂♂♂♂♂♂♂♂♂♂



「「お邪魔しました。」」


「途中まで送ってくよ。」


「良いって!二人だから平気だって!」


良くない、それじゃ僕が納得いかない。

僕のせいでこんなに遅くなったから……


「いいから、送らせて。

これじゃあ何か申し訳ないから……」


「分かったわ。じゃあ途中までお願いね、悠ちゃん。」


「うん!任せろ。」


「ったく、強引だなぁ〜悠。」


「まぁ、貴方なら少し強引な天崎君が丁度良いんじゃない?」


「……///」


「二人とも何話してるの?」


「「内緒だよ。(内緒だ!)」」

マリア、子夏の声がだぶる。なんか隠し事されてるみたいで何か嫌だな……

まぁ、この二人だからきっと悪口じゃないとは思うけど……


「悪口じゃなくて、誉め言葉みたいなもんだよ。」


それじゃ聞かせてと言うとマリアが子夏に言うよ、と聞くと勢い良く食い付き、大声で駄目と答えた。

近所迷惑甚だしい。

だが、それ以上に会話の内容が気になる。


「い、いつか…その、教えてやるから、……待っててくれよな、天崎///………」


「?なにを?」


「だから………」


「え?何?もう一回言ってくれない?」


「五月蝿い五月蝿い煩い煩いウルサイうるさい!」


「えぇ!?」


「いいからさっさと私達を送れよな!!」

真っ赤な顔をして理不尽にも本日二回目を喰らった。

でも、こういう子夏とのやり取りが楽しい。



玄関の扉を開けると外は濃く暗く、月が雲に覆い被さっていて道がはっきりと照らされていないが、見えない訳ではない。

街灯が照らす道は誰も居ないのに勝手に開演した舞台の様だ。


家のしきりから出た僕達は役者――

役者は舞台に上がり灯りを頼りにストーリーを進めていく。



灯りで舗装された道は薄暗くはあるが、他の道よりかは心強く安心させてくれるが、周りの家々はどこにも明かりが無く淋しさだけを漂わせている。

これはあくまで周りの話しであって隣の話しではない。


「アハハハ〜、それマジ!?」


「本当何だって、帰ったら楽しいから観てみなよ。」


何の話しをしてるのかが判らないが大声を張り上げて笑う。


周りが何もない為に音は回折やら屈折して何回も反響してくる。近所迷惑甚だしい……


「私はこっちだから行くね。」


Y字カーブに着いた所で別れを告げるマリア。

まだ三人で一緒にいたい気持ちもあるのだが時間が遅いのでワガママは言えない……


「じゃあね、おやすみなさい。」


「じゃあな、マリア!また明日!」


マリアは別れ際耳打ちで「子夏を送って行って。」と言われた――様な気がした。

だから言われて送るって訳ではなく、初めから送る気だった。


「じゃ、私も帰るわ。じゃあな、悠!」


「子夏、あと少し位送らせよ……」


「えっ……。良いけど、よぉ……」


子夏はビクッと反応しておどおどした様子で応える。

「じゃあそうさせて貰うよ。」


了解を得た僕は彼女の隣に並び再び歩き出す。


「………」「………」


歩き出したのは良いが何故か声をかけづらく足だけが前に進む。きっと彼女も一緒の事思ってると表情から伝わってくる。


ここは一応男の僕が話しかけようと思っていたら、僕よりも遥かに漢らしい子夏が先に話しかけてきた。



「ね、ねぇ…どうして私達に本当の事を話したの?」


「……友達を騙し続けるのが嫌になったからかな。皆が本当に眩しくて…秘密にしてるのが苦しくさ……それで話したんだ。」


「そ、そうか……」


「だから子夏達には凄い感謝してるんだよ。本当にありがとうね、子夏。」


「いや、別にたいした事は何も……本当の事を言った天崎の方が凄いよ。私にはそんな勇気が無いから……」


「そんな事は無いよ!子夏はいつも素直だし、言いたい事ハッキリ話す。それは凄い勇気がいるんだよ。」


歩くのを止めて彼女をまっすぐ見つめる。彼女は僕を見つめないで目線を他所に向ける。


子夏らしくない。

いつもまっすぐなのに今は変化球を投げる投手―


変な例えだがそんな感じなのだ。



「どうした?体調悪いの?」


「……あ、あのな、私は、私は……」


「え?何?」


「な、何もない!やっぱ何もない!//」


「何でやめるの!?気になるよ。」


「何もないから、本当に!送りはここまでで良いからじゃあね〜!また明日!!」


素早く足を動かして前に進んでいく。彼女の足取りは軽く、地を走っているのに浮いていく――そんな感じ。


彼女らが舞台より退場して一人きりの夜舞台と化した。さっきから結構騒いでいたのにどこからも何の反応も無い。

本当に一人きり……



「ん?一人きりの夜舞台?……あぁ〜」


何処かで聴いたフレーズだと思ったらD〇Rの歌だったと独りで勝手に思い出す。

誰も居ないから声をセーブする必要が無いしどうせ何も言わないと思いそれなりの声で歌い始める。


「罪と、刻む、風と、消えろ我の証はぁ〜!!」


「「「うるさい!!!」」」


「えぇ!?」


子夏の方がうるさかったのにぃ……理不尽だ……。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「はぁ〜、いい湯だったぁ〜。」


体に湯気を纏い(まとい)、部屋に入るとすぐに手袋を付けてP〇Pのスリープを解除する。


「いい湯だったけど今になってすれば嫌な湯だな〜」


呟きながらPS〇を持ち窓辺に腰をかける。

窓を開けると気持ちも良い涼しさを持った風が通る。

〇SPの画面を見ると受付嬢にクエストを受注して出撃スタンバイが完了した所でスリップをしたのが分かる。

ア〇ムを狩猟するためにクーラー〇リンクを持ったのを再度確認すると僕はゲームと心をリンクさせた…………



@@@@@@@@@@@



「フッ…楽勝だ。五分針クリアだ……」


たった数分で終わらせる僕……神ったな!


任務を終えてユク〇村に帰還する間に窓の外を見る。そこにはかなりの数の星々が煌めいていた。

町明かりは無く田舎に来たかのような雰囲気、家々は草木、山の様に見え都会なのに何処か都会離れした風景である。

体温が冷えてきたのを最後に星空を目に焼き付け境界を閉めた。



「さて、今のは準備体操だ!今からが、本番だぁ〜!拘束(てぶくろ)解除ぉぉ!!!」



全て、総てをさらけ出した僕に勝てるモンスター何てゆとりな3rdには存在しない!!ハッハッハ!!!



拘束解除をして約一時間程ぶっ続けでやり続けていたら急な睡魔に襲われ寝ようと思ったら妹の彼方が部屋を訪れてきた。


用件を聞くとモンハ〇でウラガ〇キンが倒せないらしく救援を求めてきたのですかさず集会浴場に向かった。

え?眠くないのか?

眠いさ……

でもここで助けに行かないのはハンターに在らず!

ただの屍と同じだ!

僕はいつ、何時どもハンターで在ることを心に誓ったのだ!!!

だから僕は行く……



眠気を抑え再び狩りに勤しむ姿はまさに百戦錬磨の戦乙女の様だと後世に語り継がれるだろう。




たぶんね……



※※※※※※※※※※※



真夜中の外気はまだまだ冬と同じでかなり寒い。

季節ではもう春なのに嘘みたいだ。


そんな中、季節の移り変わりが良く判るものが目にとまった。


葉桜だ―――


花と違いあまり目立たないがそれは爽やかさを醸し(かもし)出ている。

風が吹くたび葉が揺れカサカサと心地よい音が聞こえてくる。風鈴の音も良いがこの音も私は好きだ。

葉桜や私、家々に吹きかけてくる風は少し生暖かかった………

(全員)『ハルカの春、終了ぉー!!』


どうも、杞憂です。

今回はハルカの季節の1シーズンに当たる春編が無事終幕しました〜(o`∀´o)


今日は終幕と言うことでゲストを後書きサイドに及びしました!どうぞ〜!


(悠)「こんにちは、天崎悠です。」


(彼)「妹の彼方です。」


(梅)「悠様、彼方様のメイドの小梅音羽です☆××歳です!」


(桜)「こんにちは、桜七瀬です。」


いや〜無事に終幕して良かったですねぇ〜


(悠)「確かに…僕は男って事を隠すのが凄い難しかったよ。でも無事で良かった良かった!」


いやいや、悠さんは自分から喋ったんじゃん……


(悠)「そ、そう言えば何で音羽は凄い堅い表情だったの?」


(梅)「流石に悠様の御学友でも締まりの無い表情はみせられませんからぁ〜(笑)」


(桜)「私もはるくんの御学友なんだけど……」


あれ?彼方さんはあまり話してませんね?どうしたのですか?


(彼)「春編……出番が少なかったよぉ………」


…………

さて皆さん!

次回の予告をどうぞ!


(彼)「季節は夏!」


(桜)「密かに想いを寄せていた彼女!!」


(梅)「悠様を狙う様々な刺客!!!」


(悠)「えっ!?刺客!?」


(桜)「正体がバレたはるくん。彼女の態度も一変するか……」


(梅)「夏はプールに海水浴!!」


(誠)「はっ!!まさか……ポロリもアリなのか!!」


(悠彼桜)『そんなの無いよ!!!!!』


(誠)「えっ!無いの!」


てか、誠君、杞憂は君を呼んだ覚えは無いよ?


(誠)「堅いことは気にすんな!」


(梅)「水着…ポロリ…………イケる!!」


(悠)「マジで!?」


(梅)「悠様なら、なお良し!!」


(悠)「マジで!?怖いよ音羽……」


あの、皆さん、予告の続きを……


(梅)「そうでしたね。え〜と。学園に新たな敵が……」


(彼)「父さん、母さんが新薬を開発!これで兄さんは……!!」


(悠)「次回、ハルカの季節、『ハルカの夏』に続きます!絶対に見てくださいね?」


(誠)「見なかったら風穴あけるわよ!!」


(全員)『…なんかウザ…』


と、言うわけで次回からもよろしくお願いします。


感想などいつでもまってます。

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