戦争の決着
王宮では、ヴィオルが連れて来たメイソン、後日に騎士団長が連れて来たリンネ国の騎士団長からこれまでの戦争の経緯を聞き出しました。
聞けば聞くほど、国王と王妃が好き勝手にしており、国民は勿論のこと、貴族でさえも苦しまれていることがよく分かりました。
そのため、国王に自ら王位を立ち退いて、旧王族であるマナーズ家に譲って国政を立ち直すよう要求しました。
しかし、国王や王妃はそんなことするわけないだろうと一蹴し、無視をしてしまいます。
そんな中、宰相を含めた多くの貴族がここぞとばかりに彼らを潰しにかかったため、あっと言う間に国王と王妃は入れ代わり、国政を立ち直すようになりました。
リンネ国が戦争を起こしたことに対する慰謝料は、計画から終戦までの期間である、3ヶ月分のオルガ国の国家予算を支払うように命じました。
また、リンネ国の高すぎる税金を標準に戻し、今で裁判や法律も王政が握っていたため、三権分立を行うよう命じました。
そしてこの戦争に大きく関わった人達の処罰は以下のようになりました。
国民や貴族を多く苦しめてきた国王と王妃は処刑判決が下されるのですが、相変わらず何が悪いか分かっていない彼らは、どうしてと強く反論しており、全く持って反省の色はありませんでした。
またメイソンとリンネ国の騎士団長は、この戦争の主犯であるものの、元々国の是正を直そうとしていたことが加味され、国家が不正を侵さないように監視することを命じられました。
厳密に言うとこれは罰ではないのですが、メイソンはこの戦いで相当の寿命を食って大きな代償を背負っておりますし、リンネ国の騎士団長は無理矢理やらせれていたこともあり、このような判決が下されたのでした。
他にも密猟の件で様々な国と問題が生じたものの、ヴィオルが立ち入って解決されており、そのことに対しては不問となったのです。
また、シャーロット姫は密猟の原因を作った張本人であるものの、虐げられていた悪環境が加味され、王室からの除籍に加えて、精神的にやられているのは間違いないと見なし、彼女は精神病院で治療して、しっかりとまともな生活を送れるようにとサポートすることになりました。
全て判決が下された1ヶ月も経たない頃に、捕らえられていたメイソンとリンネ国の騎士団長はリンネ国に帰ることになりました。
その際、メイソンはヴィオルと会うことになりました。
「メイソン、望み通りの結末になったかい?」
「正直ここまで良くしてくれるとは思わなかったよ。自分も処刑だと思っていたしね。まあ良くて終身刑かなと」
本来ならそれぐらいの刑になって当たり前ぐらいのことをやっていましたが、リンネ国の情勢や今回どちらも死傷者が出なかったことなどがあり、ここまで甘い刑になったのでした。
正直メイソン自身が1番驚いておりました。
「姫に関しては本当に感謝しているよ。もう俺には思い残すことはないな」
「彼女はもう姫じゃなくて、単なる一般女性さ」
「そうだったな。その方が彼女にとっても良いだろう。あそこにしても嫌な思い出しかないだろうから」
メイソンは彼女のことを思って本当に心の底から安堵しており、自然と笑みを浮かべておりました。
その様子を見てヴィオルも嬉しくなります。
「間違っても自殺なんてするなよ」
「やっぱり駄目?」
「そもそもメイソンには国を監視するという役目もあるし、それに彼女の傍にいてあげなきゃいけないだろ」
「彼女に顔を合わす勇気なんてないさ。それに傍にいたとしても短い間だけで虚しいだけだ」
メイソンは諦めた顔で苦笑をします。
それに対してヴィオルは派手に首を傾げて、両手を上げてやれやれと大げさな動作をしてこう言いました。
「あ〜あ。自分のために寿命を削ってまでここまでしてくれたのに、お礼も言わせてもらえないなんてなんとも可哀想だな」
その動作と言葉を聞いたメイソンは、何と応えて良いか分からず、ただただ苦い顔をして俯いてしまいました。
その表情を見てヴィオルは更に付け加えます。
「どうやら彼女の方がメイソンに会いたがっているみたいだぜ。だから1週間も早く出ることがなったんだとよ」
「……嘘だろ。そんなことのために早まるわけないだろ」
そんなのあり得ないと大きく目を開いて、また俯いてしまいます。
「メイソンが思っている以上に国民も貴族もメイソンのことを評価しているし、彼女のことも同情が集まっているみたいでさ。リンネ国が過去のことを全て明かしたからみんな知っている事実らしいぜ。だからこっちも長い間拘束するのもバツが悪くてな」
メイソンはまだ信じることは出来ないものの、そのようなに思われていたことを素直に嬉しく思い、先程の明るい表情が少しずつ戻ってきます。
「そっか……嬉しい情報をありがとう。…………なら彼女に会いに行こうかな」
「そうしろ」
ヴィオルは言葉では素っ気ないことを言っていますが、メイソンが前向きな気持ちになってくれて良かったと嬉しく思い、態度は柔らかいものであり、再び笑みを浮かべていました。
「ヴィオル……本当に最後までありがとうな」
「別に俺は特に何もしてないさ。こうなるべき形になるよう少し手伝っただけだ」
「嘘つけ。そういう時は素直に受け取っておけば良いんだよ」
「なら、どういたしまして」
「それで良い」
確かにヴィオル自身が判決を決めたわけでも、言い渡したわけでもありませんが、ちゃんと彼らに有利になるように説得はしておりました。
その甲斐あってこのようなったのでした。
こうして2人は別れて、メイソンはリンネ国に戻りました。
メイソンのこの後のお話を少しだけすると、メイソンは彼女と逢うこととなり、それぞれメイソンが亡くなるまで傍にいることになりました。
またメイソンは国を支える一員となり、良い方向に進むことになるのでした。




