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シンデレラと魔法使い  作者: 本羽 香那


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シンデレラの現れたな発見


 ヴィオルは杖を取り出して右の手首を1回振り回しました。

 すると薄っぺらい大きな紙が現れたのです。


「ヴィオル、これは一体何なの?」


 エラは出現した紙を持ってまじまじとそれを見つめました。

 何やらよく分からない模様が書かれているようです。


「ああ、それは魔法陣さ。瞬間移動出来るやつだよ」

「もしかしてこれって、万が一舞踏会に間に合いそうになかったら使おうと思っていたやつ?」


 ヴィオルはよく覚えているなと驚きつつも、首を縦に振ります。

 エラはこれが瞬間移動出来る道具なのだと思うと少しワクワクしてきました。

 魔法陣に書かれたよく分からない模様でさえカッコよく見えてきました。


「エラ、遊びに行くみたいな顔をするなよ。これから戦地になるかもしれない場所に行くって言うのに。危険性が分かっていないなら連れて行かないからな」


 ヴィオルは最初からこうすれば良かったと呟きながら、エラが持っている魔法陣を奪い返し、魔法陣を地面に敷き、自分の体を乗せて呪文を唱え始めました。

 ヴィオルの声に反応して魔法陣が光始めます。

 これはマズイと思ったエラは慌てて魔法陣の中に飛び込み、ヴィオルの胸を思いっ切り押しました。

 ヴィオルはバランスを崩し、エラの下敷きになる形で派手に転んでしまいました。

 すると、魔法陣の光は消えてしまいました。

 

「痛った!」

「ヴィオル、ごめん。怪我をさせるつもりは微塵もなかったのよ。その……勝手に1人で行って欲しくてなかったから仕方なく突き飛ばしたと言うか……。本当にごめんなさい」


 押し倒されているせいで、体は密着していますし、エラの顔も間近にあってヴィオルはドキッとしてしまいました。


「……怪我はしていないから。だからエラ……取り敢えず俺から離れてくれ」

「あ! ごめん」


 エラは慌ててヴィオルから離れて立ち上がりました。

 そして、ヴィオルに手を差し出します。

 ヴィオルは素直に差し出された手を握り、その力で立ち上がりました。


「ヴィオル、大丈夫? 重かったわよね?」

「いや、重くはなかったし、寧ろ軽いなと思った。エラ、ちゃんと食事取ってる?」


 ヴィオルはエラの体の細さがやけに気になったのでした。

 前よりは血色は良くなっているとは言え、実際に間近で見ると一般的には決して良いとは言えませんでした。


「勿論、食べているわよ。夜に」

「え? もしかして1食しか食べていないの? それに抜いているのが食べるべき朝と昼なの?」


 普通食事は貴族や平民関係なく朝・昼・晩と3回摂ります。

 特に朝は1番エネルギーを使うので1番必要な食事なのに摂っていないのは驚きです。

 むしろ1番抜いても良さそうな夜しか食べないことには疑問しか感じないのでした。


「私の場合は、単純に朝と昼は食べられないからよ」


 ヴィオルは「食べない」ではなく「食べられない」と言う返答が理解出来ず首を傾げてしまいます。


「何故か分からないけど、朝と昼はお腹が空かないの。なんか常にお腹がいっぱいというか……食べようとしても体が受け付けないのよね。あ、でも何故か曇りの日や雨の日になるとお腹が空くのよね。まあ、食べなくても大丈夫だから食べないけど……」


 ヴィオルは常にお腹がいっぱいと言う言葉に引っかかりました。

 とても夜の1食だけで朝と昼が持つとは思えません。

 また、曇りや雨の日はお腹が空くのも不思議に思います。

 一体どう言うことかと少し考えると、とある可能性が思い浮かびました。


「エラはもしかしたら自身の光の魔力で生存しているのかもしれないな」


 エラは攻撃魔法が大変得意。

 その攻撃魔法は光の魔力を要します。

 指導を受けていない中、自分自身の力であれだけ簡単にこなせるのですから、光の魔力は相当強いと考えられます。

 普通は魔女・魔法使いも食事を摂りますが、中には食事を摂らず自分の魔力を生命力として生きている人もいるのです。

 きっとエラは貧乏になった結果、無意識のうちに魔力を原動力としていたのでしょう。

 しかし、光の魔力のみを原動力としていたエラは光がある朝や昼は大丈夫なものの、夜は光の魔力が使うことが出来ないのでお腹が空き、食べていたのでしょう。

 曇りや雨の日も光の魔力が使えないのでお腹が空くのも納得がいくのでした。

 それにしても、この生存の仕方は少しの魔力では到底することは出来ず、とても多くの魔力を必要とします。

 その魔力をエラは常に使い続け、尚且つ弓などで攻撃力などでも光の魔力を共に用いていたのです。

 ヴィオルは今回だけで驚くことがあり、頭が痛くなるのでした。


「私ってそんな変な生き方していたのね。まるで魔女だわ!」

「いや、もう魔女そのものだわ! 俺がこの場で魔女認定してやろうか?」


 エラはそんな特殊な生き方をしていたことに興奮してしまいました。

 一方ヴィオルは、魔女になるには、試験を突破して、魔女や魔法使いから認定を貰えば無事魔女として認められるので、自分が今すぐにでもエラを魔女として認定してしまいたいほどでした。


「それにしても食事はしっかり摂らなきゃ駄目だ。魔力は生命維持出来るって言うだけで健康に生きられるわけじゃないんだから。これからはしっかり食べろよ」

「でも、食べることが出来ないのにどうやって食べろと言うのよ。毎日点滴でも打てとでも言うの?」


 こんだけ活発なエラが点滴をしているところを想像すると、点滴を付けたまま動き回っているところが思い浮かび、ヴィオルは思わず笑ってしまいます。

 

「いや、こういうのは慣れだ。だから少しずつ食べる量を増やしていけば良いよ。そうすればすぐに一人前を食べられるようになるさ」


 エラはもともと食べることは嫌いではありません。

 そのため、少しずつでも食べられるようになると聞き、嬉しく思うのでした。


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― 新着の感想 ―
[一言] 霞を食べてる仙人みたいな存在なんですね! しゅごい( ˘ω˘ )
[気になる点] >中には食事を摂らず自分の魔力を生命力として生きている人もいるのです >いや、もう魔女そのものだわ! 俺がこの場で魔女認定してやろうか? (。´・ω・)ん? もはや魔女どころか魑魅魍魎…
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