継母達が舞踏会に行った理由
「そもそも、お義母様達は何故舞踏会に行ったの?」
継母達はとても合理的に行動する人達です。
舞踏会に行くとドレスや馬車などの様々な多くのお金が掛かり、また時間も多く食われるためそのいつも働いている時間分が稼ぐことが出来ませんでした。
確かに舞踏会は誰もが憧れますし、もう少しでこの国の統治者になる王子を見たい、または王子の妃になれるかもしれないから会いたいと思うのは元令嬢である義姉達からしたら当然でしょう。
同じく元令嬢であるエラは全くそのようには思っていませんでしたが……。
また、アナスタシアは知的クール美女、ロゼリアは知的セクシー美女と、どちらも美しく教養があるため、どちらかが見初められてもおかしくはありません。
それでもやはりお金や時間、労力をかけて舞踏会に行く理由が夢を見てるからと言う以外にも何かあるような気がしたのでした。
「私達は繋がりを求めて舞踏会に行ったのよ」
よく分からない返答をされてエラは困惑しました。
そのため、より詳しく理由を尋ねます。
継母達は次のように説明しました。
継母達は今、男爵家の家庭教師や子爵家のメイドとして働いています。
しかし、今のままでは給料が低くて生活が苦しいのが現状です。
そのためもっと好条件の所で勤めることができたらと考えました。
しかし、あまり社交に出ていなかった継母には繋がりもないため、そのような行動を起こすことが出来なかったのでした。
そんな時に良い機会が訪れました。
舞踏会です。
ここには高位貴族も多く集まるため、上手くアピールしたら雇ってもらえるかもしれないと思いました。
そのため継母達はお金と時間、労力を使ってまでこの舞踏会に出かけたのでした。
実際にその目論見は当たりました。
なんと継母は公爵家のメイド、アナスタシアは王宮の侍女、ロゼリアは侯爵家の侍女として雇われることとなったのです。
家庭のために舞踏会に行った継母達の理由に感心し、自己満足で舞踏会に行った自分にエラは、自分に嫌気がさしてしまいました。
「私がダメダメでごめんなさい。そんなこと考えたことなかった……」
確かにこの現状がかなり厳しい生活だとは知っていました。
しかし、この現状は仕方がないことだと思い、その現状を変えようと思ったことは一度もありませんでした。
「私もお義母様みたいに好条件のところを探してこの家庭を支えるわ。私もこの一家の一員ですもの。いつまでもこの家だけに留まるのはいけないわ」
エラは継母達に頼るだけではいけないと自分も同じ行動をしようと決意しました。
「エラ、もし外に出たら貴女は人に仕える立場となるのよ。私達は商人から成り上がっていた貴族と言うだけで、商人みたいなものなのよ。だから私達は人に仕えるのは全く抵抗は無かったの」
「でも貴女は元から令嬢だったのだからそう言う扱いはされたことがなかったでしょう? 勿論、私達が指示はしたことはあったけど、私達以外からは指図されたことは無いはず」
「もし、貴女が理不尽なことを指示されても、法とかに触れない場合はそれを嫌とも言わず受け入れなければならないのよ。今までそんなことをされたことが無いエラちゃんには耐えられるの? 私達はとても心配なのよ」
何故3人が、舞踏会の目的を伏せて自分と一緒に行こうと誘っていたのか。
その理由がまさか自分のことを思ってのことだったとは思わず、エラは嬉しくて涙が出ました。
「それでも私は働くわ。私は確かに作法やマナーもきちんと出来ないけど、私には今まで、家事のスキルと獣達と闘うだけのスキルと逞しさは身に付けているわ。だからどんな指示でも受けて立つわ」
エラは寧ろ働く気力がどんどん湧いてくるのでした。
「エラ、獣達と闘ってきたとはどういうことなの?」
「「エラちゃん、獣達と戦ってきたってどういうこと?」」
3人は目を見張り大変驚いています。
エラはしまったと思いました。
今まで、狩りでせしめた獣達は値切りをして売ってもらったとか、手伝いのお礼として貰ったと嘘をついておりました。
何故なら、そんな野蛮なことを継母達が許すとは思えなかったからです。
つい勢いで口を滑らしたエラは、継母達にそんな危険なことするのは止めてちょうだいと至極叱られたのでした。
「エラの意気込みは分かったわ。なら私と一緒に働きましょう。なんとかするから。私も手助けするわ」
継母にそのように言われ嬉しく思いました。
エラはその期待にしっかりと答えようと固く決意をしたのでした。




